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『逃げ恥』強し! コンフィデンスアワード・ドラマ賞、ほぼ独占

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オリコンの専門誌「コンフィデンス」が主催する、「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」。

対象が16年10月クール(10月~12月)の放送分となる、第6回の審査結果が発表されました。(http://confidence-award.jp/)

作品賞   『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)
主演男優賞 松岡昌宏 (『家政夫のミタゾノ』テレビ朝日系)
主演女優賞 新垣結衣 (『逃げるは恥だが役に立つ』)
助演男優賞 星野 源 (『逃げるは恥だが役に立つ』)
助演女優賞 石田ゆり子(『逃げるは恥だが役に立つ』)
脚本賞   野木亜紀子(『逃げるは恥だが役に立つ』)
新人賞   大谷亮平 (『逃げるは恥だが役に立つ』)

7部門中の6部門が『逃げるは恥だが役に立つ』という、ほぼ独占状態。

そんな中で、主演男優賞(女優賞に非ず)の松岡昌宏さん、大健闘です。拍手!

審査員の一人として参加させていただいたのですが、何時間にもおよぶ議論を経て、やはり今回は『逃げ恥』強し!でした。

この結果を伝える、共同通信の記事では・・・

栄えある作品賞に輝いたのは“恋ダンス”などで社会現象を起こした「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系)。審査員からは「“毎週ドラマを見る”という、懐かしくもある“楽しみ”を久々に味わわせてくれた」といった声もあがり、同じく候補に上がった「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」を押さえ、満場一致に近い決定となった。(共同通信エンタメOVO 2017.01.20)

・・・記事の中に、<審査員からは「“毎週ドラマを見る”という、懐かしくもある“楽しみ”を久々に味わわせてくれた」といった声もあがり>とありますが、その声をあげた審査員は私です(笑)。まさに実感でした。

『逃げ恥』が始まったばかりの昨年11月はじめ、この欄に以下の文章を寄稿しました。


●新垣結衣の「低欲望系高学歴女子」

今期ドラマのナンバー1として挙げたいのが、「逃げるは恥だが役に立つ」である。津崎(星野源)とみくり(ガッキーこと新垣結衣)は、ごく普通の新婚夫婦に見えるが、実は「契約結婚(事実婚)」だ。しかも夫が雇用主で、妻は従業員の関係。「仕事としての結婚」という設定が、このドラマのキモであり、核になっている。

みくりは、学部と大学院、2度の就職活動に失敗した。派遣社員となるが契約を切られてしまう。家事代行のバイトで津崎と出会い、契約結婚する。戸籍はそのままだが、住民票の提出によって健康保険や扶養手当も可能となる。業務・給料・休暇などを取り決め、家賃・食費・光熱費は折半。もちろん性的関係は契約外だ。

「こんなの、あり得ない」と言う人も、「あるかもしれない」と思う人も、気づけば、ガッキーと星野の奇妙な同居生活から目が離せなくなっている。2人が見せてくれる「誰かと暮らすこと」の面倒臭さと楽しさに、笑えるリアリティーとドキドキ感があるからだ。

何より、このドラマのガッキーが反則技的に可愛い(笑)。そして、ヒロインのみくりが魅力的だ。自分が美人であることの自覚がなく、様々な社会的欲望にも恬淡(てんたん)としている。また高学歴女子の知性も嫌みにならず、性格の良さと相まって天然風ユーモアへと昇華している。加えて、津崎を演じる星野が、これ以上の適役はないと思えるほどのハマリぶりだ。星野あっての「逃げ恥」である。

みくりも津崎もちょっと変わったインテリで、ガッキーと星野が真面目に演じれば演じるほど、見ていて可笑しい。いわばマイルドなラブコメだが、初めてのものを見たような”出現感”のある、“新商品”的ドラマになっているのだ。

今後の見どころは、みくりと津崎の“距離感”だろう。相手に対する気持ちや意識が変われば、快適だった契約結婚生活も危うくなってくる。成り行きから目が離せない。 (Yahoo!ニュース個人「碓井広義のわからないことだらけ」2016.11.05)


・・・「情熱大陸」から「サザエさん」まで、テレビ番組のパロディーや、登場人物たちのひねくれたやり取りにも苦笑い。

よく練られたせりふや展開、そして自在な演出が、ヒロインの魅力を下支えしていました。

新垣さんと星野さん、この2人でなければ成立しなかった異色のラブコメディーであり、新鮮な感動と幸福感が味わえたドラマでした。

受賞者・関係者の皆さん、おめでとうございます!

今期「新ドラマ」で健闘している、あの主演「男優」たち

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今期、木村拓哉の『A LIFE~愛しき人~』、草なぎ剛の『嘘の戦争』など、主演は「男の俳優=男優」という新ドラマが目立ちます。

そこでは、ジャニーズ系の面々とはちょっと異なる、ひと味違うタイプの男優たちも健闘中です。


●『就活家族~きっと、うまくいく~』の三浦友和

それなりに安定していたはずの家庭が、ふとしたきっかけで危機に陥っていく。

『就活家族~きっと、うまくいく~』(テレビ朝日系)の舞台は、家族4人の富川家だ。夫の洋輔(三浦友和)は大手企業の人事部長。妻の水希(黒木瞳)は中学教師。娘の栞(前田敦子)はOL。そして弟の光(工藤阿須加)は就活中の大学生である。

