女優の平祐奈さん
NEWSポストセブンで、「ポスト堀北真希」について話をしました。
ポスト堀北真希
平祐奈を筆頭に深川麻衣、桜庭ななみが有力
2月末をもって芸能界を引退した堀北真希(28)。今後は夫の山本耕史(40)を支えながら家庭に専念するということだが、彼女の空けた席にいったい誰が座るのか、「ポスト堀北真希」に注目が集まっている。
元テレビプロデューサーで上智大学教授(メディア論)の碓井広義さんは、ポスト堀北の条件を次のように述べる。
「堀北さんがなぜ特別な女優でありえたのかというと、美人であるのはもちろんのこと、清楚なイメージを保ち続けたからだと思います。透明感があってピュア、無垢なイメージ。とても近づけない、みんなで遠くから見守っていたい存在でした。演技に対してもとても勉強熱心な女優さんだったと思います。
ただ、どんな役でもOKというわけではありませんでした。たとえば超能力を持つような現実離れした人物を演じた時は、浮くことが多かった。堀北さんの良さが出るのは、普通の女性が懸命に生きる姿を演じる時。戦後復興期の時代を生きる女性を描いた『梅ちゃん先生』(NHK)などがまさにそれでした」(碓井広義さん、以下「」内同)
2003年にデビューした堀北は、2005年のドラマ『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)や映画『ALWAYS 三丁目の夕日』で一躍注目を浴びる存在となり、その後は主役を張るのが当たり前の人気女優として活躍し続けた。
デビュー当初は清楚キャラでもそのイメージを崩していく女優が多い中、堀北は引退するまでそのキャラクターを守り続けたといえるだろう。仕事以外ではほとんど外出せずに家で過ごしていたと言われる堀北は恋愛スキャンダルともほぼ無縁で、裏付けのないウワサ話が時折流れる程度。
結婚に際しても、「山本のストーカー被害者では?」という説まで飛び出し、イメージが保たれた形だ。また企業からのウケも良く、富士フイルムやNTTドコモなどは長期にわたり彼女をCMに起用し続けた。
「堀北真希の良さを丸ごと持っている女優はいない」と語る碓井さんだが、複数の条件をクリアしている女優はいるという。「ポスト堀北」の可能性を持つ筆頭が、女優の平愛梨(32)の妹としても知られる平祐奈(18)だ。
「その場に自然に立っている時に、堀北さんのような透明感とピュアさを感じさせる女優さんです。このところドラマや映画、CMへの出演が増えてきていますが、私は『ぼくが命をいただいた3日間』(2016)という作品を鑑賞した時に、これはいい女優が出てきたな、と思いました。生きるために動物の命をいただくという食育をテーマにした作品で、山村育ちの美少女を演じる彼女は鹿や鶏を捕らえるシーンにも挑戦しています」
映画『案山子とラケット 〜亜季と珠子の夏休み〜』、ドラマ『JKは雪女』(ともに2015年)で主役を演じた平祐奈は、『2016タレントCM起用社数ランキング』(ニホンモニター社調べ)の女性部門でも4位にランクイン(10社)。この春からは大学生にもなり、女優業と二足のわらじ生活が始まる。
次に挙げたのが、乃木坂46の元メンバーでもある深川麻衣(25)。アイドルグループ出身ということで、女優一筋でやってきた堀北とは経歴がまるで異なるが、
「女優を目指してアイドルグループを辞めた深川麻衣さんは、アイドルをやってきたのに全くスレた感じがしません。生真面目なところもあり、堀北さんに通じる清楚さを備えているように思います」
深川が乃木坂46卒業後に移籍した事務所は、田中麗奈(36)や香里奈(33)など人気女優を抱えるテンカラット。初主演を務める舞台『スキップ』(北村薫原作、4月26日〜)は、今後の彼女の活躍を占う試金石となりそうだ。
そして碓井さんが「ポスト堀北」3番手に挙げるのは、堀北が所属していた事務所の後輩でもある桜庭ななみ(24)だ。
「堀北さんに比べると活発すぎる印象がありますが、スキャンダルを想像させないのでおじさんウケ、企業ウケはいいでしょう。そうでなければ三菱地所のCMも長く続きませんから」
企業ばかりでなく、警視庁や消防庁のポスターにも起用されるなど、CM・広告キャラクターとしては各所から信頼を得ているといえる。しかし、まだ桜庭をブレイク女優に押し上げるようなドラマや映画には出会えていない。2018年公開予定、ジョン・ウー監督の香港・中国合作映画『追捕 MANHUNT』への出演が決まっているが、それまでにも女優としてインパクトを残しておきたいところだ。
最後に碓井さんはこう語る。
「堀北さんの特徴としてもう一つ大事なことを挙げるとすれば、ミステリアスな一面を持っていたという点です。誰も彼女の本音を聞けなかった。最近はバラエティー番組に積極的に出て素をさらけ出す女優さんも少なくありませんが、女優さんには『見えない部分』があることも大事です。本来は堀北さんのように、番宣で仕方なく出てくるという程度で十分だと思います。芸能界をスパッと辞めた山口百恵さんに憧れていたという報道もありましたが、本業以外で自分から表に出るのはあまり好まないという点では一緒でしたね」
そもそも人前に出たい人間が集まる芸能界でそのような人材は稀有な存在かもしれないが、芸能界にぽっかりと空いた大きな穴を埋める女優が現れることを期待したい。
(NEWSポストセブン 2017年03月12日)