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週刊新潮で、「明日ママ」スポンサー問題についてコメント

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発売中の「週刊新潮」最新号で、「明日、ママがいない」をめぐるスポンサー問題についてコメントしました。

「芦田愛菜」の「明日ママ」スポンサーが
日テレに「明日、金返せ」
芦田愛菜(9)主演の日本テレビ系「明日、ママがいない」は、児童養護施設が舞台のドラマ。だが、ストーリーとは別の“騒動”の方が話題になっている。

赤ちゃんポストに入れられていた主人公のあだ名は「ポスト」。この設定に対し、日本で唯一の赤ちゃんポストを設置している熊本・慈恵病院が初回放送直後の1月16日、「精神的な虐待、人権侵害にあたる」と放送中止を求める記者会見を開いた。他にも、施設長が「お前たちはペットショップの犬と同じだ」と罵倒するなどのシーンが問題視され、22日には放送倫理・番組向上機構への申立も行われた。

これに敏感に反応したのが、番組を提供する8社のスポンサーだった。第2回放送では提供クレジットの表示がなくなり、うち3社はCMも放送しなかった。さらに第3回では、全社がCMを放送せず、代わりにACジャパンのCMが延々と流された。

「過去に同じ日テレのドラマ『女王の教室』で提供クレジットの表示を止めたことがありましたが、全社CM自粛は前代未聞です」とは、上智大学の碓井広義教授。

そんなさなか、視聴率は初回14.0%とまずますの滑り出しを見せ、第2回13.5%と微減したものの、第3回は15.0%に再浮上。平均視聴率は冬ドラマ16番組中、『S−最後の警官―』(TBS系)に次ぐ堂々2位に躍り出た(2月4日現在)。

さてこの顛末、日テレにとってウハウハなのか、ガッカリなのか。

 別のスポットCMで補填

広告代理店社員が明かす。
「自社CMをACに切り替えるのは、あくまでスポンサー側の判断。ですから、たとえCMが流れなくても、スポンサー料は契約通り支払われることになります」

つまり、日テレは損するどころか、騒ぎで視聴率が上がった分、“焼け太り”なのである。しかし、そうは問屋が卸さない。

「東日本大震災の時も当時のご時勢でCMを“AC対応”に切り替えたし、弊社の不祥事でCM自粛することだってありえます。でも、今回は日テレさんの不祥事とはいえないまでも、あちらが原因なのは明白です」と、某スポンサー幹部は憤懣やるかたないご様子。

「既に支払った分もありますが、今後の支払いに関しては日テレさんと交渉中です。だって、テレビ局側に責任がないなんて馬鹿げてるじゃないですか」(同)

スポンサー陣営から、“金返せ”コールが巻き起こり始めているのだ。

もっとも、「ドラマのスポンサー枠は通常、2クール以上の単位で契約します。今回のスポンサー8社も、『明日ママ』だけを買ったわけではないので、契約解除すると次クール分が丸損になってしまいます」(先の広告代理店関係者)

「企業は『明日ママ』ではなく“水曜22時枠”を買っています。この“座席”を手放してしまうのはもったいないので、おそらく降板はしない。ただ、局側もある程度の減額に応じざるを得ないでしょう」(碓井氏)

“払戻金”はいかほどか。

「この枠は1クール1社1億円で計8社。そこから代理店が抜いて、局に約6億円入ります。第3回から最終回まで7回分全額の“返金”となると、局は5億円弱の痛手になりますが、不祥事ではないのでさすがにそれはない。実際は、代理店のとりなしで5割引、あとは別番組のスポットCMで補填、といったあたりが落としどころになるのでは」(広告代理店社員)

子役ドラマ騒動の結末は“大人の事情”で決まり。

(週刊新潮 2014.2.13号)


毎日新聞で、「明日ママ」放送継続をめぐってコメント

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日テレ「明日ママ」放送継続
子供の尊厳と表現の自由の間で
児童養護施設を舞台にした日本テレビの連続ドラマ「明日、ママがいない」の内容や表現をめぐる一連の騒動は、日テレが関係団体に謝罪し、細心の注意を払って放送を継続することで、一応の決着を見た。フィクションであるドラマの表現の自由と、子供の尊厳をどのように考えたらいいのか。3人の識者とともに考えた。
【有田浩子、青島顕、土屋渓】

「一定の改善が図られると受け止めた。放送を見守りたい」。厚生労働省で5日、記者会見した全国児童養護施設協議会の藤野興一会長は、日本テレビの佐野譲顕(よしあき)・制作局長から前日(4日)に、A4判で2枚の謝罪文書を受け取ったことを明かし、「誤解を与えないよう、細部に注意を払う」とした回答に一定の評価をした。

協議会などは、主人公のあだ名や、子供をペット扱いしたり、罵倒したりする表現に改善を求めていた。児童養護施設からはドラマを見た子供が自傷行為に及んだという報告も上がっており、日テレは「そのような事実が存在するのであれば、結果を重く受け止め、子供たちにおわびする」とした。

回答の中で、日テレは子供たちが前向きに愛情をつかむテーマ設定について、「協議会の活動と方向性は異ならない」と説明した。しかし、藤野会長はなお「社会的養護(社会全体で子供を育む理念)への理解が不足している」と指摘。同席した全国里親会の星野崇会長も「子供は傷ついた。里親は必死に育てている。私たちの努力に水をかけるのはやめてほしい」と、不満をあらわにした。

親が育てられない子供を預かる「赤ちゃんポスト」を全国で唯一設置する慈恵病院(熊本市)は、あだ名の「ポスト」を問題視したが、この日放送中止の要請を撤回したことを明らかにした。記者会見した蓮田健・産婦人科部長は「3話までに(表現は)だんだん柔らかくなっている」とストーリーの進展を肯定的に受け止めた。ただ、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会への申し立ては取り下げない方針。蓮田部長は「弱者を描くドラマにどういった配慮が必要か。裁判で争うのではなく、メディア全体に(表現の配慮を)お願いするしかない」。

