こういう本の出版は嬉しい。
霜月 蒼『アガサ・クリスティー完全攻略』(講談社)だ。
“ミステリーの女王”クリスティーの全99作品を評論している。
ポアロの長編が、「スタイルズ荘の殺人」から「カーテン」まで33作品。
「牧師館の殺人」に始まるミス・マープルのそれが、「スリーピング・マーダー」までで12作品。
他に、トミー&タペスンの長編や、短編、戯曲など、とにかくぜ〜んぶが並ぶ。壮観だ。
個人的にも、クリスティーには思い入れがある。
何しろ、大学卒業後、早川書房に入社した私なので(笑)。
本の構成は、それぞれの作品に関して短い「おはなし(あらすじ)」と論評。
「古典としてでなく、いまここにある新作として読み、評する」という著者の方針がいい。
未読作品をとばしながら、既読のものを読む。
でも、やはり再読したくなりました(笑)。
今週の「読んで書評を書いた本」は次の通りです。
小池真理子 『ソナチネ』 文藝春秋
貫井徳郎 『私に似た人』 朝日新聞出版
萱野稔人:編『現在知2 日本とは何か』 NHK出版
ワード:編著 『京都男子 とっておきの町あるき』 平凡社
草森紳一 『その先は永代橋』 幻戯書房
村上陽一郎『エリートたちの読書会』 毎日新聞社
* これらの書評は、
発売中の『週刊新潮』(6月12日号)
読書欄に掲載されています。