まず、役員への就任が目前だった洋輔に、いきなりトラブルが発生した。新人採用の際に叱りつけたモンスター就活生が、実は取引先である銀行の頭取の息子だったのだ。慌てて取り入ろうとするが、見事にはね返されてしまった。

また、リストラの通告を受けた女性社員(木村多江、怪演)が逆恨みして、洋輔のセクハラ疑惑(でっち上げだが)を会社に訴えた。背後には、社内の出世争いがあったのだが、結局、洋輔は子会社への出向を拒否。不本意な退職という憂き目に遭う。

しかも今後は洋輔だけでなく、怪しげな就活塾に入った光の就職問題、水希の雇用延長問題、さらに枕営業まで示唆される栞のパワハラ問題など、まさに問題山積の展開が予想される。

作りは堂々の社会派ホームドラマだ。リストラも就活もリアルなエピソードで、見ていて息苦しいほどだ。願わくば、もう少しユーモアがあるとありがたい。

とはいえ、この年代の男の強さともろさの両面を見せる、三浦友和の演技と存在感が抜群だ。これだけで一見の価値がある。そうそう、昨年のTBS系『毒島ゆり子のせきらら日記』の演技で開眼した(はずの)前田敦子にも期待したい。


●『増山超能力師事務所』の田中直樹(ココリコ)

今期ドラマの中でも、いち早くスタートした『増山超能力師事務所』(日本テレビ系)。舞台は近未来で、読心や透視や物体念動などの超能力が、社会的に認知され始めたという設定だ。「日本超能力師協会」なるものが出来たり、超能力師に「1級」「2級」といった認定資格が与えられたりしている。

主人公の増山圭太郎(ココリコ・田中直樹)は1級の超能力師だ。勤務していた会社を辞めて、探偵事務所を開く。所員として集めたのは篤志(浅香航大)、悦子(中村ゆり)、健(柄本時生)などの若手超能力師たちだった。

このドラマが過去の超能力物とひと味違うのは、超能力の持ち主たちが、自らの能力を「面倒くさいもの」「はた迷惑なもの」として持て余し気味であることだ。侵入してくる他人の声に悩まされたり、イジメの対象になったりと、ちっともヒーローっぽくない。この出発点がドラマのキモだ。

浮気調査、家出少女の捜索など、依頼される案件は普通の探偵事務所と変わらないが、テレパシーなどの超能力が生かされているような、そうでもないような、ゆる~い仕事ぶりが、じわじわと笑える。

注目は3年ぶりの連ドラ主演となるココリコ田中である。NHK『LIFE!~人生に捧げるコント~』の仲間・星野源がブレークしたが、俳優業では田中も負けてはいない。昨年は『砂の塔〜知りすぎた隣人』(TBS系)や『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日系)などで好演。今回の“座長”も堂々たるものだ。「めんどくさいなあ」が口癖という、最も超能力者らしくない超能力者を、飄々と魅力的に演じている。

強引な設定がうまい ジャンル崩しの異色ドラマ「カルテット」

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日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今回は、ドラマ「カルテット」を取り上げました。


TBS系「カルテット」
強引な設定がうまい ジャンル崩しの異色作
「カルテット」(TBS系)の脚本は坂元裕二だ。出演が松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平。そして演出は「重版出来!」「逃げるは恥だが役に立つ」の土井裕泰。これだけのメンバーが、何を見せてくれるのか。

4人のアマチュア演奏家がカラオケボックスで出会う。バイオリンの真紀(松)、チェロのすずめ(満島)、ビオラの家森(高橋)、バイオリンの別府(松田)だ。弦楽四重奏のカルテットを組むことになり、別府の祖父が持つ軽井沢の別荘で合宿生活に入った。この強引な設定がうまい。

彼らはそれぞれに鬱屈や葛藤を抱えている。共通しているのは音楽との関係だ。プロへの夢を追い続けるのか、趣味として音楽を続けるのか、二者択一を迫られている。また、夫が謎の失踪を遂げた真紀。その夫の母親から真紀に近づくことを依頼されたすずめ。さらに家森や別府の本心や狙いも不明のままである。

このドラマはサスペンス、恋愛、ヒューマンといった枠を超えた、いわば“ジャンル崩しの異色作”だ。ここには「重版」の心や、「逃げ恥」のみくりのような、つい応援したくなる“愛すべきキャラクター”はいない。だが4人ともどこか憎めない、気になる連中だ。独特の暗さもあり、万人ウケしないかもしれない。しかし続きが見たくなる、クセになるドラマとしては今期ピカイチだ。

(日刊ゲンダイ 2017.01.25)


書評した本: 野坂昭如 『俺の遺言』ほか

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「週刊新潮」に、以下の書評を寄稿しました。

野坂昭如 坪内祐三:編 
『俺の遺言~幻の「週刊文春」世紀末コラム』 
文春文庫 864円

一昨年12月に亡くなった著者が、「週刊文春」に連載していた時評コラムだ。1995年からの約3年半分から、坪内祐三氏が厳選した55本が並ぶ。戦争、憲法九条、原発、都政、北朝鮮。古びないどころか、今現在を射抜く力に驚かされる。価値ある文庫オリジナルだ。


