「就活生日記」
同時配信時代のコンテンツとして
面白い試み
先週、NHKでドラマ「就活生日記」が放送された。「中学生日記」のパロディーではない。就活生のリアルなエピソードを描き、彼らをさりげなく応援する好企画だった。
たとえば、学生時代に力を入れたことを問われる「ガクチカ」。他の就活生が「カンボジアでのボランティア」や「イギリス留学」をアピールする中、「自分には何もない」と落ち込む女子学生(富田望生)がいる。しかし冷蔵庫の残り物でおいしい料理が作れるように、視点や発想を変えれば「自分が持っているもの」も見えてくるのだ。
また深夜バスで東京へと向かう、地方在住の女子学生(吉田美月喜)。都内の学生たちに比べ、時間や費用が何倍も必要な就活に疲れ気味だ。けれど、乗り合わせた就活生から「頑張りどころって誰にもある。自分は今がそのタイミング」と言われ、「ちょっと無理してみよう」と元気が出てくる。
さらに内定をもらった会社が無名で、大手や有名企業への就職を期待する親に言えないままの男子学生(泉澤祐希)も登場した。迷った末に「何社回ってもピンとこなかったけど、この会社では働く自分を想像できた」と理由を説明すると、父親(田中要次)も納得。缶ビールで乾杯した。
5夜連続で流れたこのドラマ、実は1本の長さは5分。だが、その充実度は高く、「同時配信」時代の番組コンテンツとしても面白い試みだった。
(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2020.03.18)