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Channel: 碓井広義ブログ
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書評した本: 武井 崇 『岸田森夭逝の天才俳優・全記録』ほか

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「週刊新潮」に、以下の書評を寄稿しました。

武井 崇 『岸田森夭逝の天才俳優・全記録』
洋泉社 4,104円

『怪奇大作戦』『傷だらけの天使』などと共に語り継がれる岸田森。1982年に43歳で他界した怪優の軌跡を、20年にもわたって追い続けてきた労作だ。レンズの画角や構図に合わせた変幻自在の演技。出会ってきた女性や仲間たち。岸田の魅力が伝わってくる。


宮沢章夫ほか
『NHK ニッポン戦後サブカルチャー史』 
NHK出版 1,944円

前著『NHK ニッポン戦後サブカルチャー史』は宮沢章夫のワンマン講義だった。続編の本書は複数の講師による“輪講”形式だ。大森望のSF、泉麻人の深夜テレビ、都築響一の「ヘタうま」など贅沢なキャスティングの論考が並ぶ。刺激的な番組の単行本化だ。


有栖川有栖 『ミステリ国の人々』
日本経済新聞出版社 1,620円

古今東西のミステリに登場する人物をめぐるエッセイ集だ。名探偵のポアロやクイーン。松本清張『点と線』の三原や、鮎川哲也『黒いトランク』の鬼貫などの刑事。さらにアイリッシュ『消えた花嫁』のアリス、明智小五郎の妻・文代といった女性像も鮮やかだ。


小長谷有紀 『ウメサオタダオが語る、梅棹忠夫』
ミネルヴァ書房 3,024円

“知の巨星”梅棹忠夫が残した資料は大阪の国立民族学博物館にある。論文などの著作物はもちろん、写真、フィールドノート、ハガキや手紙、『知的生産の技術』で紹介された京大型カードなど数万点に及ぶ。「梅棹アーカイブズ」が映し出す、人間と文明への視野。


加藤直樹 
『謀叛の児~宮崎滔天の「世界革命」』
河出書房新社 3,024円

アジア主義者、辛亥革命の支援者、そして孫文の友人。宮崎滔天に関する一般的なイメージだ。しかし天皇崇拝や国家主義などと無縁な滔天は、「いかなる意味でも右翼ではない」と著者は言う。ならば何者か。その思想と生涯を検証し、新たな“滔天像”を創出する。

(週刊新潮 2017年6月29日号)

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