       ◇

問題の発端は初回放送日翌日の1月16日、慈恵病院が記者会見し、放送中止を求めたことだった。同21日には協議会と里親会が記者会見し、内容の改善を求めた。日テレ側は当初、「子供たちの視点から『愛情とは何か』を描いた」と、ドラマの趣旨を説明したコメントを発表したが、団体が求めていた謝罪や放送中止には応じず「最後まで見てもらえばわかってもらえる」としていた。

変化が表れたのは同27日の大久保好男社長の会見だった。スポンサーのCM放送自粛は予想外だったとみられ、大久保社長は「『配慮が足りないのではないか』との抗議は重く受け止めている」と述べた。日テレ側はその後、病院や協議会、里親会を個別に訪ね、話し合いを重ねてきた。

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◇ドラマのあらすじ

ドラマは「コガモの家」が舞台。人気子役の芦田愛菜(あしだまな)さんが、「赤ちゃんポスト」に預けた母を憎むがゆえに「ポスト」と名乗っているという設定。第1話は、施設長(三上博史さん)が、子供たちに「お前たちはペットショップの犬と同じだ」と言い放ち、可愛げを身につけるよう命令したり、水の入ったバケツを持たせたりするなど暴力的なシーンが目立った。第2話以降、あだ名についての変更はなかったが、学校生活や里子を希望する夫婦らの元で過ごす「お試し」の様子を通じ、「愛を求めたくましく生きる子供たちを描く」(日テレ)。毎週水曜午後10時放送。全9話。「聖者の行進」「高校教師」などの脚本で知られる野島伸司さんが監修。


<識者の話>

◇一部分で断罪、作者に酷
  上智大教授(メディア論)・碓井広義さん

第1話の放送が終わるとすぐに「内容がけしからん」と抗議が入り、中止が取りざたされた。これで、もし本当に取りやめになったら大きな前例になり問題だ、というのが当初の実感だった。小説やドラマでは極端な表現で普遍を描くこともある。登場人物がみんないい人では、表現の幅を狭めてしまう。一部分を見て作品を断罪されると、作り手はつらい。「全体を見て評価して」と思うだろう。

ドラマを監修したのは野島伸司さん。第1話を見た印象は明らかに「野島節」。きわどい設定、きつい言葉遣い。子供に手を上げる場面もあった。親に捨てられ入った施設も安住の地ではない。「家なき子」「高校教師」などもそうだが、登場人物に圧をかける(過酷な状況に追い込む)のが野島さんの得意パターン。視聴者の心を揺さぶり騒がれても「最終的にはいいお話でした」で決着させる。この手法がちょっと古い。

親が子をあやめる事件や虐待が多発し、視聴者の目は厳しい。現実をどう取り込むか、思慮が足りなかったのではないか。今はツイッターなどで「嫌なものは嫌」と誰しも声を上げられる。そこに乗っかる人もいて雪だるま式に広がる。

4話では子供たちの気持ちの通い合いや、施設長の心根がはっきり見えた。当初から制作側が意図した展開だと思う。今後「ポスト」という呼び名を減らすなど細かい配慮が表れるだろうが、構成は変わらないはず。真価は最終回までのトータルで問われるべきだ。


◇当事者納得の結末、望む
  コラムニスト・ペリー荻野さん

ドラマ自体はアニメの「ちびまる子ちゃん」みたい。金持ちの家の子の誕生日に招かれ、目がハートになるなど、デフォルメされた描かれ方になっている。

内容をすべて知る作り手側は「これで大丈夫」と思い、当初は見てもらえばわかるの一点張りだったが、「ポスト」など言葉のインパクトが先行し、考えていた以上に、視聴者や関係者との間に「ずれ」が生じてしまった。

日テレは2005年、天海祐希さん主演のドラマ「女王の教室」でも物議をかもしたことがある。天海さん演じる女性教師が、生徒たちに過酷な試練や言行を浴びせ続ける内容だった。このときは力業で押し切った。今回もその手法だったのかもしれない。

しかし、女王の教室は架空の設定とのみこめたし、ドラマの完成度は高かったが、今回は「ポスト」「里親」などの言葉は現実とリンクし、100%フィクションのドラマとして見るのは難しい。そうであれば慎重な配慮が必要だった。
騒動が起きた当初は、放送を中止にして、有料チャンネルでの放映や映画化するなど、仕切り直しをしてもいいのではないか、と考えていた。

だが、日テレが関係者とコミュニケーションをとったうえで、放送の継続を決めたのであれば、傷ついた当事者に納得のいく結末を見せてほしい。そして、願わくは今回の騒動を記憶し、もう一度ドラマの表現を考えるきっかけにしてほしい、と思っている。


◇「最後まで見て」傲慢だ
  立教大教授(メディア法)・服部孝章さん

「赤ちゃんポスト」から取った子供の呼び名、施設長役の「ペットショップの犬と同じだ」といったせりふは、児童養護施設で暮らす子供への差別感や偏見を助長する。全国児童養護施設協議会の調査でも事例が寄せられた。日本テレビは4日に謝罪したが、自傷行為などの事例の確認をしていないのか、文書には「事実が存在するのであれば」と前置きがあった。「表現の自由」が尊重されなければならないのは当然だが、それ以前の問題だろう。

誰でもアクセスできる地上波番組で、子供たちに与える影響も大きい。大人が対象の午後10時からの放送ではあるが、録画で見る人も多い。第1回放送前には、昼間の時間帯に番組予告を繰り返していた。

1回完結のドラマではない。日本テレビは「最後まで見てもらえれば分かってもらえる」と説明したが、傲慢な態度だと思う。確かに最後には施設の子への応援歌になっているのかもしれないが、その間、あだ名やせりふが何度も流され、当事者が「被害を受けた」という思いが堆積(たいせき)していく。

放送を中止すべきだとは思わないが、たとえば「差別を肯定する意図は全くありません。可能でしたら、最終回まで見ていただけたなら、私どもの意図をご理解いただけると思います。低年齢層の子供には年長者とともに視聴し、偏見を生まないよう助言なさっていただきたい」といったおことわりのテロップを入れるなどの配慮が必要だろう。

(毎日新聞 2014年02月10日)


