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【気まぐれ写真館】 横浜 2013.12.28


大人にオススメの映画「鑑定士と顔のない依頼人」

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ジュゼッペ・トルナトーレ監督作品「鑑定士と顔のない依頼人」。

今年観た映画の中で、ベスト3に入るかもしれません。


天才的な審美眼を誇る美術鑑定士ヴァージル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)は、資産家の両親が遺した美術品を査定してほしいという依頼を受ける。屋敷を訪ねるも依頼人の女性クレア(シルヴィア・フークス)は決して姿を現さず不信感を抱くヴァージルだったが、歴史的価値を持つ美術品の一部を見つける。その調査と共に依頼人の身辺を探る彼は……。


トルナトーレ監督といえば、「ニュー・シネマ・パラダイス」「海の上のピアニスト」「マレーナ」などが思い浮かびます。

いや、それらの作品にも負けないくらい、「鑑定士・・・」は見事な語り口なのです。

堂々のキャリアと、それなりの年齢と、偏屈さがウリの鑑定士が、謎の女性に揺さぶられていくプロセスが何ともいいんだなあ。

男と女の心理の綾。

美術品をめぐる薀蓄。

全体は、しっとりしたミステリー。

音楽は巨匠エンニオ・モリコーネ。

観終わった時、「これって、映画だよなあ〜」と、当たり前のことを口にしそうになりました(笑)。

大人にオススメの1本です。

2013年 テレビは何を映してきたか (11月編)

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ハワイ島 2013

「日刊ゲンダイ」に連載している番組時評「TV見るべきものは!!」で
振り返る2013年のテレビ。

11月分です。


2013年 テレビは何を映してきたか (11月編)
「ごちそうさん」 NHK

 NHK朝ドラ「ごちそうさん」、大健闘である。前作「あまちゃん」が国民的ドラマと呼ばれるほどに大化けしたので、後任としてのプレッシャーは相当強かったはずだ。しかし、蓋を開けてみれば週間視聴率は20%半ばをキープし、スタートから4週連続首位と絶好調だ。その理由は何なのか。
 まずはヒロイン・め以子(杏)の人物像だ。子どもの頃から食べることに関しては飛びぬけているが、それ以外は「おいおい、大丈夫か?」と思ってしまうくらい普通の女性。どこにでもいそうだからこそ視聴者は親近感を覚え、構えずに見ることができる。
 次に料理の魅力だ。朝ドラは朝食の時間であり、ご飯を食べるシーンが多いドラマは、見るだけで満腹になるのが欝陶しい。だが、そんな心配も不要だった。料理が美味そうなだけでなく、とにかく美しいのだ。だから“胃もたれ感”もない。これはフードスタイリスト・飯島奈美の手腕だろう。「かもめ食堂」などの映画や、東京ガスのCMなど、料理が重要な役割を果たす映像作品で頼りにされるのも当然だ。
 そして何より、ドラマ全体が丁寧に、ゆったりと作られていることが大きい。「あまちゃん」が剛速球だったとすれば、「ごちそうさん」はほっこりしたスローカーブだ。今週から突入した大阪編で、そこにエグ味が加わるのも期待大である。

(2013.11.05掲載)


「午前零時の岡村隆史」 TBS

 ナインティナインの岡村隆史が単独司会の新番組を始めるというので見てみた。TBS「午前零時の岡村隆史」(水曜夜11時58分)である。
 6日の第1回目は「岡村と99人の仲間たち」。 岡村会の99人が路上に落ちているお金を探す。1日でどれくらいの金額になるかという企画だ。
 その理由が笑える。あの滝川クリステルが「お・も・て・な・し」のプレゼンで語ったように、日本では1年間に3000万ドル(30億円)の現金が警察に届けられる。だが、実際に落としたとされる総額は84億円。ならば残りの54億円を見つけ出そうというのだ。
 「ウオーリーを探せ!」とそっくりな赤いボーダーシャツを着た99人が、渋谷や新宿など15ヵ所の繁華街に散って、自動販売機の下や植え込みの中を探す。一円玉から複数の財布までが出てきて、合計1万1168円也。これを警察に届けた。
 確かにバカバカしい内容だ。しかし、「バカバカしいことをマジでやるバラエティー」としては“買い”かもしれない。それに、岡村が99人に指示を出すだけではなく、自分も自販機の下を覗き込んでいたところがいい。しかも別の番組の収録があって、途中でいなくなる様子まで見せていた。
 この番組を担当するのは「入社10年目以下のディレクター」だ。企画力も含め、彼らがどこまで頑張るかで成否が決まる。

(2013.11.12掲載)