小中陽太郎 
『上海物語 あるいはゾルゲ少年探偵団』
未知谷 2700円

著者が幼年期を過ごした戦時中の上海を舞台に、ゾルゲのいた時代を描いた最新長編だ。主人公の須磨雄が著者自身の投影であるだけでなく、「太陽の帝国」のJ・G・バラードから四方田犬彦までが実名で登場。情報戦をめぐる、虚実皮膜の自伝的実録小説でもある。


山田宏一 『ヒッチコック映画読本』
平凡社 2,160円

名著『映画術 ヒッチコック/トリュフォー』の翻訳で知られる著者。卓越したサスペンスの手法、女優とヒロインなど、40年におよぶヒッチコック研究の集大成。『めまい』のキム・ノヴァクへのインタビュー、『海外特派員』をめぐる蓮實重彥との対談も著者ならでは。

(週刊新潮 2017.01.26号)

【気まぐれ写真館】 札幌 気温3度  2017.01.27

HTB北海道テレビ「イチオシ!」 2017.01.27

【気まぐれ写真館】 札幌 気温マイナス3度  2017.01.27

HTB「イチオシ!モーニング」 2017.01.28


【気まぐれ写真館】 札幌 朝から雪 2017.01.28

今年も、北海道千歳市「柳ばし」で 2017.01.28

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冬ならではの、鱈(たら)フライ&白子汁





【気まぐれ写真館】 冬の俯瞰 2017.01.28

週刊新潮で、木村拓哉主演「A LIFE」についてコメント

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「キムタク」ドラマの楽屋で盛り上がる、
出演陣の子育て談義
確かに、数字はそこそこ獲れている。脇を固める俳優陣は豪華だし、ストーリーも決して悪くはない。

とはいえ、15日スタートの連ドラ「A LIFE」(TBS系)が木村拓哉(44)の新たな代表作になるかと問われれば、首を傾げざるを得ないのだ。さて、そんな正念場のキムタクが唯一、盛り上がるのは楽屋での子育て談義だとか――。

SMAP解散後の初仕事となるこのドラマ。キムタクが並々ならぬ決意で臨んでいるのは間違いない。制作スタッフが明かすには、

「役どころが凄腕の心臓外科医なので、医療用語が頻出する長セリフも多いんです。ただ、木村さんは相当準備をしてきたようで、初回の収録では一度もNGを出しませんでした」

だが、注目を集めた「初回」の視聴率は14・2%。もちろん、このご時世に2ケタの数字を叩き出すのは容易ではないものの、TBS関係者の表情は冴えない。

「竹内結子に松山ケンイチ、浅野忠信と、主演級のキャストを揃えた以上、最低でも18%はほしかった。04年にキムタクと竹内が共演した『プライド』の初回は28%だったから、数字が半減したことになる」

ドラマの出来自体は酷いとは言えないが、

「全体的に中途半端な印象を受けました。その結果が視聴率にも表れています」

上智大学の碓井広義教授(メディア論)は手厳しい。

「初回を観る限り、凄腕ドクターの仕事ぶりが売りなのか、ドロドロとした愛憎劇を描きたいのかハッキリしない。医療用語をテロップにして本格派を気取るのは結構ですが、肝心の手術シーンは緊張感もスピード感もなかった。米倉涼子の『ドクターX』と比べると明らかに見せ場不足です」

■「発音が違うよね」

そんな評価を知ってか知らずか、収録現場でもキムタクは孤軍奮闘中だという。先の制作スタッフが続ける。

「正直、ドラマのロケ現場はいつもシーンと静まり返っています。木村さんは雰囲気を和ませようと率先して他のキャストに声を掛けるんですが、必死な様子が却って痛々しくて……」

大晦日のSMAP解散式に1人だけ「ハブ」られ、ここでも「ソロ」の辛さを痛感しているのだ。一方で、

「竹内さんと松山君とは、共通の話題があるので打ち解けています」(同)

その「話題」というのが子育て談義である。ご承知の通り、キムタクと工藤静香には2人の娘がおり、竹内も中村獅童との間に儲けた息子を育てるシングルマザーと、いずれもセレブ婚経験者。

ちなみに、小雪と結婚した松ケンもいまや2男1女の父親で、

「小雪が末の子の世話に掛かり切りの頃は、松ケンが上の子2人を連れて自宅近くの区立のスポーツセンターや、公園に通っていた。小児科への通院にも付き添うイクメンぶり」(芸能デスク)

ロケ現場ではパパとしても「先輩」のキムタクの話に聞き入っており、

「木村さんが“インターナショナルスクールに通わせると英語の発音が違うよね”と言えば、子供を認定こども園に通わせる松山君が“そうなんですか!”と相槌を打つ。竹内さんも“こないだ行った、もんじゃ焼き屋は良かったよ”と子連れOKの店を紹介していました」(先のスタッフ)

これまで頑なに秘してきた子供の話題で盛り上がる、かつての「抱かれたい男ナンバー1」。俳優がダメならパパタレで返り咲く手も。

(週刊新潮 2017年1月26日号)

週刊現代で、フジテレビ「月9」についてコメント

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今クールも大コケ! フジテレビ上層部
月9を「やめる」「やめない」大モメ会議

