日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。
今週は、TBS「噂の!東京マガジン」について書きました。
「噂の!東京マガジン」
課題は出演者たちの超高齢化だけ
TBS「噂の!東京マガジン」(日曜午後1時)がスタートしたのは1989年。現在24年目となるが、今や希少な長寿番組だ。ではこれだけ続いている理由は何なのか。
まず、変わらないことだ。総合司会は一貫して森本毅郎で、パネラーである井崎脩五郎、清水國明、山口良一といった面々も20年以上変らない。
進行役の小島奈津子以外、おじさんばかりという特殊番組だが、馴染みの顔が並ぶ安心感がある。また一緒に年齢を重ねていく共生感もたっぷりだ。
次にシンプルな構成。何しろコーナーは3つしかなく、これまた長年不動のラインナップである。週刊誌の見出しをチェックし、ランキングする「今週の中吊り大賞」。街角で若い女の子が料理に挑戦する「やって!TRY」。そして、番組名物「噂の現場」だ。
実は、番組の半分を占める「噂の現場」こそがこの番組のキモである。話題の出来事や現象の現場を訪ね、両論併記で取材していく。
たとえば、先週は世界遺産登録された富士山だった。観光客増加を当て込んで盛り上る人たちがいる一方で、環境破壊や登山者の安全を危惧する声があることを紹介していた。
この一歩引いて見る姿勢の中に、野次馬的好奇心とジャーナリズム的批評精神が共存しており、長寿の秘訣もそこにある。番組の課題は、出演者たちの超高齢化だけだ。
(日刊ゲンダイ 2013.06.25)