「夫のカノジョ」 TBS

 TBSの連ドラ「夫のカノジョ」(木曜夜9時)が、先週14日に視聴率3.1%を記録した。これはすごい。初回4.7%でスタート。第2話が4.8%、第3話は3.7%、そしてあわや2%台かというところを踏みとどまった状態だ。
 もちろん裏の「ドクターX」が強いことだけが原因ではない。2人のカラダが入れ替わるという設定は映画「転校生」をはじめ、ドラマ「パパとムスメの7日間」、「山田くんと7人の魔女」など前例だらけだ。
また、入れ替わる39歳の主婦(鈴木砂羽)と20歳のOL(川口春奈)の関係が、「妻が夫の愛人だと誤解した」だけという設定も実に弱い。そして一番の欠点は、中途半端なドタバタ劇のようなストーリーが幼稚なこと。ナレーションを子役の鈴木福くんが担当しているのも象徴的だ。
 しかし、この瀕死のドラマにも「見るべきもの」はある。それは鈴木砂羽だ。ホクトの「きのこCM」で見せた“主婦のエロス”は秀逸だった。残念ながら一週間で放送打ち切りになったが、このドラマの行方によっては鈴木に「打ち切り女優」のレッテルが貼られてしまう。それはイカン。
 現状でも打ち切りは十分あり得る。視聴率が2%台まで落ちたら本当に終わるだろう。そうでなくても「ゴールデンの3%ドラマ」自体、貴重な“生ける伝説”である。見るなら早いほうがいい。

(2013.11.19掲載)


「解禁!暴露ナイト」 テレビ東京

 テレビ東京「解禁!暴露ナイト」(木曜夜11時58分)が始まったのは昨年の秋だ。うたい文句は、「職業の裏側、大事件の裏側、ニッポンの裏側、芸能界の裏側、など様々な世界の裏側を知り尽くした人物が大暴露!」。深夜ならではのゲリラ番組として、堂々の2年目に突入している。
 先週も話題は多岐にわたった。冒頭は厚労省の村木厚子さんが逮捕された「大阪地検特捜部・証拠でっち上げ事件」だ。取材を続けてきたジャーナリストが実名で登場し、「逮捕できるよう事実関係を合わせていく」という検察のハウツーを暴露していた。
 次に現役の競馬エージェントが騎手や馬主の表に出ない話を開陳。騎手には酒好きが多く、「その日の1レース前に検問したら全部アウト」などと大胆に発言していた。さらに弁護士が解説する悪質NPOや偽装質屋の手口にも驚かされた。
 番組を見ていると、初回の放送だけで打ち切りとなった、「マツコの日本ボカシ話」(TBS)を思い出す。当事者を登場させようという狙いは悪くなかったが、表現や演出手法でつまずいた。同じ轍を踏まないよう、ぜひ気をつけて欲しい。
 また、それ以上に気になるのが秘密保護法案だ。成立したら、この手の暴露番組も、何がどう抵触したのか分からないまま潰されるだろう。やはり悪法と言わざるを得ない。

(2013.11.26掲載)

2013年 テレビは何を映してきたか (12月編)

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ハワイ島 2013

「日刊ゲンダイ」に連載している番組時評「TV見るべきものは!!」で
振り返る2013年のテレビ。

ついに12月です。

追いつきました(笑)。


2013年 テレビは何を映してきたか (12月編)
「オリンピックの身代金」 テレビ朝日

 先週末、テレビ朝日が2夜連続で「オリンピックの身代金」を放送した。1964年の夏、東京五輪をめぐって繰り広げられる緊迫のサスペンスだ。
 東大院生・島崎(松山ケンイチ)の兄が五輪施設の工事現場で急死する。出稼ぎとして無理を重ねた結果だった。日本の経済成長を支えながらその犠牲となる人々と、置き去りにされる地方の現実に憤った島崎は、国家を相手の犯行計画を練る。
 事件を追うのは捜査一課の落合(竹野内豊)。自身の戦争体験、妹・有美(黒木メイサ)と島崎の関わりなど、その心中は複雑だ。藤田明二監督は正攻法で男たちの心情と行動を描いていく。50年前の東京や群衆シーンにも手抜きはない。全体として大人の鑑賞に耐える堂々の大作となった。
 それにしてもこの豪華なキャストはどうだ。メインはもちろん、天海祐希、江角マキコ、唐沢寿明、沢村一樹、柄本明などが出演時間の長短に関わらず脇を固めていた。20年ほど前、売れっ子俳優や人気タレントの中には「2ケタの局には出ない」とうそぶく人たちもいたのだ。2ケタとは当時のテレビ朝日が10チャンネル、テレビ東京が12チャンネルだったことを指す。思えば隔世の感だ。
 この企画は7年後の東京五輪開催の決定前から進んでいた。いわば賭けであり、それに勝つのもまた現在のテレ朝らしい。

(2013.12.03掲載)


