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東京新聞で、エイベックスの「JASRAC離脱」について解説

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音楽著作権「独占」に風穴
JASRAC エイベックスが離脱へ
音楽の著作権管理でシェア99%を占める日本音楽著作権協会(JASRAC)から、エイベックス・グループ・ホールディングスが離脱する。独占状態の音楽著作権業界に風穴を開け、競争による業界の活性化につながるのか。(沢田千秋)

JASRACは、作詞家や作曲家などから委託を受け、三百万曲以の著作権を管理する。2014年度の著作権使用料の徴収額は1025億円に上る。日本の音楽著作権管理を一手に握ってきた。

例えば、CDの場合、CD価格の6%を使用料として徴収し、その6%をJASRACが手数料として受け取る。飲食店や洋品店などでBGMとして流した場合の使用料は、店舗の面積ごとに区分され、最も安い500平方㍍以内の店は年間6000円。手数料は10%だ。

カラオケ店は、「包括利用許諾契約」を結べば、定員10人までの部屋1室の使用料が月額4000円。要集総額をリクエストデータに応じて著作権者に振り分け、JASRACは、著作権者ごとに手数料26%を得る。

NHKや民放連加盟放送局もJASRACと年間包括契約を結んでおり、放送事業収入の1.5%を使用料として払う。放送業界からの徴収額は総額300億円以上とされ、JASRACの手数料は12%だ。

大半の著作権者がJASRACに委託する理由は、強固な営業基礎と高い徴収力が大きい。全国の営業マンが熱心に一店一店を回り、支払を求める。

今年6月には、BGMの使用料を支払わない全国約260施設を相手に、JASRACが簡易裁判所に民事調停を申し立て、「街角から音楽をなくすのか」と反発を呼んだ。

放送局との年間包括契約については、最高裁が今年4月、「ほぼすべての放送事業者が長期間にわたり、JASRAC以外の事業者が管理する音楽を利用しづらくなっている」として、独占禁止法違反の疑いがあるとの判断を示した。

このJASRACに反旗を翻したのが、音楽業界大手のエイベックス。歌手の安室奈美恵さんやEXILEら人気アーティストを多数抱える。10万曲をJASRACに管理委託していた。

今後、著作権者の合意が得られ次第、系列の著作権管理会社「イーライセンス」に移行する方針を決めた。CDの場合、手数料はJASRACより低い5%で、販促用無料CDは使用料を徴収しない選択もできる。

エイベックスのコーポレート広報課は「競争環境が生まれサービスがよくなれば、業界活性化も見えてくる。新しい創作活動が、より自由にできるようになる」と強調する。

著作権に詳しいアヴァンセリーガルグループの山岸純弁護士は「JASRACが最初に努力したことは認めるが、その後、他社の参入を阻むような仕組みをつくったのがいけない。JASRACと契約しない限りほとんどの楽曲を使えないという状態では、音楽業界自体の発展も止まってしまう」と話す。

上智大の碓井広義教授(メディア論)は「著作権料の振り分けが不透明で、本当に著作権者に還元されているか疑問、不信感があると聞く。JASRACの長い独占体制下で、アーティスト、ユーザーとも手数料や使用料に意見できない雰囲気がある」という。

「せ使用料が下がれば、地方の小さなFM放送局や店舗でも気軽に楽曲を流せ、ユーザーが新しい音楽に触れる機会が増えるかもしれない。独占が解消され、ソフトやコンテンツが自由に動ける健全な音楽業界が望まれる」。

(東京新聞 2015.10.28)

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