将棋・藤井四段20連勝
注目度「羽生七冠」以上 「マジック」で形勢逆転
2日に関西将棋会館で行われた棋王戦予選。藤井聡太四段目当てのテレビ関係者らが早朝から集まり、午前10時の対局開始時には約40人の報道陣が2人を取り囲んだ。
千日手で指し直しとなった対局の終盤は、一時藤井四段が劣勢に見えたが、棋士室で検討する脇謙二・八段らプロ棋士も「藤井マジックだ」と驚く妙手で形勢を覆し公式戦20連勝を達成した。対局後、藤井四段は「(20連勝は)自分の実力からすれば僥倖(ぎょうこう)(幸運)としかいいようがない。連勝は意識せず、一局一局を大切に指して、しっかり実力をつけたい」と語った。
藤井四段は、2月に将棋チャンネルを開設したインターネットテレビ局「AbemaTV(アベマティーヴィー)」の企画「炎の七番勝負」で、非公式戦ながら羽生善治3冠(46)を破り、一躍「時の人」に。
この七番勝負の第1局は視聴数が約12万だったが、羽生戦の第7局は65万に急上昇。19連勝目は75万件に伸び、アベマ自体の認知度もアップした。アベマは藤井四段の対局について、今後も可能な限り生中継する構えだ。
(中略)
藤井現象は、まだまだ続く。テレビのワイドショーもこぞって追うが、上智大文学部新聞学科の碓井広義教授(メディア文化論)は、「羽生3冠らと同じ、5人しかいない中学生棋士というだけでも話題性は十分」と前置きしつつ、素朴で礼儀正しく、どんな時にも動じない藤井四段の姿に「主な視聴者層の主婦が『うちの子も個性のある子に育てたい』と注目している」と解説。その上で「連勝が止まっても、物語としては逆に葛藤や成長が際立つ。今後もマスコミは追いかけるだろう」とみている。
【文化部 大原智也】
(北海道新聞 2017.06.03)