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Channel: 碓井広義ブログ
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「倉本聰 ドラマへの遺言」 連載#2

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倉本聰 ドラマへの遺言 
第2回
テレ朝の会長に取り次いでくれたのは
石原プロの名物番頭
17年上半期で大いに話題を呼んだドラマ「やすらぎの郷」(テレビ朝日系)。倉本氏がまず企画書を持ち込んだのは、フジテレビだったが――。

碓井 先生が僕にこのドラマの企画について話して下さった時、真っ先にフジに提案するのは「仁義だから」って仰ってました。

倉本 ええ。でもフジがダメでも企画自体は何とか実現させたいと思って、石原プロのコマサ(小林正彦・元専務)に相談してテレビ朝日の早河洋会長に取り次いでもらった。早河さんとは、石原プロとテレ朝でドラマ「祇園囃子」(05年)をやった関係でもちろん知り合いではいたんですが、それほどの仲でもなかった。で、コマサに相談したら、仲介だけしてくれると。実際に仲介をしてくれたあとはパッと引き下がっちゃったんですが。

碓井 コマサさん、カッコいいなあ(笑い)。石原プロってクレジットにも出ていないですよね。

倉本 出てないです。コマサ自身も石原プロはもう辞めてましたしね。個人でやってくれたって感じ。

碓井 フジに断られても諦めず、「やすらぎの郷」を実現しようとしたのはなぜですか。

倉本 いくつかの理由があるんですが。周囲の同年輩の人間が早朝起きても8時まで見るものがないっていうんですね。ゴールデンなんかは自分たちが見るドラマじゃないしな、なんて常にいわれていることで。もうひとつは、ゴールデンタイムの視聴率がどんどん落ちていますよね。かつては20%ぐらいは取らなきゃいけなかったんだけれど、いまは13~14%で良くなっちゃった。逆にいうと、ゴールデンというのはF1、F2の視聴者層の取り込みを目指す神話が今も続いていますが、肝心のF1、F2がインターネットにいっちゃったり、録画ということもありますね。現に「やすらぎ」も録画で見ている人間の方が多かったっていうんです。

碓井 番組を放送時に見る「リアルタイム視聴」に対して、「タイムシフト視聴」と呼ばれる視聴行動ですね。特にドラマは、録画して好きな時間に見ている人が多いです。

倉本 その録画に対する視聴率っていうのは、電通も今では出しているっていいますが、本当の意味で出ているとは思えないんですね。というのも、電通が扱っている視聴率は、誤解して欲しくないんだけれども、決して番組視聴率っていうのではなく、CM視聴率。番組を録画するとコマーシャルはスキップされてしまうわけで、録画視聴率は代理店としてはスポンサーに見せる価値のない数字なわけです。(あすにつづく)

(聞き手・碓井広義)

▽くらもと・そう 1935年1月1日、東京都生まれ。東大文学部卒業後、ニッポン放送を経て脚本家。77年北海道富良野市に移住。84年「富良野塾」を開設し、2010年の閉塾まで若手俳優と脚本家を養成。21年間続いたドラマ「北の国から」ほか多数のドラマおよび舞台の脚本を手がける。

▽うすい・ひろよし 1955年、長野県生まれ。慶大法学部卒。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年間、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。現在、上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。笠智衆主演「波の盆」(83年)で倉本聰と出会い、35年にわたって師事している。

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