記事は、次のような流れで・・・

・竹野内豊の主演作を予定していたが、成立しなかった。

・西内まりや、山村隆太など現在の出演者も「突然のオファー」だった。

・ストーリーも今の時代に求められているものとは言い難い。

元テレビプロデューサーで上智大学教授の碓井広義氏が言う。

「視聴者はちゃんと見るべきドラマを見極めています。美男美女が紆余曲折を経て最後は幸せになるという流れが見なくても分かる。見る動機がないんです。視聴者と感覚がズレてしまっています。この作品はテレビマンとして本当に作りたいドラマなんでしょうか」

(中略)

・10月クールには、満を持して木村拓哉が主演するという。

・月9のイメージを支えてきたキムタクで最後の大勝負に出るというわけだ。

・だが、厳しい戦いになるのは目に見えている。

「(一時的なカンフル剤にはなるかもしれませんが)月9という枠そのものが復興するには、キムタクだけでは足りない。もはや月9という枠としての衰退は止められない。月9ブランドを一度壊すという選択をしたほうがいいでしょうね」(前出・碓井氏)


以下、記事では・・・

・今、フジテレビの制作現場には厭世観が漂っている。

・昨年、トヨタがツキのスポンサーを降りたことも大きい。

・「笑っていいとも!」「スマスマ」に続いて、月9まで終わったら、フジには何が残るのか。

(週刊現代 2017.02.11号)

ツッコミながら笑って楽しむ「東京タラレバ娘」

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日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今回は、ドラマ「東京タラレバ娘」について書きました。


「東京タラレバ娘」の見方
特殊効果も笑って楽しめばいい
“アラサー女子のリアル”を標榜するのが、「東京タラレバ娘」(日本テレビ系)だ。脚

本家の倫子(吉高由里子)、ネイリストの香(榮倉奈々)、実家の居酒屋を手伝う小雪(大島優子)の3人は高校時代からの親友。いつも小雪の居酒屋に集まり、恋や仕事のタラレバ話で盛り上がっている。

そこへ現れたのがモデルのKEY(坂口健太郎)だ。いきなり「そうやって一生、女同士でタラレバつまみに酒飲んでろよ!」と一喝。3人組は凍り付く。

倫子は、かつて自分が失恋させたADで、現在はプロデューサーの早坂(鈴木亮平)にアプローチして失敗。ふとしたことから、KEYと一夜を共にしてしまう。

また香も、かつて恋人だったミュージシャンで、現在はスターとなった鮫島涼(平岡祐太)に誘われ、同じく一夜を。さあ、次回は小雪か? という流れだ。

これって、3人組のリアルというより、恋と仕事に関する“勘違い”が炸裂するラブコメディーだ。

例えば倫子。自分の脚本が売れない理由を「恋愛にブランクあり過ぎて、今どきの若い子の恋愛観、書けなくなってた」などと言う。

それは違うだろう。脚本家は自分の体験だけで書くわけじゃない。殺人などの犯罪ドラマや時代劇はどうする? 

といったツッコミをしながら、飛んでくる矢に鉄球などの特殊効果も含め、笑って楽しめばいい。

(日刊ゲンダイ 2017.02.01)

週刊新潮で、「報道ステーション」富川悠太アナについてコメント

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「報道ステーション」視聴率急降下 
古舘後任の無害な優等生
局アナに「看板」を背負わせるのは酷だったか――。テレ朝局内ではそんな声が漏れ始めているという。

富川悠太アナ(40)が古舘伊知郎氏から「報道ステーション」のメインキャスターを引き継いだのは昨年春。だが、大抜擢から1年を待たずに、優等生すぎる「夜の顔」には予想外の数字が突きつけられていた。

「上期最大の収穫のひとつは報道ステーションのリニューアルが成功したこと」

昨年9月、テレ朝の早河洋会長はそう胸を張った。

確かに、昨年度「上期」の平均視聴率は古舘時代と変わらない11・4%を記録。日によっては13~14%台を叩き出すことも珍しくなかった。ところが、

「ここ最近、目に見えて数字が急降下しているのです。特に、1月はかなりひどい」

テレ朝関係者はそう打ち明けるのだ。

たとえば、4日の視聴率は過去最低クラスの6・7%。裏番組が新年のバラエティ特番に占拠されていたとはいえ、「看板番組」らしからぬ数字である。

さらに、第2週の平均も9・38%と、1桁台に落ち込んでしまっている。

失速の理由については、

「まず、『ドクターX』が12月末で最終回を迎えたことです。コンスタントに20%前後の視聴率を稼ぐドラマが21時台にあったお陰で、後に続く『報ステ』の数字は木曜だけ2~3%底上げされていた」(同)

もっとも、別の中堅局員に言わせると、

「富川さんに代わってから『報ステ』が好調だったのは、単にニュースに恵まれただけです。就任直後の熊本地震にはじまり、舛添前都知事の金銭疑惑にリオ五輪など、世間の耳目を引くニュースが続いた。正直なところ、現在の数字が富川アナの“実力”なのだと思います」

■毒にも薬にもならない

とはいえ、富川アナの「優等生」ぶりは局内でも知られたところ。

リポーター時代は日本中を駆け回った現場の叩き上げで、メインキャスターになってからも仕事には人一倍熱心だという。

「『報ステ』の放映後、反省会が終わるのは深夜12時過ぎになりますが、富川さんは飲みの誘いも断って明け方まで新聞を読み込んでいる。ただ、マジメな反面、独自の視点や切り口に乏しく、番組内容にもほとんど口出しはしない。前任の古舘さんは全ての原稿を自らチェックして、オンエア直前にニュースを差し替えることも日常茶飯事でした。それこそ、30秒程度のストレートニュースすら気に入らなければ変更していた。うるさ型のキャスターが消えたことで、スタッフも緊張感に欠けるのです」(同)

