札幌グランドホテルで、「五十嵐威暢 記憶のかたち展」を見ました。
ロビーにある「グランビスタギャラリー サッポロ」で開催中なのです(7月22日まで)。
五十嵐威暢(いがらしたけのぶ)先生といえば、世界的な彫刻家
でありデザイナーですが、今回展示されているのは焼き物。
また新たな五十嵐ワールドを見ることができます。
以下は、この展示に寄せた、五十嵐先生のメッセージです。
北海道空知地方で小学校六年生までを過ごした私は、
恵まれた自然環境の中で多くのことを学びました。
知らず知らずのうちに、つくることの意味を知り、
素材に向き合う自由を楽しみ、
身体と自然素材との連携を体得しました。
今日に至る私の制作の基本は、
その頃に出来上がったと言っても過言ではありません。
作品は、硬質の粘土を使い、身体と記憶の中に潜む感覚を頼りに、
多種の道具と道具とは言えないようなものをも使用し、
即興的に、彫り・叩き・押し付け・削る手法で制作しました。
粘土に対峙した瞬間に身体が動き、力が加わり、
遠い昔の故郷の色や光、
川と山からの風や匂いなどが一気によみがえり、
自然の成り行きのごとくカタチが生まれました。
乾燥後、土の表面は様々な釉薬に覆われ、焼成され、
色のマントを装い、繊細なディテールを得た作品を手に取ると、
それは私の記憶のかたちそのもので、
まるで自然からの贈り物を受け取ったように感じたのです。
会場横のラウンジで、「風の美術館」の運営にたずさわるアウンビジョンの藤島代表(右)と一緒に、五十嵐先生(中央)にお会いすることができました。