セーラームーンや鉄腕アトムの“現在”を見せる、ソフトバンクの新しいCM。
「おいおい、こんなふうになっちゃてるの?」「勝手に未来を作らないでくれよ」の違和感強し。
週刊新潮の記事で解説しました。
CM合戦
「小泉今日子」敗れたり!
小泉今日子(元セーラームーン)、堺雅人(元鉄腕アトム)、小日向文世(元デューク東郷)、広瀬すず(元ちびまる子)・・・錚々たるメンバーで10月17日からスタートしたソフトバンクの新CMが、つまらない。
「フィクションのキャラクターが大人になって、元セーラームーンはバーのママ。そこへ集うアトムやゴルゴ13・・・。
よくあるパターンですが、それぞれが大ヒット作品だけに、視聴者の思い入れがある。セーラームーンなら、少女時代の夢や希望など、いまや人生の一部と化しているファンもいるでしょう。
それらを無視して土足で入り込まれたような気がするからつまらない、というより不快感を覚えるんだと思います」
とは上智大学教授の碓井広義氏(メディア論)だ。
犬のお父さんで人気だった「白戸家」シリーズが、2007年から8年連続でCM好感度1位だったが、代わりにトップに踊り出たのがauの「三太郎」シリーズ。こちらも桃太郎や浦島太郎、金太郎という人気キャラを扱っているが、
「万人に共通の距離があるし、物語を下敷きにしているから新たなエンターテインメントになっている。ソフトバンクは原作への敬意が感じられない。
「白戸家」のCMプランナーだったヒットメーカーの澤本嘉光さんが外れたことも大きいのかもしれませんが、作者や著作権者に使用料を払えば何をやってもいいってものではない。
人類のために太陽に突っ込んだアトムがサラリーマンやってちゃいけないし、権力を一顧だにしないゴルゴが総理になっちゃ情けない、ジョーは灰になって燃え尽きたんだ」(同)
我々はあしたのジョーである、なんて人たちもいたが。
(週刊新潮 2015.11.19号)