石倉三郎が芸歴50年目で映画初主演
大ベテランによる初主演続く
名脇役として知られる石倉三郎が11月22日、都内で行われた初主演映画『つむぐもの』(16年春公開)の完成報告舞台挨拶に登場した。
同映画は、日韓国交正常化50周年記念作品で、ある日突然、脳腫瘍で倒れた石倉演じる頑固な和紙職人と、ひょんなことから彼の介護をすることになった韓国人女性との交流を描いたヒューマンドラマ。
石倉にとっては、芸歴50年、68歳にして初の主演映画となる。
上智大学文学部新聞学科教授の碓井広義氏は、「いわゆる“強面”と言われる風貌ですが、観る人はその奥に一本筋の通った男らしさのようなもの、一般的な役者では表現できない人間の凄みを感じるんではないかと思います。そこが魅力。まさに「昭和の男」で、言葉はもちろん、背中、手、表情だけで魅せることのできる石倉さんには、今回の職人役はぴったりなのではないでしょうか」と初主演作に期待を寄せる。
また、先週末21日には、笹野高史が67歳にして初主演を務めた映画『陽光桜』が公開と、大ベテラン俳優による主演が目立つ昨今の状況についても「今どきの若くてかっこいい俳優を主役に据えればいいという風潮が変わってきたのはとてもいいことだと思います。それなりの年齢の役者が主役を務めるということはこれまで海外でなら十分にあり得ましたが、日本ではなかなかなかった。日本のエンタテインメントの世界に多様性が生まれてきた証拠でもあり、1つには楽しむ側の成熟もあるのでしょう」と語っている。
(オリコン「コンフィデンス」2015.11.30号)