日刊ゲンダイで、池上彰さん「都知事選特番」についてコメント

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都知事選特番でも快刀乱麻
舛添を“敵前逃亡”させた池上彰大明神
「池上のインタビューは受けない」
ジャーナリスト池上彰(63)の前では、圧勝したはずの舛添要一(65)もタジタジだった。

9日に投開票された東京都知事選挙。結果は周知の通りだが、舛添のニヤケ面に一太刀浴びせたのが池上だった。TOKYO MXの都知事選開票速報特番「首都決戦2014」に出演した池上は、スタジオから都知事の仕事、都議会との関係、東京が抱える諸問題などについて解説。

見せ場は冒頭すぐに訪れた。8時の時報と同時に当確が打たれ、しばらくすると舛添がMXのインタビューに登場。当初は進行役のキャスターが感想を聞いていたが、途中から池上が参戦。その途端に舛添の顔色が変わった。

池上は、過去に自民党から除名処分を受けながらも今回、自民の支持を受けた舛添に対して「都政を運営する上で借りをつくったということは?」と直球勝負。すると舛添は「借りとかそんなのは意味がない。過去より先を見て東京をどうするかだ」とシドロモドロになりながら論点をすり替え。「政治家はそれぞれいろんな経歴がある」と気色ばみ、自身の変節まで認める混乱ぶりだった。

正体見たりという気になるが、池上がフルっていたのはこのインタビューの直後だった。なんと、「舛添陣営は池上のインタビューを受けないと事前に断っていた」という驚きの内幕を暴露したのである。

耳が痛いことを聞くジャーナリストの質問は受け付けないつもりだったということらしい。

上智大学の碓井広義教授(メディア論)はこう言う。

「事前に断られていたからこそ、インタビューには飛び入り参加したのでしょう。その内幕まで話すとは、池上さんらしい視聴者サービスです。池上さんは他にも石原伸晃さんに“勝てる人に乗ったということですよね?”と尋ねて“探したけどいなかった”という言葉を引き出した。ゲスト出演した松沢成文さんには前回の都知事選出馬のドタバタ劇について“だまされたようなものです”と言わせた。これは池上さんにしか引き出せなかった興味深い言葉です。

翻って、情けないのはMX以外の他局です。都知事選は国政への影響も大きく、一地方の首長選とはワケが違う。にもかかわらず、開票特番を放送したのはMXだけ。もちろん、MXが東京ローカルという特殊性はあるにせよ、他局が通常番組を放送し、都知事選を過小評価する中で特番を組んだ姿勢が素晴らしい。拍手を送りたい」

快刀乱麻の“池上大明神”は、日付が変わってからはテレビ東京の都知事選特番に登場。自民党の石破幹事長を相手に丁々発止の議論を繰り広げ、視聴者は大いに留飲を下げた。

池上自身は政治家になるつもりはないと公言しているが、都知事になってほしい候補ナンバーワンなのも大いにうなずける。

(日刊ゲンダイ 2014.02.10)


週刊ポストで、「テレビ東京」についてコメント

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発売中の「週刊ポスト」最新号が、テレビ東京の大型特集を組んでいます。

確かに、最近のテレ東は面白い。

この記事の中で、コメントさせてもらいました。

以下は、記事全体の4分の1くらいです。


絶好調テレビ東京の
「弱者の兵法」大研究 
その?
ゆる〜く愛して!?

フジテレビ、TBSなどかつて「民放の雄」といわれたテレビ局が凋落の一途をたどる中、「弱小局」と揶揄され続けてきたテレビ東京が快進撃を続けている。

視聴率では、平日プライムタイム(午後7〜11時)でフジやTBSを抜いて民放4位に位置することも珍しくない。経営面でも、昨年4〜9月期の経常利益の伸び率は91.5%増をマーク。昨年の年間視聴率で初の2冠を獲得したテレビ朝日を抑えて、民放トップの伸び率だ。

1964年の開局から半世紀。長い苦境の時を経て、今まさに「テレ東の時代」が到来したというのは、上智大学の碓井広義教授(メディア論)だ。

「規模、予算、すべての面で他局に劣る“弱者”のテレ東ですが、めげずにコツコツと努力を重ねてきた。視聴者のテレビ離れが叫ばれ、各局が様々な制約に苦しむようになって、長年の努力がようやく実を結んだんです」

確かに、テレ東発の番組は絶好調。ならではの新機軸を続々と打ち出している。特徴は“ゆるさ”だ。

来日する外国人をスタッフが成田空港で勝手に出迎え、その場で交渉して日本観光に密着するゆる〜い番組『YOUは何しに日本へ?』(月曜18時30分〜)はコンスタントに7〜9%の視聴率を稼ぐ。

同じく、さまぁ〜ずが街をぶらぶらと歩くだけのユルユル番組『モヤモヤさまぁ〜ず2』(日曜18時30分〜)は、アシスタント役で、局のエース女子アナの大江麻理子アナ(35)がニューヨーク転勤になり行く末が危ぶまれたが、天然キャラの狩野恵里アナ(27)の抜擢と放送時間拡大という秘策が当たった。視聴率は大江時代をしのぐ勢いだ。

看板番組のひとつ、『出没! アド街ック天国』(土曜21時〜)も堅調だ。裏番組のTBS系『世界ふしぎ発見!』が豪華絢爛な海外ロケを敢行しているにもかかわらず、「八王子」「秩父温泉」などのシブ〜いローカル特集で迎え撃ち、なぜか視聴率では劣らない。

2月1日の放送では、ロシア特集を組んだ『ふしぎ発見』に対し、『アド街』は西荻窪特集で勝負を挑み、どちらも9.8%の引き分けに持ち込んだ。「なんでやねん!」というTBS局員の歯ぎしりが聞こえてきそうだ。

さらに、「これぞテレ東!」と唸らせるのが、『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』(土曜18時30分〜)。

蛭子能収(66)と太川陽介(55)というどう見たって“数字”の取れそうにないオッサンコンビが女性ゲストを迎え、路線バスでひたすら旅を続ける。他局からすれば「やる気あるのか!」という内容なのに、視聴者には大受け。土曜夜の不定期放送ながら、12〜13%の高視聴率を叩き出す“キラーコンテンツ”だ。

さらにこの春には大江アナが米国から帰国する。“女帝”として長らく君臨してきた小谷真生子キャスター(48)に代わり、3月31日から看板報道番組『ワールドビジネスサテライト』(月〜金曜23時〜)の新キャスターを務める。

カレンダーの売り上げが累計1万部を超え、ツイッターのフォロワー37万人を誇る大江アナの凱旋により、テレ東はまさに磐石の布陣となるのだ。

(週刊ポスト 2014年2月21日号)

書斎のブラックホール!?

