「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。
入江敦彦 『ベストセラーなんかこわくない』
本の雑誌社 1944円
ベストセラーは時代の空気と触れあって熱を帯びる。だから、「冷ましてから読むべし」と著者。名言だ。並ぶのは『恍惚の人』『日本沈没』『窓ぎわのトットちゃん』など46冊。その内容の吟味から、売れた理由までが開陳される。本で辿る現代世相史でもある。
小田嶋 隆 『超・反知性主義入門』
日経BP社 1620円
日経ビジネスオンラインに連載中のコラム「ア・ピース・オブ・警句」の単行本化も本書で第5弾。安倍政権が生み出す嫌な空気を指摘し、「愛国者のふりをしないと孤立する社会」への警戒を強めている。巻末の森本あんり・ICU副学長との対談もお得感あり。
垣谷美雨 『老後の資金がありません』
中央公論新社 1728円
気になるタイトルの書き下ろし長編小説だ。篤子はごくフツーの主婦。老後のための貯金もしてきた。ところが、娘の派手な結婚式に大金を投じる破目になる。しかも自分はパートの契約を打ち切られ、夫までリストラの憂き目だ。さあ、この苦境をどう脱するのか。
(週刊新潮 2015.11.05号)