フジテレビのWEBニュース専門局「ホウドウキョク」。
16日夜、「あしたのコンパス」に電話出演しました。
テーマは、「放送の“政治的公平”について政府統一見解」でした。
<報じられていること>
2月12日、総務省は、放送の“政治的公平性”について、理事懇談会に政府統一見解を提出し、公表しました。
高市総務大臣が8日の衆議院予算委員会で、放送事業者が、政治的な公平性を欠く放送を繰り返した場合に電波法に基づき電波の停止を命じる可能性について、「将来にわたって罰則規定を一切適用しないということは担保できない」と繰り返し答弁し、民主党などが政治的公平性を巡る政府の考え方を明確に示すよう求めていました。
統一見解では、「放送法4条で規定された政治的公平性が確保されているかを判断する際には、1つの番組ではなく放送事業者の番組全体を見て判断するとした、従来からの解釈には何ら変更はない」としています。
さらに、「『1つの番組のみでも認められない場合がある』などとした高市大臣の見解は、選挙期間中などにことさらに特定の候補者のみを取り上げ、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合などといった極端な場合には、一般論として、政治的な公平性を確保しているとは認められないという考え方を示すものだ」ともしています。
こうした解釈や判断基準については、「これまでの解釈を補充的に説明し、より明確にしたもの」と説明しています。
公明党の井上義久幹事長は、「法律の建前を繰り返し、担当大臣が発言するのは、別の効果をもたらす可能性もある。慎重であるべきではないか」と批判的に捉えています。
また、民主党の山井和則予算委理事は、「国民の知る権利を妨げる検閲にもつながりかねない、深刻な政府統一見解が出てきた」
として、15日以降の国会審議で追及する考えを示しています。
<番組で話したことの概要>
「政治的公平性」を政府が判断するという姿勢をとっており、高市総務相の言う「停波」ということもありえます。
懐にある刃物をチラ見させている感じであり、政府の統一見解は、高市発言に対する実質的な追認という印象です。
放送法第4条は、憲法21条の“表現の自由”がベース。誤解されているが、報道機関に対して権力が介入する事を防ぐための規定です。政府はこの大前提を忘れているのではないか。
政府は、権力や政権を維持するためには、 あらゆる手段を使います。そのための大きなツールが放送やメディア。そういう意味で干渉を受けないようにしなければならない。メディア側は権力に対して、おかしいと言う立場であり、それが役目です。
ところが、権力に対しておかしいと言う役割を果たすメディアに対して、停波する権限を政府が握っている。批判を受けるかもしれない側が「免許」を押さえているわけで、制度そのものに矛盾があるのです。
現政権のメディアコントロールが強まっている。かつてであればオブラートに包んだことが、権力の表出がストレートになっている。政権側が「自分たちが民意だ」という形でものを言うのも危険です。
放送局側も気をつけないといけない部分がある。政治的介入を防ぎたいと思うなら、“自律”した番組作りをする必要があります。