「太陽の罠」 NHK

 NHK土曜ドラマ「太陽の罠」は3つの側面をもつ。まず太陽光発電とその特許をめぐる企業ドラマであること。次に1人の女をはさんで2人の男が対峙する恋愛ドラマ。そして全体の仕立てはサスペンスドラマだ。
 太陽光パネルの開発に社運を賭けるメイオウ電機が、パテント・トロールと呼ばれるアメリカの特許マフィアから訴訟を起こされる。社内の情報漏えいが指摘され、ある若手社員(AAAの西島隆弘、熱演)が疑われる。しかも彼は開発部長(伊武雅刀)に対する殺人未遂の罪まで背負わされてしまうのだ。
事件の背後には西島の上司(尾美としのり)や年上の妻(伊藤歩)、謎の企業コンサルタント(塚本高史)などがいる。彼らもそれぞれ秘密を抱えているところがミソだ。そうそう、刑事役の吉田栄作も中年男のいい味を出している。
 脚本は大島里美(「恋するハエ女」で市川森一賞)のオリジナル。企業、恋愛、サスペンスの3要素を盛り込みながら、視聴者にどのタイミングで何をどこまで教えるのか、その計算が実に緻密だ。おかげで、見る側も幻惑されながら推理を楽しむことができる。
 現在、全4回のうち前半が終わったところだ。特許戦争の行方。尾美の精神状態。伊藤の真意。塚本の狙い。そして西島の決着。まさにここからが佳境だろう。

(2013.12.10掲載)


「林修先生の今やる!ハイスクールSP」 テレビ朝日

 日本人は学ぶことが好きだ。また、教えられ好きでもある。「世界一受けたい授業」(日本テレビ)や「そうだったのか!学べるニュース」(テレビ朝日)のようなバラエティは、この特性を活かしたものだ。
 先週金曜に放送された「林修先生の今やる!ハイスクールSP」(テレビ朝日)も、そんな“教えて!系”バラエティーの1本だ。林といえば、例の「今でしょ!」が流行語大賞を受賞。今年、各局で引っ張りダコだった文化人の一人だ。
 とはいえ、この番組の林は教える立場ではない。逆に生徒となって学ぶというのがミソだ。しかも講師として登場したのが作家の百田尚樹。『永遠の0』『海賊とよばれた男』などのベストセラーを放ち、最近ではNHK経営委員への抜擢が話題となった。こちらもまた「時の人」である。
 今回の講義は「ベストセラーの作り方」がテーマだ。出版界の現状、作品づくり、作家の収入など具体的な話が並んだ。たとえば小説は頭から書かず、書きたい場面をストックしていき、最後に再構成する。また書店員を味方につけるのが本を売る秘訣だという。
 何しろ生徒役が林と伊集院光なので、百田先生も教え甲斐がある。見る側もつい身を乗り出す説得力があった。仕掛けと工夫次第で、“教えて!系”バラエティーのブームは来年も続きそうだ。

(2013.12.17掲載)


「TV見るべきものは!!」年末拡大SP 総括!2013年のテレビ 

 日本でテレビ放送が開始されてから60周年を迎えた2013年。将来編まれる放送史には、「あまちゃん」(NHK)と「半沢直樹」(TBS)の年だったと記されるはずだ。近年その凋落ぶりばかりが話題となっていたテレビだが、中身によっては見る人たちの気持ちを動かせることを再認識させた意義は大きい。
 しかし、その一方でテレビが自らの首を絞めるような不祥事も多かった。まず、ガチンコ対決を標榜してきた「ほこ×たて」(フジテレビ)のヤラセ問題だ。「どんな物でも捕えるスナイパー軍団vs.絶対に捕らえられないラジコン軍団」で、対決の順番を入れ替えるなど偽造を施していたのだ。また、猿とラジコンカーの勝負では、猿の首に釣り糸を巻いてラジコンカーで引っ張り、猿が追いかけているように見せていたという。特に後者は動物虐待でもある悪質な演出だ。
 さらに問題なのは、過去の真剣勝負まで疑いの目で見られたことだろう。町工場の職人技など、「モノづくり日本」の底力をバラエティーの形で見せてきた功績も、視聴者を裏切る形で損なわれてしまった。一連の背後には、かつての「発掘!あるある大事典?」(関西テレビ)のデータねつ造事件と同様、テレビ局と制作会社の関係における構造的な問題も存在する。BPO(放送倫理検証機構)はこの件の審議入りを決めたが、ぜひ深層にまでメスを入れて欲しい。
 次に、テレビ朝日のプロデューサーによる1億4千万円の横領事件。制作会社に架空の代金を請求するという、あまりに古典的かつ不用意な手口と金額の大きさに呆れるばかりだ。新2強時代といわれ、視聴率で日本テレビとトップ争いをするまでになったテレビ朝日のイメージダウンだけでなく、テレビ業界全体の体質とモラルが疑われる事件だった。
 また、今年はみのもんたの番組降板騒動もあった。本人は降板の理由を、次男が窃盗未遂容疑で逮捕されたことによる「親の責任」に限定していたが、それだけではないことを視聴者は知っている。社長を務める水道メーター会社が関わった談合問題、取材対象でもある政治家たちとの近い距離、度重なるセクハラ疑惑など不信感の蓄積があったのだ。
 同時に、視聴率を稼ぐタレントであること、局の上層部と関係が深いことなどから、毅然たる判断を保留し続けたTBSに対しても視聴者は冷ややかな目を向けた。前述のヤラセ問題や横領事件などと併せて、「所詮テレビはこんなもの」と思わせてしまったことは、身から出た錆とはいえ残念でならない。
 最後に特定秘密保護法である。正面切ってこの悪法に反対したテレビ局があっただろうか。いや、百歩譲って、この悪法の問題点をどこまで本気で伝えただろうか。報道機関として自身も多くの制約を受けることよりも、政権や監督官庁の顔色を気にして鳴りを潜めていたとしか言いようがない。こうした態度もまたテレビへの不信感を助長させるものだ。
 「あまちゃん」と「半沢直樹」で、一時的とはいえ輝きを見せたテレビ。来年の盛り上がりが、ソチオリンピックとワールドカップ・ブラジル大会だけでないことを祈りたい。

(2013.12.24掲載)


・・・・今年も、この日刊ゲンダイの連載をご愛読いただき、ありがとうございました。

年明け、2014年の「TV見るべきものは!!」は、1月第2週からスタート。

来年も、どうぞよろしく、お願いいたします!



