近くの古書店で、内田樹さんの『「おじさん」的思考』を発見。
入手した。
これの文庫本(角川文庫)は持っているが、単行本(晶文社)はどこかに紛れ込んでいたことに気づいたのだ。
発行の2002年は、ちょうど北海道の大学に単身赴任した年。
東京での授業もあったので、毎週、羽田―新千歳を往復する生活が始まった頃にあたる。
その後、この路線を、6年間で約250往復、500フライトするんだけど(笑)。
ま、それはともかく(笑)、この本に収められている『「私」は多重人格のひとつにすぎない』と題した文章は、次のように締められていた・・・・
あのね、私のホームページで「私」と言っているのは「ホームページ上の内田樹」なの。あれは私が作った「キャラ」である。
(中略)
「私」はと語っている「私」は私の「多重人格のひとつ」にすぎない。
そういうことが分からない人がたくさんいる。
私が匿名でものを書かないのは、そのせいである。
私は匿名で発信する人間が大嫌いだけれど、それは「卑怯」とかそういうレヴェルではなく、「本名の自分」というものが純粋でリアルなものとしてどこかに存在している、と信じているその人の妄想のありかたが気持ち悪いからである。
私は「内田樹」という名前で発信してまるで平気である。
それは自分のことを「純粋でリアルな存在」だと思ってなんかいないからである。
(内田樹『「おじさん」的思考』)
・・・・新千歳空港のラウンジで読んでいて、「うーん、面白い先生
だなあ」と思ったのだ。
で、それは今でも変わりません(笑)。
今週の「読んで書評を書いた本」は次の通りです。
東野圭吾 『虚ろな十字架』 光文社
和田 誠 『ほんの数行』 七つ森書館
小手毬るい 『アップルソング』 ポプラ社
ちばてつや 『ちばてつやが語る「ちばてつや」』 集英社新書
白鳥あかね『スクリプターはストリッパーではありません』
国書刊行会
一橋文哉 『モンスター』 講談社
* これらの書評は、
発売中の『週刊新潮』(6月26日風待月増大号)
読書欄に掲載されています。