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部屋を片付けたいと思う。

いや、ずっと思っています。

家の中とはいえ、いわば仕事場なので、ある程度乱雑になるのは仕方ない。

しかし、必要な本や資料がすぐに出てこないのは困ります。

困るけれど、なかなか時間がなくて、ますます乱雑になっていく。

もう少ししたら、あの仕事が済んだら、と先送りするのがいけない、ということも分かっているのだが、片付け始めたら1週間でも終わらないことも知っています(笑)。

で、仕事の合間に、高橋輝次:編 『書斎の宇宙〜文学者たちの愛した机と文具たち』(ちくま文庫)なんてのをパラパラやっている。

黒井千次さんの机の上が原稿用紙を広げられないほど邪魔物にふさがれているとか、津村節子さんが「資料の上に資料が重なり、どこに何があったか」と悪戦苦闘する様子とかを読んで、少しホッとしたりして・・・。

いやはや、私の書斎は、宇宙どころか、ブラックホールなのかもしれません。





今週、私が「読んで、書評を書いた本」は次の通りです。

鴨下信一 『昭和十年生まれのカーテンコール』 幻戯書房

都築響一 『独居老人スタイル』 筑摩書房

枡野俊明 『眺める禅』 小学館

池 央耿 『翻訳万華鏡』 河出書房新社

* これらの書評は、
  発売中の『週刊新潮』(2月13日号)
  読書欄に掲載されています。

アエラで、佐村河内守「別人作曲」問題についてコメント

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メディアの礼賛が増幅させた虚像
「疑いようのない才能」

事実より感動を優先した。
影響力のあるメディアが彼の虚像を拡大し、
その結果、多くの人々の心を傷つけた。

<記事のポイント>

・NHKスペシャル「魂の旋律〜音を失った作曲家〜」のインパクトが大きかった。

・番組の中では、音楽学が専門の大学教授が、作品を絶賛。

・東日本大震災の鎮魂歌を作るという佐村河内氏に密着。

・「Nスペ」を制作したディレクターの一人、フリーランスのA氏が、
 番組だけでなく書籍も出すなど、佐村河内氏の認知度アップに
 貢献した。

・著書の中で、「疑いようのない才能」「兄と思ったり人生の師と思う
 ようになりました」。

・しかし、A氏はアエラの取材依頼には応じなかった。


以下、私のコメントを含む部分です・・・・


記譜シーンは取材NG

問題は、取材した素材を番組にする過程で、NHKでもTBSでも、
報道機関としてのチェック機能が働かなかったことだ。

危険信号はあったはずだ。例えば、佐村河内氏は楽譜に書き込む作業は絶対に見せず、A氏(*Nスペをつくった外部ディレクター)もその場面を取材できていなかった。

碓井広義・上智大学教授(メディア論)は、こう指摘する。

「彼を取材対象とした理由に、耳が聞こえないのに作曲するという、普通ではあり得ないことをしている人というのがあったはずです。
その場合、あり得ないことが起きている事実を映像で押さえられないまま、番組として成立させてはいけません」

(中略)

長期にわたる取材の中で、NHKあんどのスタッフは、彼の「全聾」に疑問を覚えることはなかったのだろうか。

昨秋ではあるが、月刊誌「新潮45」は、佐村河内氏が過去の大量の作曲原稿を破棄したとしている
ことや、人生の悲劇を強調していることなどを疑問視する音楽家・野口剛夫氏の論考を掲載。

そうした視点は、佐村河内氏の人間像に迫る取材者にこそ必要だった。

(アエラ 2014.02.17号)


サンデー毎日で、「佐村河内」問題についてコメント

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発売中の「サンデー毎日」最新号に、「佐村河内」問題に関する記事が掲載されました。

以下は、私のコメントを含む部分です。

記事全体は、ぜひ本誌をご覧ください。


佐村河内守
裏切られた「希望のシンフォニー」
佐村河内氏は、公式プロフィールや自身の著書によると、広島市出身の被爆2世。4歳からピアノを始めその後、作曲を独学。35歳で全聾となり激しい耳鳴りや頭痛などに悩まされながらも、絶対音感を頼りに作曲活動を続けている。「交響曲第1番」のCDは異例の18万枚のセールスを記録。NHKをはじめ多くのメディアに登場し、人気を博した。

ところが2月5日、佐村河内氏の代理人弁護士が「十数年前から別の人間が作っていた」と明らかにし、複数の番組で氏を紹介していたNHKはニュースで謝罪、CDや自伝は回収・絶版、コンサートも中止となった。

(中略)

メディア論が専門の上智大文学部の碓井広義教授もこう話す。

「良い作曲家というだけでは、題材として弱い。モノを売りたいときに、付加価値としての『感動的なストーリー』を探したり作っていく
手法があります。一般の人もそれを好むため、作り手も安易にそれに飛びついてしまうことがあるのです」

(サンデー毎日 2014.02.23号)


・・・・毎日新聞によれば、NHK会長が記者会見で、今回の件に関する「検証番組」の制作を“検討”すると発言。

検討だけでなく、ぜひ実現して欲しいものです。


NHK会長、別人作曲検証番組「検討」
NHK籾井勝人会長(70)が13日、東京・渋谷区の同局で、就任後、初の定例会長会見を行った。

1月の会見での発言が問題視されたことから、慎重な言い回しを繰り返す中、NHKが多くの番組で扱った佐村河内守氏(50)のゴーストライター問題に触れ、「(検証番組について)現場ともよく相談して検討していく」と述べた。