年間出演料が「約12億5000万円に上った」(同)という古舘氏の降板がコストダウンに繋がり、官邸の怒りを買うリスクが減じたのも間違いない。

だが、毀誉褒貶の激しい個性派からバトンタッチされた無害な優等生は、

「淡々とニュースを捌くだけで、毒にも薬にもならない印象です」

とは上智大学の碓井広義教授(メディア論)の評。

「古舘さんや久米宏さんの時代はアンチを含め、常にその発言に注目が集まった。古舘さんを切って制作費が浮いたとしても、看板番組が視聴率を獲れなければリニューアルに成功したとは言えません」

いかに優等生といえども、視聴率が赤点ではキャスターとしての落第は免れない。

(週刊新潮 2017年2月2日号)

週刊文春で、NHK桑子真帆アナ「大抜擢」についてコメント

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桑子真帆アナが「ニュースウオッチ9」に大抜擢 
NHKのウラ事情
春の番組改編を目前に控え、NHKで、目玉人事があるという。平日午後9時から放送の報道番組「ニュースウオッチ9」でのことだ。

「2015年4月から、河野憲治キャスター(54)、鈴木奈穂子アナ(35)のコンビで臨んでいますが、昨秋頃から視聴率が低迷し、10%を切ることもあった。今年1月下旬に行われた、番組の出演者を検討する『キャスター委員会』で2人の降板が決定的となりました」(NHK関係者)

低迷の原因として問題視されるのが、河野キャスターだという。河野キャスターはワシントン支局長を歴任するなど、国際畑を歩んできた。

「決して人は悪くないが、キャスターとしては物足りなさがある。あらかじめ決められたコメントしか言わないし、関心の幅も狭く、アメリカ情勢以外のことにはまるで興味がない様子でした」(同前)

後任として白羽の矢が立ったのが、現在「ニュースチェック11」に出演中の桑子真帆アナ(29)と有馬嘉男キャスター(51)だ。桑子アナは10年入局で現在7年目。「ブラタモリ」では2代目アシスタントを務め、タモリ相手に物怖じせず、軽妙な掛け合いをするキャラクターがお茶の間の人気を呼んだ。

「入局当初は失敗も多く、ニュース原稿をよく噛んでいたので、付いたアダ名が“噛み子アナ”。でも、『ブラタモリ』に出演してからは一皮むけたようです。今も有馬さんと共に、上手く番組を回している。気さくで人懐っこい性格なので、上層部からの好感度も高い」(別のNHK関係者)

そして、今後「ニュースチェック11」は国際部の女性記者が担当するとみられる(新年度のキャスターについて、NHK広報局は「2月中に発表する予定」と回答した)。

NHKは、1月25日に籾井勝人氏(73)に代わる新会長として上田良一氏(67)を迎えたばかり。今春の番組改編は、上田新体制の今後を占う上でも重要な意味を持つ。

「『ニュースウオッチ9』はNHKの顔とも言える番組です。桑子アナで視聴率は期待できますが、『ブラタモリ』のようなカジュアルな雰囲気が入り込み、NHKの民放化などと批判される可能性もある。その点は留意すべきです」(上智大学・碓井広義教授)

果たして桑子アナはNHKの顔になれるか。

(週刊文春 2017年2月9日号)

書評した本: 樋口尚文 『実相寺昭雄 才気の伽藍』

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没後10年、克明な日記を含む、
鬼才研究の起点となる1冊
樋口尚文『実相寺昭雄 才気の伽藍』
実相寺昭雄監督が亡くなったのは2006年11月29日のことだ。69歳だった。昨年が没後10年。今年は生誕80年を迎える。

1960年代にTBS系で放送された、「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「怪奇大作戦」などで知られる実相寺監督。その後も長編映画デビュー作「無常」をはじめ、「帝都物語」などの映画、音楽番組やオペラの演出でもその才能を発揮した。

私と監督との出会いは、テレビマンユニオンに参加した81年だ。以来、監督が亡くなるまでの25年間、旅番組「遠くへ行きたい」やドラマ「波の盆」(芸術祭大賞受賞)などの制作を通じて師事してきた。いつも現場で驚かされたのは、創ろうとする映像の明確なイメージであり、それを実現する巧みな技術だ。

これまでも実相寺監督に関する優れた論評が発表されてきた。しかし、その多くは特撮シリーズについてだったり、映画に特化していたりと、ある側面は押さえているものの、全体像を捉えているとは言えなかった。 

本書の最大の功績は、ウルトラマンからクラシック音楽、小説や随筆までの広がりと奥行きを持つ監督の取り組みを、総合的・立体的に再構成し、その全貌に迫ろうとしていることだ。それを支えているのが、監督が遺した膨大な資料の数々である。中でも18歳に始まる克明な日記は、人間・実相寺の、まさに“実相”を探る貴重な手がかりとなっている。

その上で著者は、監督の特異性を「映画とテレビの技術のアマルガムであるテレビ映画独特の手法を一貫して作家性としたこと」に見出す。そして、この手法を具現化してきたのが撮影の中堀正夫、照明の牛場賢二、美術の池谷(いけや)仙克(のりよし)(昨年10月没、合掌)という「実相寺組」の名匠たちだ。

本書では中堀カメラマンの証言も挿入しながら、実相寺調と呼ばれる独特の映像美を分析している。今後の実相寺研究は、本書を起点とすることで展開されていくはずだ。

(週刊新潮 2017年1月26日号)

今期、最もクセになるドラマ『カルテット』の魅力とは?