<大晦日特別企画> 再録!「あまちゃん」緊急座談会

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2013年のテレビを振り返ってみると、最も印象に残っているのは、やはり「あまちゃん」です。

1本のドラマをめぐって、これだけたくさんの取材を受けたという体験もありませんでした。

新聞や雑誌で行った解説やコメントは、このブログの右側にある「新聞・雑誌でのコメント・論評」欄をチェックしてみてください。


さて、大晦日特別企画として(笑)、今もたくさんの方々が読んでくださる、「週刊現代」(2013.06.01号)の座談会を再録したいと思います。

ご一緒したのは、元NHKアナウンサーの松平定知さんと、アイドル評論家の中森明夫さん。

「あまちゃん」の放送が始まってからまだ間もない、5月というタイミングで行われた緊急座談会です。

それでも、このドラマの画期的なこと、その核心部分には、しっかり触れていたのではないでしょうか。

予測部分は、当たっていたこと、外れていたこと、いずれも面白い(笑)。

とにかく、3人のおじさんたちが、これだけ熱く語っているだけで、半端じゃないドラマだったことが分かります。



【緊急座談会】
松平定知×碓井広義×中森明夫

じぇじぇじぇ! 
連ドラ『あまちゃん』にハマっちゃったべ


ありえない透明感

松平 『あまちゃん』のロケ地である岩手県久慈市はこのGW、観光客が押し寄せて大盛況だったみたいですね。これから夏にかけてもっと増えるでしょう。
中森 初回から安定して20%超えという高視聴率ですからね。単純計算すればおよそ2500万人が見ていることになる。
碓井 私は長年朝ドラを見続けていますが、『あまちゃん』は10年にひとつの傑作だと思っています。
松平 私も毎朝欠かさず、家内と一緒に見ています。数少ない夫婦団欒の時間になっています(笑)。
中森 私は脚本がクドカン(宮藤官九郎)で、小泉今日子が出るというから、見始めたんです。すると想定を超えて面白くって、毎朝ツイッターで実況しています。それに反応して達増拓也岩手県知事も連絡をとってきてくれたりして、盛り上がりは大変なもの。こういう中高年男性は案外多いんじゃないかなあ。
碓井 老若男女、どの世代にも受け入れられるつくりになっていますよね。能年玲奈演じるヒロイン・アキ、小泉今日子演じる母・春子、宮本信子演じる祖母・夏と3世代の物語を本当にバランスよく織り交ぜていますから。実際うちの母は80代ですが、私と同じように毎朝笑いながら見ています。
中森 私にとってはなによりヒロイン。能年玲奈ですよ。かわいい! 長年忘れていた「透明感」という言葉を思い出させてくれました。
碓井 魅力的な美少女ですよね。いやらしさを感じない。純朴な天然少女を演じてもわざとらしくない。一生懸命で応援したくなる。スター女優の才を感じます。
中森 ヒロインの能年玲奈と、その親友役の橋本愛は10年、映画『告白』ですでに共演しているんです。中島哲也監督はそのキャスティングの際、「中学生の話だから、役者も15歳以下に絞る」とこだわったんですが、唯一オーバーエイジで選んだのが当時16歳の能年玲奈だった。中島監督は当時から「彼女は特別だから」と明言していました。
 そんな美少女が、海女のかすりはんてんを着て海に飛び込み、潜る。その躍動する姿だけでも見る価値がありますよ。
松平 たしかに水しぶきをあげて飛び込むシーンは、清々しい気持ちになりますね。朝見るのに最適だと思います。
碓井 『あまちゃん』の素潜りの映像の力はすごいですよ。見ているだけで楽しい。海底の青い画面は美しいし、ボンベをしないから顔も見える。テレビドラマにおける発明だと思います。
中森 海から上がってきたら全身びしょびしょで、そこもまたかわいい。彼女を見ると幸せな気分になりますよ。