編成担当者は「調査を続けており、事実関係をまだしっかり把握していない」とし、佐村河内氏への法廷手段の判断もまだという。

(毎日新聞 2014年2月13日)

【気まぐれ写真館】 雪の帰り道 2014.02.14


「金曜オトナイト」で、作家・西村賢太さんと

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14日のジャパンBS「大竹まことの金曜オトナイト」は、芥川賞作家の西村賢太さんがゲストでした。

受賞作「苦役列車」は映画にもなりましたね。

確か、元AKB48、前田のあっちゃんが出ていたはずです。

見てませんけど(笑)。

西村さんは私小説作家と呼ばれるわけですが、私はエッセイを楽しく読んでいます。

「アサヒ芸能」に連載中の、「したてに居丈高」も毎週。

豪放かと思えば、すごく細くて、いろんな意味で自由に生きている様子が可笑しい。

スタジオでは、登場する話題によって、「うーん、興味ないですもんね」と笑いながら正直におっしゃるところが素敵でした。






今週の「繁田美貴アナウンサー」

「放送批評懇談会シンポジウム2014」のお知らせ

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3月4日(火)に開催される「放送批評懇談会シンポジウム2014」のお知らせです。

今年は、次の4人の方々に、「講演」をお願いしました。


 是枝裕和 (映画監督・テレビディレクター)

 森 達也 (作家・映画監督)

 鈴井貴之 (俳優・映画監督・放送作家)

 橋本 元 (WOWOW常務取締役)


昨年から企画事業委員長を務めさせていただいていますが、この
放懇シンポジウムで、「4連続講演」というスタイルは、過去にも例がありません。

委員会メンバー全員の、「今、この人の話を聞いてみたい! 聞いてほしい!」という強い思いが、実現させたものです。

この“ちょっとあり得ない”ゼイタクなキャスティングの連続講演、
ぜひ、たくさんの皆さんに参加していただきたいと思っています。


今月24日(月)が申込みの締切ですので、ご注意ください。


放送批評懇談会シンポジウム2014
再発見!クリエイティブパワー

2014年3月4日(火) 
13:00〜17:00

海運クラブ 2階ホール
(東京都千代田区平河町)


主催:NPO法人放送批評懇談会

対象:民放、NHK。番組制作会社。企業のメディア担当者。通信事業者。衛星放送事業者。ケーブルTV。インターネット関連会社。広告会社。新聞社、出版社。官公庁。自治体。各種権利団体。大学、研究者ほか。

定員:200名(先着順受付)

申込締切:2月24日(月) 


<開催趣旨>

テレビ、ラジオには娯楽の提供によって公共の福祉にこたえることと、報道の力で世の中の真実を伝えて、ひとりひとりの知る権利をかなえることが託されています。ローカルの文化を支え、地域を豊かにするのも使命です。さらに、コンテンツをビジネスとして成り立たせる力と発想が求められます。それらを支えるもの、それが「クリエイティブパワー」です。

放送批評懇談会の2014年開催シンポジウムは、放送のクリエイティブな力を論じ、ジャーナリズムの自覚を新たにし、ローカルでの使命を考え、ビジネスとして成功することで放送の自立を目指すために、4人のキーパーソンを招きました。

カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞するなど、常に新しいクリエイティブを模索する映画監督・是枝裕和さんが、テレビのクリエイティビティを論じます。表現のタブーに挑み続ける作家で映画監督の森達也さんには、放送ジャーナリズムに必要な覚悟を聞きます。「水曜どうでしょう」神話を作り上げた鈴井貴之さんにはローカルにこだわり続けるわけを語ってもらいます。そして、デジタルへの取り組みもいち早く、テレビとWebのコラボに挑み、1800タイトルにも及ぶVODで注目を浴びるWOWOWの橋本元さんに、コンテンツビジネスの戦い方を聞きます。


<プログラム>
13:00-13:10
主催者あいさつ


13:10-14:00
講演 クリエイティブ
「いま、クリエイティブに求められるもの」
 是枝裕和 (映画監督・テレビディレクター)


14:00-14:50
講演 ジャーナリズム
「放送ジャーナリズムの自律と自覚」
 森 達也 (作家・映画監督)


14:50-15:10
コーヒーブレイク


15:10-16:00
講演 ローカル
「僕がローカルにこだわり続ける理由」
 鈴井貴之 (俳優・映画監督・放送作家)


16:00-16:50
講演 コンテンツビジネス
「WOWOWのチャレンジ〜VISION2020」
 橋本 元 (WOWOW常務取締役)


16:50-17:00
エピローグ
(敬称略。講師は変更の場合があります。)

 
*参加申込は、放送批評懇談会のサイトを
 ご覧ください。
 http://www.houkon.jp/

週刊ポスト「テレ東」特集でコメント ?

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週刊ポストの「テレ東」についての特集記事。

「NEWSポストセブン」のサイトに、記事の続きがアップされました。

コメントも入っているので、転載しておきます。


絶好調テレビ東京の
「弱者の兵法」大研究 その? 

視聴者多い中高年大切にする姿勢が支持獲得
テレビ東京が絶好調だ。視聴率では、平日プライムタイム(午後7〜11時)でフジテレビやTBSを抜いて民放4位に位置することはめずらしくない。経営面でも、昨年4〜9月期の経常利益の伸び率は91.5%増をマーク。昨年の年間視聴率で初の2冠を獲得したテレビ朝日を抑えて、民放トップの伸び率だ。

いったい、テレ東がここまで躍進する背景には何があるのか。元テレビ東京取締役で『テレビ番外地 東京12チャンネルの奇跡』(新潮新書)の著者である石光勝氏は「ターゲットの明確化」がカギと解説する。

「テレ東はいち早く高齢化社会に対応し、中高年にターゲットを絞った番組作りを進めました。スマホやゲームに夢中でテレビ離れしている若者層に合わせて番組を作っている他局とは“目線”が大きく異なります」