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ドラマ『カルテット』(TBS系)の脚本は、『Mother』(日本テレビ系、10年)『最高の離婚』(フジテレビ系、13年)などを手がけてきた坂元裕二だ。メインの役者が松たか子、松田龍平、高橋一生、満島ひかり。チーフプロデュース・演出は、『重版出来!』『逃げるは恥だが役に立つ』の土井裕泰である。これだけの豪華メンバーがそろって、一体どんな物語を見せてくれるのか。

先が読めないストーリー

4人のアマチュア演奏家が、カラオケボックスで出会う。バイオリンの真紀(松)と別府(松田)、ヴィオラの家森(高橋)、そしてチェロのすずめ(満島)である。偶然かと思ったが、どうやらそうではなかったようだ。

彼らは、世界的指揮者である別府の祖父が持つ軽井沢の別荘を拠点に、弦楽四重奏のカルテットを組むことになる。簡易合宿のような、ゆるやかな共同生活も始まった。冬の軽井沢という”舞台”。音楽を梃子(てこ)にした”ドラマ空間”。まずは、一見強引とも思える、この設定がうまい。

4人に共通しているのは音楽との関係だ。プロへの夢を追い続けるのか、趣味として音楽を続けるのか、そんな二者択一から逃避した保留状態にある。一方、彼らが抱える過去や背景は、当然のことながら、それぞれに異なる。

夫が謎の失踪を遂げたという真紀。それは果たして本当に失踪なのか、それとも事件なのか。夫の母親(もたいまさこ、怪演)から、真紀に近づいて動向を探ることを依頼されたのが、すずめだ。彼女は子供時代、父親(作家・高橋源一郎、びっくりの快演)に従って、詐欺まがいを行っていた経験をもつ。家森は、何やら怪しげな男たちに追われているが、単なる借金取りとかではなさそうだ。さらに別府の事情や本心も不明のままだ。

台詞の“行間を読む”面白さ

そんな4人が、鬱屈や葛藤を押し隠し、また時には露呈させながら、互いに交わす会話が何ともスリリングなのだ。それは1対1であれ、複数であれ、変わらない。見る側にとっては、まさに“行間を読む”面白さがある。ふとした瞬間、舞台劇を見ているような、緊張感あふれる言葉の応酬は、脚本家・坂元裕二の本領発揮だろう。そして、台詞の一つ一つがもつ”ニュアンス”を、絶妙な間(ま)と表情で見せてくれる、4人の役者たちにも拍手だ。

このドラマは、サスペンス、恋愛、ヒューマンといった枠を超えた、いわば「ジャンル崩しの異色作」と言える。ここには、『重版』の黒沢心や、『逃げ恥』の森山みくりのような、つい応援したくなる“愛すべきキャラクター”はいない。だが、4人ともどこか憎めない、気になる連中なのだ。

いい意味で独特の暗さもあり、幅広く万人ウケはしないかもしれない。しかし続きが見たくなるドラマ、クセになるドラマとしては、今期ピカイチの出来だ。

週刊現代で、フジテレビ「月9」についてコメント

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フジテレビ上層部
今クールも大コケ! 月9を「やめる」「やめない」大モメ会議

『家政婦のミタ』や『半沢直樹』『逃げ恥』『ドクターX』など、テレビ離れが叫ばれる昨今でも、大ヒット作は現れる。ただしフジテレビ以外から。

かつてあれだけ若者を魅了した月9はどうなるのか?

■竹野内豊に逃げられた!

もう誰も驚かない。フジテレビの看板ドラマ枠「月9」が今クールも大ピンチに陥っている。

西内まりや主演の『突然ですが、明日結婚します』は、第1回(1月23日)の視聴率が8.5%と無残な結果に終わった。これは初回視聴率としては月9歴代ワーストだ。

「局内では『もっと低いと思っていたよ』と公然と言う社員もいました。そもそも今回は竹野内豊が主演し、脚本家・山田太一の長女でフジのドラマ班のエース、宮本理江子が演出する予定でした。宮本はこれまで中井貴一主演の『風のガーデン』や小泉今日子主演の『最後から二番目の恋』を手がけていました。現場はこれまでにない見応えのある作品を作ろうとしていたんですよ。ところが、企画内容が竹野内の所属事務所と折り合わず、白紙になってしまった。まったく違う企画で急遽代わりの主演を探し、たまたまスケジュールが空いていた西内を起用することになったんです」(フジテレビ関係者)

かつて誰もが主演したいと願った月9の権威は消えてしまった。放送前の会見で、西内は「実は海外留学の予定でした」と明かし、相手役のミュージシャン・山村隆太もオファーは「11月末の突然の話」と告白。共演する沢村一樹には年末に打診があったという。

「主要キャストに舞台ウラのドタバタをバラされてしまったわけです。第1回も放送の2日前まで撮影しており、スケジュールもギリギリ。このままでは途中で打ち切りになるのではないでしょうか」(スポーツ紙担当記者)