実在の小泉今日子について

松平 東北弁が織り込まれた台詞がまたいいですよね。エスプリが利いていて実に面白い。言葉そのものは平易なんですが、これが実際に掛け合いになると、途端に生き生きとしてくる。特に北三陸の地元民の方々の会話は傑作で、ずっと聴いていたいくらい。毎日一言一句聞き逃すまいとしていますよ。
碓井 ユーモラスな会話劇に定評のあるクドカン脚本ですからね。でも、やはり松平さんのような言葉のプロだとそういうところを気にされるんですね。
松平 一つだけ気になっていることがあるんですよ。皆さん「あまちゃん」の「ま」にアクセントを置いて発音されていますが、それでは「海女」ではなくて「尼」になってしまう。正しいアクセントは「あ」のところだと思うんです。
中森 言われてみればそうですね。
松平 もしかしたら東北の方言なのかもしれませんが、少し気になります。
碓井 方言と言えば「じぇじぇじぇ!」(東北の方言で、驚いたときに使う)ですよね。ヒロインの能年玲奈じだけじゃなく、登場人物がことごとく言うから、不思議に耳に残る。
中森 流行語大賞狙えるんじゃないでしょうか。私もツイッターやメールで頻繁に使ってます(笑)。
松平 しかし主演の能年さんだけでなく、杉本哲太さん、木野花さん、渡辺えりさん、荒川良々さんなど、バイプレイヤーも抜群ですよね。
碓井 キャスティングも本当に素晴らしいですね。おそらくこれほど舞台の実力者が出演している朝ドラはかつてなかった。
 それになんと言っても小泉今日子。かつてのアイドルが本当にいい女優になりました。あのキョンキョンがほとんどノーメークということで、旧来のファンからは少なからず批判もあるそうですが、おかげで40代女性のリアリティを表現できている。
松平 アキが新人海女として地元のアイドルになって、テレビ出演が決まりそうになったとき、あのキョンキョンが自分の娘に向かって「あんたみたいなブスがアイドルになれるわけないでしょ!」って叫ぶんですから、驚きましたよ。
碓井 でも彼女がそんなに激する理由も、物語が進展して、わかってきた。小泉今日子演じる春子は実は「アイドルを目指して上京して夢破れた主婦」だった。だから、たいした意志もなくアイドルになろうとしている娘に嫉妬していたわけです。
中森 アイドル中のアイドルである小泉今日子が、アイドルのなりそこないを演じるんだから、たまらないですよ。にくいキャスティングです。
碓井 上京した時のまま、時間が止まったように保存されている春子の部屋には、当時の春子の憧れのアイドル・松田聖子のポスターがでかでかと張ってある。
中森 その部屋を春子が出て上京したのは1984年という設定なんですが、なぜ1984年なのか。ここが重要だと思うんです。
 現実のその年、キョンキョンは『渚のはいから人魚』で初めてオリコン1位を獲得し、トップアイドルになっています。でもその部屋を埋め尽くすポスターやレコードには、松田聖子や山口百恵はいても、キョンキョンはいない。つまり『あまちゃん』の世界は、「小泉今日子がアイドルとして成功できなかった」パラレルワールド。言わば『あまちゃん』はクドカン版『1Q84』なんですよ。
松平 おお! なるほど!(笑)


3・11をどう描くか

中森 これでクドカンも一躍国民作家ですね。
碓井 彼も元々はマイナーな舞台人。ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)や映画『GO!』でゼロ年代初頭に颯爽と登場し、一部の若者には絶大な支持を得ていたけれど、幅広い層にウケる脚本家ではなかった。だからクドカンにとって『あまちゃん』は、言わば第二のメジャーデビュー作。勝負の一作だったはずです。
中森 この他にも、八木亜希子が元女子アナ役だったり、今後薬師丸ひろ子がアイドル役で登場予定だったり、ドラマ世界と現実世界が入り交じっていて、様々な深読みができる。それもこのドラマの面白いところだと思います。
松平 王道的な朝ドラとしてしっかりクオリティを保ちながら、こうしてツッコミどころをたくさん仕込んでくるクドカンの手腕というのは恐ろしいですね。
中森 本当に脱帽ですよ。先日は、アキの親友役の橋本愛が、映画で共演した俳優の落合モトキとフライデーされ、その翌週に落合が『あまちゃん』に登場したりして、「これもクドカンの演出なのか?」と一瞬疑ってしまった。それも『あまちゃん』が現実と虚構を越境するドラマになっているからです。
松平 NHKの公式発表によれば、ドラマの後半、アキが上京してアイドルグループ『GMT(ジモト)47』の一員として奮闘する物語になるとか。海女ドラマからアイドルドラマに大きく舵を切るようですね。私としてはついていけるか不安です(笑)。
中森 私にとっては望むところなんですが(笑)。
でもそういう展開になったときに、中年男性の水先案内人を務めるのが小泉今日子でしょう。小泉今日子というのは、特別なアイドル。30年間アイドルとしてやってきて、いまでもアイドルです。このドラマは彼女がいたからこそ成立したと言えます。小泉今日子は影の主役といってもいいかもしれない。
碓井 今後のことで言えば、もう一つ気になるのが、東北(宮城県)出身のクドカンが、3・11をどう描くか、ということです。おそらくそのために、『あまちゃん』の舞台は、わざわざ08年と少しだけ過去に設定されている。
中森 朝ドラというのは本来、女の一代記であると同時に、戦争の物語でもあるんですよ。『おしん』だって『澪つくし』だって、戦争がドラマの重要なファクターとなっていました。だから終戦記念日の頃になるともんぺを履いて空襲、というのがかつての朝ドラのパターン。近年はすっかり忘れ去られていましたが、『あまちゃん』では3・11が戦争の代わりになるわけです。
碓井 被災から2年が経ちますが、日本のドラマはまだ一度も正面から東日本大震災を描けていません。昨年の話題作『最高の離婚』(フジ系)は震災をきっかけに結婚した夫婦のドラマでしたが、舞台は東京だった。おそらく『あまちゃん』は日本初の本格的震災ドラマになります。
中森 能年玲奈のいまの凛々しくかわいらしい顔が、3・11という極限を前にした時、どう変わるのか。その顔が見たい。
碓井 その震災の描き方の予想のひとつのカギは、ナレーションだ、という話があります。
松平 ナレーションは祖母・夏役の宮本信子さんが担当されていますよね。あれもハマリ役だと思います。
碓井 ナレーションは普通、第三者的に、いわゆる神の視点で物語をナビゲートするか、登場人物が回想として心の声をナレーションするか、のどちらか。でもこの夏のナレーションは、その両方をこなし、さらに夏以外の登場人物の心の声も語る。役も神も超越してしまっているわけです。
 ここから「夏は11年の震災で亡くなってしまうのではないか。そして霊となって08年に遡行してアキたちを見守っているのではないか」という予測もあるようです。
中森 鋭い意見ですね。そう考えれば色々と合致してくる。
松平 震災後、アキはどんな行動をとると皆さんは予想されますか?
碓井 アイドルとして三陸に戻るんじゃないでしょうか。被災した地元の人々の元に駆けつけ、震災と向き合う。そこにアイドルを描くことの意味があると思うんです。

