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日本人はなぜ「松本清張ドラマ」が好きなのか!?

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来年は米倉涼子×黒木華の『疑惑』 
日本人はなぜ
「松本清張ドラマ」が好きなのか!?

制作が続く「清張ドラマ」

昨年(2017年)放送された松本清張原作のドラマは、『黒革の手帖』など、なんと4本もありました。そして来年(2019年)には、『疑惑』(テレビ朝日系)が放送されます。

主演は、『黒革の手帖』(2004)、『けものみち』(2006)、『わるいやつら』(2007)、『強き蟻』(2014)といった清張作品に参加してきた、“平成の清張女優”とも言うべき米倉涼子さん。

ドラマスペシャル 松本清張『疑惑』では、これまで清張ドラマで悪女を演じることの多かった米倉さんが弁護士となり、黒木華さん演じる悪女と対峙していきます。黒木さんの悪女というのも期待大ですね。

松本清張さんが亡くなったのは1992年。すでに四半世紀が過ぎています。では、なぜ今も、清張作品は広く受け入れられているのでしょう。

清張作品の魅力とは?

今年上梓された、高橋敏夫さんの『松本清張「隠蔽と暴露」の作家』(集英社新書)を読むと、その答えの一端が見えてきます。

早大教授である高橋さんは、清張の怒涛のような表現活動の核に「隠蔽と暴露」という方法があったと言います。同時に、これは「隠蔽を暴露する」ではないことを強調しています。圧倒的な勢力による巨大な秘密の「隠蔽」と、それに対する個々の小さな「暴露」という対比を重視しているんですね。

その上で、清張が作品を通じて暴露してきたものを浮かび上がらせていきます。『球形の荒野』『黒地の絵』では、戦後も続いていた「戦争」を暴露していました。『ゼロの焦点』『砂の器』は、暗い戦後をなかったかのように覆い隠した「明るい戦後」の欺瞞を暴露した作品です。

そして『点と線』『けものみち』が暴いたのは「政界、官界、経済界」の癒着や汚職でした。さらに、「オキュパイドジャパン(占領下の日本)」という、現在まで影響を与え続けている巨大な密室をこじ開けようとしたのが、『小説帝銀事件』や『日本の黒い霧』だったのです。

清張作品は途切れることなく書店の棚に並んでいます。そして今後も、ドラマや映画などの映像化は続くはずです。高橋さんは、そんな清張ブーム再燃の背景に、「ふたたび姿をあらわしはじめた秘密と戦争の薄暗い時代」としての現代(いま)を見ています。

その意味では、清張の生活史を踏まえ、作品群に新たなスポットを当てた本書もまた、現代社会の“隠蔽”する力に抗う、一つの試みかもしれません。

ドラマスペシャル 松本清張『疑惑』

今回、『疑惑』の脚本を手がけるのは、大ベテランの竹山洋さんです。これまで、『点と線』(2007)、『砂の器』(2011)、『三億円事件』(2014)、『鬼畜』(2017)など、数々の清張ドラマを書いてきただけでなく、田村正和さんが主演した2009年の『疑惑』も担当していました。

また演出は、『ドクターX~外科医・大門未知子~』シリーズや、米倉さんの清張ドラマで知られる、熟練の松田秀知さんです。

この制作陣とキャストが、一体どんな「隠蔽」と「暴露」を見せてくれるのか。大いに楽しみです。

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