再放送できない名作ドラマ
事故や事件に発展した封印作品も
新型コロナウイルスの感染拡大のため、ドラマの撮影が中止・延期となり、テレビ各局は過去の名作を再放送し、好評を博した。しかし、内容が今の時代に合わなかったり、過激な表現があったりなどして、再放送ができない人気作も少なくない。
たとえば、凄惨ないじめが描かれた安達祐実(38)主演の『家なき子』(日本テレビ系/1994年)や、女子高生(桜井幸子)と教師(真田広之)の禁断の愛を描く『高校教師』(TBS系/1993年)などがそれにあたる。
◆よからぬ影響で事件に発展
一方で、内容も描写も問題なくても、再放送不可のドラマがある。たとえば『1リットルの涙』(フジテレビ系/2005年)。
同作で数々の賞を受賞した主演の沢尻エリカ(34才)が、昨年11月に麻薬取締法違反の容疑で逮捕された。その後、有罪判決を受けたことで、再放送が厳しくなっている。
「実話に基づき、難病と闘う少女と家族の絆を描いていて、時が経っても色あせない内容だけに、封印されてしまうのは非常に残念です。沢尻さんが出演していることで、山田孝之さん(36才)が主演の『タイヨウのうた』(TBS系/2006年)も再放送できません」(メディア文化評論家の碓井広義さん)
松嶋菜々子(46才)主演の『やまとなでしこ』(フジテレビ系/2000年)は、最高視聴率34.2%を記録し、「ラブコメディーの金字塔」と評価されている。
松嶋は、富裕な男性との出会いを夢見るキャビンアテンダントを好演。人気女優としての地位を確立した出世作だが、共演者の押尾学(42才)が2009年に麻薬取締法違反で逮捕されたことで、再び日の目を見ることはなさそうだ。
「押尾さんは主演ではないものの、物語に欠かせない主要キャストです。そのため、再編集でどうにかできるというポジションではありません。押尾さんが重要な役を演じる江角マキコさん(53才)主演の『ラブレボリューション』(フジテレビ系/2001年)も、同様です」(碓井さん)
さらには、現実の事件や事故が過去の人気作品を闇に葬ることもある。
『ギフト』(フジテレビ系/1997年)は、木村拓哉(47才)が記憶障害を持つ男を演じたサスペンスドラマ。
前年に『ロングバケーション』(フジテレビ系/1996年)に主演していた木村が新境地に挑んだ作品で、木村をサポートする犯罪マニア役を忌野清志郎さん(享年58)が演じ、緒形拳さん(享年71)や桃井かおり(69才)がゲスト出演するなど豪華キャストも話題を呼んでいた。
「放送の翌年に、栃木県で男子中学生がバタフライナイフで女性教諭を刺殺する事件が起こったのですが、その少年が『ギフト』に影響を受けたと供述しました。青少年に悪影響を及ぼすとして、再放送できなくなってしまいました」(碓井さん)
草なぎ剛(45才)が主演し「おれの胃袋は宇宙だ!」というせりふが印象的な『フードファイト』(日本テレビ系/2000年)は、文字通り、大食いや早食いを競技とするフードファイトをテーマにしたドラマ。
ストーリーもさることながら、料理がどれもおいしそうで、元祖“飯テロ”ドラマとも評されている。
スペシャル版が作られるほど人気だったが、放送から2年後に給食の早食い競争をした中学生が死亡する事故が起きたため、早食い番組と並んで封印されることになった。
高視聴率を残した名作ドラマでも、さまざまな理由で二度と放送されない――。見られないとなると、余計に見たくなってしまう。
(女性セブン2020年7月9日号)