ドラマと現実の境目が消える

中森 震災以来、現実のアイドルであるAKB48が被災地訪問を続けている姿と重なりますね。
碓井 そうですね。中森さんのような専門家の前でアイドルを語るのもおこがましいのですが、私はアイドルというものは、人を元気にさせる存在だと定義しています。その意味でアイドルは、最も遠いように見えて、最も朝ドラのヒロインにふさわしい職業かもしれない。
中森 私は能年玲奈が劇中のアイドル名義でCDデビューするんじゃないかと睨んでいるんですよ。それで紅白歌合戦に出場する、と。朝ドラ主演女優としてではなく、「天野アキ」という歌手として。
 97年の朝ドラ『ふたりっ子』では、劇中歌手のオーロラ輝子がCDを出して大ヒット、その年の紅白にも出場しましたから、ありえない話ではない。
松平 大友良英作曲、クドカン作詞で、小泉今日子が歌うドラマオリジナル曲『潮騒のメモリー』も発表されましたからね。期待していいかもしれません。
碓井 そうなるといよいよ現実と虚構がないまぜですね。面白くなりそうです。
中森 『あまちゃん』は本当に文句なしのドラマなんだけど、ひとつだけ苦言があるんですよ。ドラマの直後に始まる『あさイチ』です。
 キャスターの有働由美子アナと井ノ原快彦(∨6)が、冒頭でいちいち「じぇじぇ!」とか言いながら、ドラマの感想をコメントするんです。せっかく爽やかな気分になっているのに、急に現実に戻される。あれはやめていただきたい(笑)。
碓井 わからないでもありませんが……。
中森 だから最近は『あまちゃん』が終わったら慌ててテレビを消すようになりました。
松平 私はノーコメントで(笑)。

(週刊現代 2013.06.01号)


【気まぐれ写真館】 信州夕景  2013.12.31

「あまちゃん」完結編としての紅白歌合戦

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やるなあ、NHK。

紅白歌合戦での「あまちゃん」、すごかったなあ。

予想していたものは、ぜ〜んぶ、やってくれました(笑)。

だって・・・・

ユイちゃんは、長年の夢が叶い、上京することができた。

もちろん、アキもまた「潮騒のメモリーズ」として、ユイと一緒にステージで歌うことができた。

GMT47は、念願の全国デビューができた。

アメ女の「暦の上ではディセンバー」も、この日のための歌だったのかも(笑)。

いや、それだけじゃない。

天野春子もまた、あれほど憧れていた舞台に立つことができたのだ。


もしかしたら、「あまちゃん」はこの紅白で、ようやく完結したのではないか。

「あまちゃん」完結編としての紅白歌合戦(笑)。

いやはや、今年は最後まで「あまちゃん」の年でした。





















謹賀新年 2014

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あけまして
おめでとうございます

本年も
どうぞよろしく
お願いいたします


碓井 広義





2014年の聴き初めは、マイルス

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2014年の「聴き初め」は、レコードで聴く、マイルス・デイビス。

弟のサイトで聴けるんです。

彼の趣味は、古いレコードプレーヤーの収集。

しかも、動かなくなったモノを入手して、それを歯科医師としての技術を応用して修理し(笑)、そのプレーヤーと同じ時代のレコードをかけて楽しんでいるのです。

実家には、アメリカ製のエジソン型から80年代の国産品まで、たくさんの“現物”が陳列されており、ちょっとした博物館。

同時に、そのコレクションの一部をサイトで公開している、というわけです。

アナログプレーヤーと、アナログレコードで聴く、マイルス・デイビスの「RELAXIN'」。

かなり、いいです。



<弟のサイト>

 浪漫紀行:
 http://keiai1515.blog51.fc2.com/

【気まぐれ写真館】 信濃大町 2014.01.02

【気まぐれ写真館】 夕景 2014.01.03

強力コンテンツとしての「箱根駅伝」

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原稿の締切りも忘れて(逃避して?)、つい、見てしまった。

