日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。
今週は、テレビ東京「リバースエッジ大川端探偵社」について書きました。
テレビ東京 ドラマ24「リバースエッジ大川端探偵社」大根仁の名前だけで「とりあえず見ておけ」
一週間の仕事を終えたオトナの男が金曜の深夜に見るべき番組として、これほどふさわしい1本はない。テレビ東京のドラマ24「リバースエッジ大川端探偵社」(金曜深夜0時12分)である。
今、演出家の名前だけで、「とりあえず、騙されたと思って見ておけ」と自信をもって言える一人が大根仁監督だ。
遠藤憲一主演の「湯けむりスナイパー」、森山未來の「モテキ」、瑛太と松田龍平の「まほろ駅前番外地」などの作品歴はマニア心を微妙に揺さぶる。
そんな大根監督とオダギリジョーが探偵物で組んだ。とはいえ派手な立ち回りなどないし、緊迫の尾行も退屈な張り込みもない。あるのは少しの聞き込みくらい。ドラマのキモはオダギリ探偵の茫洋感と、依頼人と調査対象の切ない関係性だ。
探偵が探し出すのは、見知らぬ男と3日間を過ごした幻の女。売れない芸人に差し入れしてくれる謎の女。気弱な高校生を救ってくれたかつての女番長など、極めて個人的でどこかトホホな事情の案件ばかり。
だが、見る側は不思議な安堵感に包まれる。人間、誰しも忘れられない人がいるものだ。再会してハッピーな場合もその逆もある。
オダギリ探偵は大河ドラマの数倍は適役だ。石橋蓮司の探偵事務所所長、小泉麻耶の受付嬢(夜のバイトと掛け持ち)も会いに行きたくなる。映画化もありかもしれない。
(日刊ゲンダイ 2014.06.10)