ストーリーもいまの時代に求められているものとは言い難い。西内が演じるのは大手銀行勤務のキャリアウーマン。結婚願望の強い彼女が、独身主義のイケメンアナウンサーと恋に落ちる。

元テレビプロデューサーで上智大学教授の碓井広義氏が言う。

「視聴者はちゃんと見るべきドラマを見極めています。美男美女が紆余曲折を経て最後は幸せになるという流れが見なくても分かる。見る動機がないんです。視聴者と感覚がズレてしまっている。この作品はテレビマンとして本当に作りたいドラマなんでしょうか」

月9は昨年放送の4作品が、いずれも平均視聴率ヒトケタに終わっている。

福山雅治主演の『ラヴソング』が8.5%、ジャニーズの山田涼介主演の『カインとアベル』が8.2%で、歴代ワーストの数字を次々と更新したが、今クールはさらに低調に終わる可能性が出てきた。

『月9 101のラブストーリー』の著者で評論家の中川右介氏が語る。

「俳優を決めてから脚本を作っていくスタイルで、月9がピークを迎えたのは'97年頃です。昨年は、月9の凋落を決定づけたような年でしたね。恋愛モノが時代の雰囲気に合わなくなったという声もありますが、TBSの『逃げ恥』がヒットしたことを考えるとそうでもない。フジは試行錯誤するものの、放送前に『今回もダメだ』という声が広まり、視聴者側もどこか色眼鏡で見てしまうんです」

フジが月曜9時から連ドラを撤退する日がついに現実味を帯びてきた。

■若い女性が見てくれない

昨年10月の定例会見でフジの亀山千広社長は、月9の終了について、「微塵も考えていない」と断言したが、別のフジ関係者は次のように語る。

「エースだった加藤綾子アナの退社がスポーツ紙に報じられた際、亀山社長は『絶対ない』と否定したものの、結局、加藤は独立しました。亀山社長がどんなに月9撤退を否定しても、むしろ信じられるものではありませんよ。実際には、月9の主演をやりたがる大物俳優がどんどんいなくなっているのが現状なんです」

フジテレビ局内でも、編成担当者は「月9」が役割を終えたことは十分に理解しているという。

「月9のターゲットはF1層と呼ばれる20~34歳の女性です。まず、今のこの世代は連ドラを見る習慣がありませんし、恋愛をドラマで学ぶ世代でもない。しかも実は25年前に比べて、この年代の人口は約25%も減少しています。単純計算で視聴率を10%取っていたものが、7.5%しか取れない。月9の視聴率が下がるのは宿命づけられていると言えます」(番組制作会社プロデューサー)

視聴者が不在。ならば月9は路線を変更して、若い女性ではなく、年配の男性に向けて、『半沢直樹』のような人間ドラマがメインの重厚な作品を作ればいいのではないかと思いがちだが、そう簡単でもないという。

「『半沢直樹』がヒットしたのは、日曜夜だからです。月曜9時はサラリーマンが帰宅して、ゆっくりテレビを観られる時間帯ではありません。在宅していても、年配の男性層はNHKの『ニュースウオッチ9』を見る習慣がある。だから、月9はそれと重ならない若い層を狙ってきたんです。すでにTBSがサスペンス系の2時間ドラマを放送しており、月9を年配の男性向けにシフトしても失敗は目に見えています」(前出・プロデューサー)

■そこそこ儲かるから……

どうすればヒットが生まれるのか、フジの制作の現場は会議で頭を悩ませているという。

「このままでは視聴率がとれないことは分かっていますが、'90年代に上層部がお世話になったしがらみがあって、主演級のキャストは大手芸能事務所の若手を起用しなければならない。そうすると必然的に恋愛モノになる。人間ドラマは演技力が必要ですから……」(フジテレビドラマ制作関係者)

制作の現場は上司からこの2つだけを厳命されているという。

「大物を起用しろ」
「原作モノをとってこい」

前出の関係者が続ける。

「このどちらかでなければ、企画が通りませんから、粛々と従うだけです。制作費も減らされて、2年ほど前から月9でさえ、ロケバスの使用やエキストラの人数を節約しています。もはや中身を変えたくても、変えられません。ドラマの制作担当者が一堂に集まる会議は恒常的にはありませんので、月9の今後をどうするかを話し合うことはありませんが、危機感は共有していると思います。ただそれを上に吸い上げてもらう機会がないんですよ」

別のフジの中堅社員はこう明かす。

「編成担当者の会議では、月9を中心としたドラマ枠を今後どうするか話し合っています。『月9は看板だから続けるべきだ』という考えの社員もいますし、低迷が続くだけだから、月9のドラマは終わらせたほうがいいという意見も当然あります。ただ、その後に何をやるのか。数字を獲れるようなバラエティの企画なんてありません。しかも月9はこれだけ低迷しても広告の単価が他のドラマより高いんです。月9ドラマを終わらせてもこれまでと同じようにスポンサーから広告を取れるかどうかわからない」

月9を終わらせたくても、現状から変えられないのが、実情のようだ。

「ドラマの現場責任者である制作局長とその直属の部下2人が月9低迷の対策を話し合っているようですが、結局のところ月9をゼロから見直すという案を役員レベルに提案することができていない。それが一番の問題だと思います」(フジ関係者)