箱根駅伝。

2日の往路、3日の復路、両方とも。

困ったもんだ(笑)。

なぜだろう、ただ人が走っているだけなのに。

普通のマラソン中継より、俄然見入ってしまうのは、やはり駅伝だからだろうなあ。

仲間へとつなぐ、あの「たすきリレー方式」に弱いんだなあ。

42.195キロを一人で走るのではなく、自分が担当する区間を走るからこそ、終始全力疾走のような、めいっぱいの走りになる。

そりゃ、母校のためとか、自分のためとか、もしかしたら何らかの損得勘定もあるかもしれないけど、そんなものは吹っ飛ぶくらい、みんな必死で、ひたすら走っている。

それがいいんだろうなあ。

見ちゃうんだろうなあ。

あらためて思うのは、生中継がもつ現場力だ。

リアルタイムの魅力だ。

「テレビならでは」の強力コンテンツ。

実況アナウンスは、ちょっとうるさいけどね(笑)。

駅伝中継の魅力について、今度じっくり考えてみます。

大瀧詠一さんのこと

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昨年12月30日、大瀧詠一さんが亡くなりました。

享年65。

解離性動脈瘤(りゅう)だったそうです。


40年前、大学生の頃。

当時、田園調布にあった友人の杉田君の家で、初めて「はっぴいえんど」のアルバムを聴かされた時の衝撃を思い出しました。


関連記事がいくつか出ましたが、朝日新聞に掲載された内田樹さんのものが一番フィットしました。

ただ、内田さんのブログによれば、朝日の文章は短縮版だったそうで、オリジナルを転載して、あらためて大瀧さんのご冥福をお祈りします。

合掌。


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大瀧詠一師匠を悼む

朝日新聞から依頼があって、大瀧詠一さんの追悼文を書いた。

字数の関係でショートヴァージョンが紙面には掲載されたので、ブログにはオリジナルを掲げておく。



音楽や映画について、信じられないほど広く深い知識を持っているだけでなく、ふつうの人は気づかないものごとの関係を見出す力において卓越した方でした。2歳違いですが、久しく「師匠」と呼んでいました。

ツイッターで大瀧さんが手がけた曲の元ネタについてつぶやいたら、数分のうちに「この二つを結びつけたのは地球上で内田さんが最初の人です」と返信をいただきました。うれしかったですね。大瀧さんの元ネタをみつけるのは、ナイアガラーにとって最高の勲章だからです。

一度聴いた曲はすべて記憶しているのかと思うほどの桁外れの記憶力でした。無人島に1枚だけレコードを持って行くなら何にするかという雑誌のアンケートで、大瀧さんは『レコードリサーチ』というカタログの1962〜66年を持って行くと答えました。「全曲思い出せる」から、「ヒットチャートを頭の中で鳴らしながら一生暮らす」ことができる、と。

はっぴいえんどは、米国のロックバンド、バッファロー・スプリングフィールドをドメスティックに解釈して「日本語のロック」を作り出したのですが、代表曲の「春よ来い」は地方から都会に出てきた青年の孤独と望郷の念を歌う、春日八郎や三橋美智也にも通じる楽曲でした。少年時代から、ポップスやロックだけでなく、ジャズも民謡も、あらゆる音楽を身に浴びてきたことが、大瀧さんの血となり肉となっていたのでしょう。

長く新曲を出していませんでしたが、ラジオには定期的に出演して、「ラジオ番組がニューアルバムなんだ」と話していました。ですから、『日本ポップス伝』と『アメリカンポップス伝』、山下達郎さんとの『新春放談』を録音したものは何十回聴いたかわかりません。車に乗っている時間はほとんどカーステレオから流れる大瀧さんのDJを聴いて過ごしていたわけですから、僕が人生で一番たくさんその人の話を聴いたのは、間違いなく大瀧さんです。

師匠が残してくれた音楽とラジオ番組はこれからも繰り返し聴くことができますが、あの話の続きを聴くことがもうできなくなると思うと、失ったものの大きさに愕然とします。

(内田樹の研究室 2014年01月03日)