その象徴が今年1月から放送が始まったドラマ『三匹のおっさん』(金曜19時58分〜)だ。北大路欣也(70)、泉谷しげる(65)、志賀廣太郎(65)という『おっさん3人組』が「おっさんをなめるなよ!」という決めゼリフで痴漢やひったくり犯など、町内の悪者を見事に成敗する。そんな時代劇風現代劇が人気を博し、初回視聴率は11.6%を記録。第3回放送も9.9%と好調をキープしている。

上智大学の碓井広義教授(メディア論)がいう。

「3人のおっさんが主演のドラマなんて他局では絶対にやりませんよ(苦笑)。いまだにF1層(20〜34歳の女性)をターゲットにするテレビ局が多い中、テレ東は圧倒的に視聴者数の多い中高年を大切にしています。今は『テレビを見るならNHKかテレ東』という中高年も増えている。テレ東は“大人の味方”なんです」

他にも長寿番組の『開運! なんでも鑑定団』(火曜20時54分〜)や前出の『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』など、中高年が自宅でのんびりと視聴できる番組が多い。大晦日には『年忘れにっぽんの歌』で“常連”である固定層のハートをガッチリとつかみ、フジテレビの裏番組を大きく突き放した。硬派な番組もお手のもの。

『ワールドビジネスサテライト』を筆頭に、経済ドキュメンタリー番組『ガイアの夜明け』(火曜22時〜)や村上龍が司会を務める『カンブリア宮殿』(木曜22時〜)など「ビジネスマン御用達」の経済番組が並ぶ。

さらに選挙番組では池上彰氏を起用し、今やすっかり「テレ東の選挙の顔」として定着。各局がエース級を投入して選挙特番に臨む中、公明党候補に創価学会との関係について尋ねるなど「テレビのタブー」を軽々と突破して、在京民放のうちテレ東だけが視聴率10%を超すひとり勝ちを果たした。

(週刊ポスト2014年2月21日号)


<ブログ内の関連記事>

2014年02月12日
週刊ポストで、「テレビ東京」についてコメント ?
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/98f9e8d6fb21dc163ee36b9f67cd8222

週刊ポスト「テレ東」特集でコメント ?

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週刊ポストの「テレ東」についての特集記事、昨日の続きです。


絶好調テレビ東京の
「弱者の兵法」大研究 その? 

テレ東路線バスの旅 
蛭子・太川のグダグダ話がリアルさ提供

弱小局」「万年民放最下位」だったはずのテレビ東京は、今や続々と話題番組を世に送り出すテレビ界の台風の目となっている。

“下克上”を可能にした戦略とは、いったいどんなものなのか。下手をすると他局から「アマチュアか!」とツッコミを入れられかねない手法でリアリティを追求するのがテレ東流だ。

たとえば『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』では、旅する蛭子能収(66)と太川陽介(55)が駅で切符を買うだけのシーンや、地図を見ながら目的地までのルートを確かめ合うやり取りを長々と流す。

ある回では、道に迷った一行が案内所に行き、目的地の道のりを訪ねるのだが、「宮の沢行き」が聞き取れずに蛭子が「ミヤオサワ行き?」と係員に何度も尋ねる何の意味もないシーンも丸々放送。

さらに次のバスが来るまでにまだ時間があることがわかると、蛭子と太川とが「あと35分もあるよ」「あと35分」と時間を持てあます様までもがノーカットで放送されている。

「他局ならワンカットのシーンなのに、テレ東は太川さんが駅員さんと素で話しているところも全部ノーカットで見せます。プロからすると『何でこんなシーンに時間を割くんだ』となりますが、これが逆にリアリティにつながっている。

2人がバスの中で寝入った場面や、ぐだぐだの会話シーンを残すことで、視聴者は2人と一緒に旅行している気分になるんです。今の世相はやらせや過剰演出にうるさいので、このくらいのほうがちょうどいい(笑い)」(テレビ業界に詳しい放送作家)

収録した素材を極力カットをせずにそのまま放送することで、出演者やスタッフの拘束時間や編集の手間を省くことができる。すべては資金力のなさがもたらしたものだった。

上智大学の碓井広義教授(メディア論)は“弱者ゆえの決心”を高く評価する。

「予算がない中で他局の真似をしても、縮小コピーにしかならない。そこで他局と同じ道は歩まないと決意したことがテレ東という“民放のガラパゴス”の姿なのです。今、それこそが局のオリジナリティであり、武器になっている」

(週刊ポスト2014年2月21日号)

【気まぐれ写真館】 大学院入試の日 2014.02.18

地域発の優良ドキュメンタリーに拍手!

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日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今回は、フジテレビ「ザ・ノンフィクション」で放送された、「いか飯の女たち 完結編」を取り上げました。


ザ・ノンフィクション
「いか飯の女たち 完結編」

地元制作者の強みが光った
優れた人間ドキュメント
フジテレビ「ザ・ノンフィクション」(日曜午後2時)は、民放では貴重なドキュメンタリー枠だ。

最近ドラマはイマイチのフジだが、水曜深夜の「NONFIX」と並んで、ここでは見るべき1本と遭遇できたりする。

16日の放送は「いか飯の女たち 完結編」。70年前に北海道・森町で生まれた「いかめし」は物産展の大人気商品だ。主役はその場で作って売る、おばちゃんたちである。

番組では60代のいか飯の女2人に密着。東京、名古屋、熊本、バンコク、そして台湾と行商の旅を続ける姿を追っていた。

たった一人で現地へ飛んで、仕込みから販売までをこなしていくハードワークだ。海外では地元の人の味覚に合わせて作り直しも行う。長い間、家を留守にするため、病気の家族も気がかりだ。自分の年齢や健康にも不安が増している。

だが、彼女たちは仕事をやめない。単なる経済的理由だけでなく、働くことが生きる証しになっているからだ。番組は節度のある距離を保ちながらも、その本音や気持ちの揺れを丁寧にすくい上げ、見る側に伝えている。

また時々挿入される過去の取材映像も、彼女たちの人生の奥行きを感じさせて効果的だった。こうした蓄積は地元の制作者ならではの強みだろう。

今回は北海道だったが、全国各地の作り手による人間ドキュメントが続々と発信されるといい。

(日刊ゲンダイ 2014.02.18)

