24日(金)の産経新聞に、「明日、ママがいない」についての記事が掲載されました。
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「ドラマの自由」どこまで
「明日、ママがいない」関係団体が抗議
スポンサーCM見合わせ
「問題提起」理解の声
児童養護施設を舞台にした日本テレビ系ドラマ「明日、ママがいない」が波紋を広げている。施設職員が児童に暴言を吐くなどの内容に関係団体が相次いで抗議。22日に放送された第2話では一部スポンサーがCM放送を見合わせた。一方で「最後まで放送すべきだ」という声もあり、フィクションの“自由”をめぐる賛否は分かれている。
ドラマは15日の初回で提供スポンサー8社を画面で紹介したが、第2話ではスポンサー名の紹介はなかった。エバラ食品工業、JX日鉱日石エネルギー、キユーピーの3社はCM放送を見合わせ、ACジャパン(旧公共広告機構)の公共CMに差し替えた。
いずれも「視聴者や関係者の意見を考慮し総合的に判断した」と説明。担当者の一人は「ドラマへの厳しい意見が多かった」と明かす。ビデオリサーチによると、第2話の平均視聴率は13・5%(関東地区)で、初回を0・5ポイント下回った。
番組をめぐっては、親が育てられない子供を匿名で受け入れる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を設置する慈恵病院(熊本市)が「施設の子供や職員への誤解、偏見を生む」として日テレに放送中止を要請。全国児童養護施設協議会や全国里親会なども抗議した。日テレは放送継続の意向を示したため、慈恵病院は22日、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に人権侵害の申立書を送付した。
BPOによると、同委員会が過去にドラマについて審理入りした例はなく、関係者は「ドラマは報道やドキュメンタリーとは性質が異なり、どう扱われるかは分からない」と当惑する。
批判が目立つ同作だが、上智大の碓井広義教授(メディア論)は「虐待など児童問題に対する一般人の意識を喚起させる意味はあり、子役の演技も圧倒的」と評価し、「作り手の意図が必ずしも見えていない現段階で放送を中止すべきではない」と話す。一方、「現実の当事者がどう番組を見るかという想像力や配慮も必要。NHK朝ドラ『あまちゃん』の震災描写には作り手の苦労や思慮が感じられたが、『明日−』は故意にインパクトを与えようとしている。デリケートな部分への思慮が不足していないか」と疑問も呈す。日テレ総合広報部は「ご指摘を真摯(しんし)に受け止め、今後とも内容に細心の注意を払っていく」としている。
(三品貴志)
■「明日、ママがいない」 児童養護施設で親と離れて暮らす子供たちを描く日本テレビ系連続ドラマ(水曜午後10時)。芦田愛菜さん(9)らが出演。赤ちゃんポストに預けられた女児が『ポスト』と呼ばれたり、施設長が子供たちをペットショップの犬に例えるなど刺激的な場面が多い。「高校教師」「家なき子」などの野島伸司さんが脚本監修を担当。日テレは「子供たちの視点から『愛情とは何か』を描く」としている。
(産経新聞 2014.01.24)