月9の絶頂期を知る日枝久会長、亀山千広社長の元では、なかなか抜本的な改革はできないという事情もある。

「亀山社長はプロデューサーとして'90年代に『あすなろ白書』や『ロングバケーション』『ビーチボーイズ』などを手がけて大ヒットさせた。月9に対する思い入れがとにかく強い。なんとしても現状のまま立て直すということしか考えていない。

昨年から幹部の間では『月9不要論』は何度も浮上しています。しかし、いまの日枝体制では目立つ失敗をすれば、すぐに左遷させられる。月9がジリ貧なのは分かっていても、広告収入はそこそこ入る『儲かる枠』なので、大きなリスクを冒してまで月9を改革しようという部長、局長はいないんですよ」(フジ関係者)

■またジャニーズかよ!

八方塞がりのなか、月9は春から「ジャニーズ攻勢」に出る。

「4月クールの主演は、NHK紅白歌合戦の司会も務めた『嵐』の相葉雅紀で、人気ミステリー小説『貴族探偵』を映像化する予定です。共演者に大物女優をキャスティングすることに躍起になっていましたが、なんとか仲間由紀恵が内定しそうだと聞いています。

さらに7月クールには、これもジャニーズのアイドル、山下智久主演で医療ドラマ『コード・ブルードクターヘリ緊急救命』のパート3が内定しています」(前出・フジ関係者)

そして10月クールには、満を持して、木村拓哉が主演するという。

「キムタクは'96年の『ロングバケーション』から始まって、月9には計10作品に主演しています。『ラブジェネレーション』('97年)で30.8%、『HERO』('01年)で34.3%という怪物的な平均視聴率を叩きだした木村に『夢をもう一度』と託すわけです。これがコケたら、さすがに亀山社長も月9を終わらせる決断をするしかないでしょうね」(前出・関係者)

キャスティング頼みと視聴者に揶揄されているなかで、ジャニーズのタレントを3連投。さらに月9のイメージを支えてきたキムタクで最後の大勝負に出るというわけだ。

だが、「またジャニーズか」という感は否めず、厳しい戦いになるのは目に見えている。

「枠そのものが復興するには、キムタクだけでは足りない。月9という枠としての衰退はもはや止められない。月9ブランドを一度壊すという選択をしたほうがいいでしょうね」(前出・碓井氏)

フジの制作現場でも、いまのキムタクが20%を獲るのは難しいということは分かっている。

別のフジの社員がタメ息まじりで明かす。

「現場には厭世観が漂っていますよ。『テレ朝の「ドクターX」なんて、まるで「水戸黄門」のような古臭いドラマだよ』なんて軽口を言う幹部もいますが、自分たちは数字をまったく取れていない。月9の制作費には直接影響しませんが、昨年、トヨタが月9のスポンサーから降りたことも大きい。このままでは営業サイドも黙っていない。東芝の経営危機で、『サザエさん』だってどうなるか分からない時代ですから。

基本的にテレビ局の営業は半年かけて広告を売っていきます。10月にキムタクドラマが始まるときには、すでに次のドラマの営業活動は始まっています。だから月9のドラマ枠がなくなるとしたら、来年春からでしょうね。どうせ低視聴率なら、もっと実験的な番組を始めたほうがいい。それにしても『笑っていいとも!』『SMAP×SMAP』に続いて、月9まで終わったら、フジには何が残るんでしょうか……」

フジテレビが再び面白いドラマを作り出してくれるのを待っている視聴者もいる。

(週刊現代 2016年2月11日号)

“ひねり技”が効いている、ドラマ「バイプレイヤーズ」

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日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今回は、ドラマ「バイプレイヤーズ」について書きました。


テレビ東京系
「バイプレイヤーズ
もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら」
パロディーの煙幕に隠された“本当のこと”
大杉漣、遠藤憲一、松重豊、寺島進、光石研、田口トモロヲ。いずれも脇役でありながら、時には主役を「食っちゃう」ほどの実力派俳優だ。この6人を集めたドラマがテレビ東京系「バイプレイヤーズ(脇役たち)」である。しかも遠藤の役名は「遠藤憲一」で、大杉もまた「大杉漣」という役者を演じる“ひねり技”だ。

ある日、彼らに仕事が舞い込む。チャン・イーモウ監督が「七人の侍」をリメークするという。主演は役所広司で、残りの主要人物への大抜擢だ。ただし条件があり、役者同士の絆を深めるため、クランクインまでの3カ月間、合宿生活を送らなくてはならない。6人は即座に快諾し、奇妙な日常が始まった。

彼らが参加しているドラマの現場の“あるある感”が半端じゃない。遠藤と松重の刑事ドラマ「相方」では、スタッフの間に「2人は仲が悪い」という噂が広まり、本人たちも疑心暗鬼に。また光石は「W不倫の悲劇」の共演者、山口紗弥加(本人)と実際に不倫関係に陥りそうになる。

毎回ドラマや芸能界をネタに連射される、“ちょっと危ない話”が堪らなくおかしい。NHKや民放各局が実名で登場。あの「文春砲」も話題になる。6つの個性のぶつかり合いはもちろん、パロディーの煙幕に隠された“本当のこと”を探してみるのも、この深夜ドラマの醍醐味だ。

(日刊ゲンダイ 2017.02.08)
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