サプライズ「誕生日祝い」 本当にびっくり

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「大竹まことの金曜オトナイト」(BSジャパン)の収録後のことです。

工藤Pから「ちょっと打ち合わせを」と言われて、ミーティングルームへ。

ドアを開けたら、中は真っ暗で、「あれ?」。

と思う間もなく、いきなりハッピーバースデイの合唱が聞こえて・・・

山口もえちゃんと繁田美貴アナウンサーが、ロウソクに火のついたケーキを運んできてくれました。

来週、私の誕生日があります。

次回の収録だと、もう過ぎてしまうとうことで、サプライズのお祝いをしてくれたんですね。

プロデューサー時代に、スタジオで出演者の誕生日をお祝いしたことはありますが、まさか、自分が祝ってもらうなんて(笑)。

いやあ、嬉しかったです。

大竹さん、もえちゃん、繁田さん、スタッフの皆さん、どうもありがとう!!







もえちゃんのイタズラによる「波平さん」!?

週刊朝日で、村上春樹作品「中頓別町」問題について解説

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村上春樹氏 に作品改変させて
“炎上” した中頓別町の困惑
村上春樹氏の小説の表現をめぐり、北海道の小さな町が騒動になっている。

月刊誌「文藝春秋」2013年12月号に掲載された村上氏の短篇小説「ドライブ・マイ・カー」に、北海道中頓別(なかとんべつ)町出身の女性が登場する。この女性が火のついたたばこを車の窓から捨てる場面で、主人公が<たぶん中頓別町ではみんなが普通にやっていることなのだろう>と思う。

この表現に、同町の町議らから「事実に反する」などという声が上がり、文藝春秋に質問状を送る動きがあることを、2月5日の毎日新聞北海道版が報じた。するとこれがツイッターなどを通じてネット上で拡散。

7日には村上氏が、<住んでいられる人々を不快な気持ちにさせたとしたら、それは僕にとってまことに心苦しいことであり、残念なことです。(略)単行本にするときには別の名前に変えたい」とコメントを出す事態になった。

これを受け、町には抗議が殺到した。質問状を送った一人の町議のブログにも、<無知な田舎者めが><思想、心情、表現の自由。憲法から勉強なおせ>などといった書き込みがあふれ、”炎上”したのだ。

同町の東海林繁幸町議(75)は困惑した様子だ。

「若手議員が村上さんの小説を読んで問題意識をもち、議会として何らかの決議をしてはどうかと声を上げた。ただ、議会議決にはなじまないので、有志による質問状という形をとったんです。悲しい思いや憤りはあったが、抗議というほどのものではなかった。それが報道後、町には多数の苦情が寄せられた。『舞台にされたんだから喜べ』とまで言われているんです」

碓井広義・上智大教授(メディア論)はこう解説する。

「小説を読んだかぎり、中頓別町はたばこのポイ捨てが多いという誤解や偏見を生むような表現ではない。あくまで小説、という意識が読む側に必要だと思います。ただ、この件は?村上春樹?というネームバリューもあってネットで拡散したのが大きい。作品自体を読まずに騒いでいる人たちも多いはずです」

早々にコメントを出した村上氏の大人の対応だけが、光る結末となった。

(週刊朝日 2014.02.28号)


・・・・『舞台にされたんだから喜べ』と言われても、確かに困るでしょう。

だって、小説の「舞台」はあくまでも東京で、中頓別町じゃないんだから(笑)。

これもまた、読まずに騒いでいる人の反応ですね。





<参考>

2月5日の毎日新聞北海道版の記事

村上春樹氏:小説に「屈辱的表現」 
町議ら文春に質問状へ
作家の村上春樹氏が月刊誌「文芸春秋」の昨年12月号に発表した短編小説で、北海道中頓別(なかとんべつ)町ではたばこのポイ捨てが「普通のこと」と表現したのは事実に反するとして、同町議らが文芸春秋に真意を尋ねる質問状を近く送ることを決めた。町議は「町にとって屈辱的な内容。見過ごせない」と話している。

この小説は「ドライブ・マイ・カー」。俳優の主人公が、専属運転手で中頓別町出身の24歳の女性「渡利みさき」と亡くなった妻の思い出などを車中で語り合う。みさきは同町について「一年の半分近く道路は凍結しています」と紹介。みさきが火のついたたばこを運転席の窓から捨てた際、主人公の感想として「たぶん中頓別町ではみんなが普通にやっていることなのだろう」との記載がある。

町議有志は「町の9割が森林で防火意識が高く、車からのたばこのポイ捨てが『普通』というのはありえない」などとしている。宮崎泰宗(やすひろ)町議(30)は「村上氏の小説は世界中にファンがおり、誤解を与える可能性がある。回答が得られなければ町議会に何らかの決議案を提出したい」と話す。

村上氏の小説では、「羊をめぐる冒険」で中頓別町に近い美深町がモデルとされる「十二滝町」が舞台となったほか、「ダンス・ダンス・ダンス」「ノルウェイの森」などでも札幌や旭川といった北海道の街が繰り返し登場する。村上氏はエッセーで湧別町、佐呂間町などで開かれたマラソン大会への出場を明かしており、道北・道東地方に土地勘があるとみられる。

文芸春秋編集部は毎日新聞の取材に「質問状が届いておりませんので、回答いたしかねます」としている。【伊藤直孝】

 ◇中頓別町

北海道旭川市の北約130キロ、南宗谷地方にある人口約1900人の山間の町。明治期は砂金の採取で栄えた。人口はピークの1950年には約7600人だったが、林業の衰退やJR天北線の廃止(89年)などで急速に過疎化が進んでいる。

(毎日新聞 2014.02.05)