「男たちの旅路」、再び

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NHK・BSプレミアムで、「男たちの旅路」を見ました。

1976年2月28日に放送された、第1話「非常階段」。

見るのは、なんと38年ぶりです。



警備会社の司令補・吉岡晋太郎(鶴田浩二)、新人の杉本陽平
(水谷豊)と柴田竜夫(森田健作)。

そして、ビルの屋上から飛び降りようとしていたOL・島津悦子(桃井かおり)。

まずは、みんな若い(笑)。

そして、第1回目ということもあり、それぞれの人物像が鮮やかに
描かれていました。

中でも、特攻隊の生き残りである吉岡。

鶴田浩二自身の実人生とも重なって、強く印象に残る役柄です。

杉本や柴田がどうなっていくのかも気になる。

これって、次からも見ちゃうよなあ(笑)。

そう思わせてしまう脚本は、山田太一さんです。

やはりドラマは脚本。

いい勉強になります。

荒俣宏さん曰く、「人生は7勝8敗がいい」

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BS日テレ「加藤浩次の本気対談!コージ魂!!」。

5日(日)のゲストが荒俣宏さんでした。

「世界大博物図鑑」をめぐるエピソードが懐かしい。

荒俣さんと知り合ったのは、最初の巻「鳥類」が出版される頃でしたから。

1987年です。




番組で語っていたのは・・・

あらゆることを犠牲にして、「好きなこと」に打ち込んでいた当時の話。

翻訳家で海外怪奇小説文学を日本に紹介してきた平井呈一さん、漫画家の水木しげるさんを「師匠」としてきた話。

下町のおやじさんたちの、あえて損をすることを喜ぶ話。

そして、結婚と泰子夫人の話。

「友人の紹介で知り合って・・・」という、その友人が私です(笑)。

荒俣夫妻の仲人を務めさせていただきました。

結婚式が1994年でしたから、20年前になりますね。

ま、それはともかく(笑)、番組の中で荒俣さんが相撲の「星取り表」にたとえて披露していた、「人生は7勝8敗がいい」という哲学が、とてもよかったです。

荒俣さん、おつかれさまでした!



2013年「人気ドラマ」「人気バラエティー」ランキング

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2日夜に放送された、NHK「新春TV放談2014」。

この番組で発表された、2000人アンケートです。

2013年の「人気ドラマランキング」と、「人気バラエティーランキング」。

その結果を眺めているのですが、結構、興味深いです(笑)。



年明け「テレビ制作?」再稼働

テレビがテレビを語る、NHK「新春TV放談2014」

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日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今年、最初に取り上げた番組は、NHK「新春TV放談2014」です。



半期に一度は放送して欲しい
NHK「新春TV放談」

毎年この特番を見ると新年を迎えた気分になる。2日夜に放送されたNHK「新春TV放談2014」。NHK・民放を問わずこの1年間のテレビを語り合うという内容だ。

昨年とは一部メンバーが変更されている。司会は千原ジュニアと一柳亜矢子アナだが、前回までは上田早苗アナだった。パネラーのテリー伊藤、関根勤、鈴木おさむ、演出家の大根仁はそのまま。以前の秋元康がつんく♂に、小島慶子がミッツ・マングローブに入れ替っているのが笑えた。

まずはドラマで盛り上がる。「半沢直樹」について、鈴木が「行政感の希薄なキャスティング」を指摘。作りたい物語に役者をハメていく、ドラマ本来の作り方の魅力を語った。テリーの「出演者が美容院ではなく床屋に行っている感じがいい」という話もうなずけた。

また「あまちゃん」では当然のことながら宮藤官九郎の脚本に話が集中。大根の「作り手と視聴者が一緒に成長できた」という評価も納得だ。

バラエティーに関しては有吉弘行の活躍が注目された。レギュラー15本は確かにすごい。新番組5本のうち、タイトルに名前の付いた冠番組が4本というのも際立つ。「どこかネット的」というテリーの見立てが鋭い。

テレビがテレビを語るこういう番組を、できれば半期に一度は放送して欲しい。今年のテレビを面白くするためにも。

(日刊ゲンダイ 2014.01.07)

週刊新潮で、みのもんた「超低姿勢」についてコメント

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発売中の「週刊新潮」最新号に、みのさんの近況を伝える記事が掲載されました。

この中で、コメントしています。


記事タイトル:
出演者が驚愕した「みのもんた」
ケンミンSHOWの超低姿勢

記事のポイントとしては・・・

・かつては収録前の出演者打ち合わせやリハーサルに出てこなかったみのさん。

・また、VTRが流れているときも居眠りをしていたみのさん。

・それが、最近はリハーサルにも顔を見せるようになり、ゲストにも愛嬌を振りまいているそうで、出演者も驚くほどの腰の低さだという。

・どうやら、「ケンミンSHOW」の3月降板はなくなり、4月以降も出演することが決まったらしい。

・芸能レポーターの須藤甚一郎さんは「結局のところ、彼の作戦勝ちではないでしょうか」などとコメント。

・・・・という内容に続き、以下、記事の本文です。


状況に対処するこの臨機応変さは、見事というか、姑息というか、ダテに視聴率男と呼ばれていたわけではない。

上智大学の碓井広義教授(メディア論)は、
「臆面もなく、これまでと打って変わった態度を取れるのが、あの人の真骨頂。なにか専門的な知識があるわけでもなく、文字通り“口舌の徒”に過ぎないので、テレビ業界に身を置くのに必死なのです」

とはいえ、みのの性格からして、喉元を過ぎた後もこの作戦が、いつまで続けられるかは疑問だそうだ。

(週刊新潮 2014.01.16迎春増大号)

「視聴覚教育」で撮影本番

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