日刊ゲンダイに、テレビ朝日のドラマ「BORDER」に関する記事が掲載されました。
先週、最終回を迎えたわけですが、この記事の中で解説をしています。
こうして「小栗BORDER(ボーダー)」は成功した強敵「西島MOZU(モズ)」にダブルスコアの大差
今クールの注目度ナンバーワン、西島秀俊(43)主演「MOZU Season1〜百舌の叫ぶ夜〜」(TBS系)を相手に大金星だ。
小栗旬(31)主演の「BORDER」(テレビ朝日系)は5日の最終回で平均視聴率14.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区=以下同)をマーク。裏番組の“西島モズ”にほぼダブルスコア(7.7%)の大差をつけ、有終の美を飾った。
こういっちゃなんだが、初回視聴率1ケタ台とスロースタートになったのは、テレビ局の番組PR不足も一因だろう。
小栗演じる主人公の刑事が、「死者と対話できる」特殊能力を使って難解な事件を次々と解決していくなんて触れ込みだったが、これでは“夢落ち”のように、作り手に都合よく展開するのでは……という懸念があった。
死亡した被害者が、主人公の背後から再登場し、わざわざ「犯人はヤツです!」などと教えてくれるのだから、事件の謎も種明かしもクソもない。オカルト的ですらあった。
それでも右肩上がりの視聴率が物語るように、視聴者はグイグイ引き込まれていった。いい意味で期待を裏切られたが、ドラマの勝因は何か。
■続編をにおわす最終回
上智大教授の碓井広義氏(メディア論)はこう分析する。
「小説の中では成立しても映像化するにはとても難しい世界を描いた作品ですが、原作者である金城一紀氏がシナリオも手がけたことで、もしかしたらあるかもしれないと視聴者に思わせる実に巧みなストーリーに仕上がっていました。
主人公のキャラクターは小栗旬のキャスティングを念頭におき、当て書きしたと聞きます。生みの親の思いを汲(く)み取り、きちんと具現化するには役者の演技力が必要不可欠ですが、小栗は見事に応えていた。彼は人間の内に秘める陰の部分を表現することに非常に長(た)けた俳優。小栗の持ち味と物語がうまく昇華されたドラマといえるでしょう」
■テレ朝は「相棒」に次ぐ鉱脈発見
最終回のラストは、小栗が殺人犯役の大森南朋をビルの屋上から突き落とし、正義と悪の境界線を越えてしまう――という内容だった。ボー然とたたずむ小栗の表情が映し出されるだけで、いかようにも続編を展開できる締めくくりだ。
「BORDER」はテレ朝にとって「相棒」に次ぐ金鉱脈となるか。「BORDER2」制作の境界線はもう越えていたりして。
(日刊ゲンダイ 2014.06.09)