井上ひさし『ベストセラーの戦後史』が完本として復刊

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私もそうですが、文庫のファンという人が結構います。

毎月、続々と出てくる文庫のほとんどを手にとってチェックしているので、「今月は何がオススメですか」と聞かれたりします。

で、今月は・・・・

井上ひさし『完本 ベストセラーの戦後史』(文春学藝ライブラリー)を推しました。

このテーマの本は、もうゴマンとありますが、井上ひさしさんが書いているところがポイントです。

あの膨大な読書量を背景に、ベストセラー本を鑑定しているわけですから、やはり一味もふた味も違います。

帯にもありますが、井上さんの「読書論」、そして「日本人論」としても読めます。

これ、復刊でありまして、文春学藝ライブラリーに感謝です。




今週の「読んで、書評を書いた本」は次の通りです。

松田美智子『サムライ 評伝 三船敏郎』 文藝春秋

新野剛志 『カクメイ』 中央公論新社

ダン・ブラウン 越前敏弥:訳 『インフェルノ』上・下 角川書店

吉田暁子 『父 吉田健一』 河出書房新社

白山真理 『名取洋之助』 平凡社

有馬哲夫 『こうしてテレビは始まった』 ミネルヴァ書房

* これらの書評は、
  『週刊新潮』(2月20日号)
  読書欄に掲載されました。

今夜の「金曜オトナイト」は、森永卓郎さんと繁田アナが・・・・

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BSジャパン
「大竹まことの金曜オトナイト」
2014年2月21日(金)
夜10時54分〜夜11時54分
今夜の“目玉”は、ゲストの森永卓郎さんと繁田美貴アナウンサー
による「バルーン相撲」対決!?

まあ、これはもう、説明不要(笑)。

見ていただくしかありません。

それにしても、繁田さんのガッツというか、プロ根性が半端じゃあり
ません。

女性アナウンサーの鑑です。

お楽しみに!




<出演者>
ゲスト:森永卓郎(経済アナリスト)

大竹まこと、山口もえ、碓井広義(上智大学教授)
繁田美貴(テレビ東京アナウンサー)

<番組内容>
◆流出ワイド
(秘)カップルは「家デート」で何する?
(秘)究極のサービス?アマゾン「注文前」発送ってどういうこと!?
(秘)パワポもCCメールも禁止「IT断食」で営業件数6倍に
(秘)会社への不満1位はダントツで給料の額!
(秘)20代男子の4割!息子の”脱・童貞”を妨げる親の口癖

◆特捜!オトナイト最前線
ニッポンを支えるたった一人の地味〜な町工場。
一体何やっているの!?
大竹まことが自ら下町にでて取材!
そこから見えてくる人生の物語とは!?

◆文化情報コーナー
大人の出口調査「あなたの買った本何ですか?」
森永卓郎おススメの本



今週の「繁田美貴アナウンサー」

23日(日)の「TBSレビュー」に出演

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23日(日)、「TBSレビュー」に出演します。

テーマは、テレビの「ソーシャル視聴」。

若い人たちの間では、テレビを見ながらツイッターなどで会話、というスタイルが広がっています。

この「ソーシャル視聴」をめぐる考察です。

早朝5時30分からの放送ですので、どうぞ録画予約を忘れずに(笑)。


検証番組「TBSレビュー」
テレビとソーシャルメデイア 新しい関係と試み

2月23日(日)
午前5時30分〜6時

出席者:上智大学教授 碓井広義

進 行:TBSアナウンサー 木村郁美


<内容>
「リアル脱出ゲームTV」はドラマをベースにした謎解き番組だ。
難易度の高い問題が“ネット住民"のプライドをくすぐり話題となった。

また「ジンロリアン〜人狼〜」は視聴者が特設サイトから
誰が人狼かを投票するゲームに参加できるもので
SNS上で盛んにやりとりがされた。

スマホ片手にテレビ番組を見ながら
ツイッターでつぶやいたり、感想を述べ合う。
番組で紹介された商品や店を検索して情報を得る。
こうしたテレビの新しい視聴形態が
若者たちを中心に広がりつつある。

これらデジタルネイティブに向けた
TBSの新しいスタイルの番組が評判となっている。

これらの試みからテレビを見ながらソーシャルメデイアを使うことは
リアルタイム視聴を増加させ、
“口コミ"が広がることにより視聴率の向上も期待できることが
明らかとなってきた。

番組ではソーシャルメデイアと連動させた
いくつかの新しい番組を例に
テレビとソーシャルメデイアの連動がもたらす
可能性と課題を探っていく。

(番組サイトより)

祝!女優・二階堂ふみさんの慶大SFC合格

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僭越ながら福沢先生と

報道によれば、女優・二階堂ふみさんが、慶大SFC(湘南藤沢キャンパス)総合政策学部に合格とのこと。

おめでとうございます。

二階堂さんといえば、映画「ヒミズ」「悪の教典」「脳男」などが、すぐに思い浮かぶ。

個性的で存在感のある若手という印象が強く、これからどこまで伸
びるか、楽しみな女優さんです。

で、今回のSFC合格。

結構なことだと思います。

芸能界だけじゃない、同世代や先生方との人間関係が生まれるだろうし、それは女優業にもいい影響を与えるはずです。

それに、個人的にはSFCっていうのが、また嬉しい(笑)。

同じ慶應でも、三田とは「別の大学?」というくらい明らかに違うし、
いろんな意味でカラーがあって、また刺激的でもあります。

いい選択だと思います。

私は8年ほどSFCの教壇に立っていましたが、その頃も、一青窈
さんやゴスペラーズの北山陽一君などが在籍していました。

私の授業をとっていた北山君が書いたレポートの内容(音楽活動をしている側から見たメディア)など、今でも覚えています。

現在、我が家の息子がSFCに通っているのですが、教室などキャンパスで、次のような人たちとすれ違うことがあるそうです。

・トリンドル玲奈
・鈴木愛理(ハロー!プロジェクト ℃-ute)
・菊池風磨(ジャニーズ Sexy Zone)

そして、この春入学するのが、

・竹内美宥(AKB48 チームB)
・二階堂ふみ

うーん、SFC内で音楽番組やドラマが出来そうですね(笑)。

というわけで(?)、二階堂ふみさん、4月からSFCで大いに学んで
ください。


追伸:

あと約4時間半後には、
出演している
「TBSレビュー」の放送が
始まります(笑)。
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