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Channel: 碓井広義ブログ
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吉田剛太郎「東京センチメンタル」は、大人のための恋愛ドラマ

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日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、テレビ東京「東京センチメンタル」について書きました。


テレビ東京系「東京センチメンタル」
旬の女優ばかりが女優ではない
「東京センチメンタル」の主人公・久留里卓三は、55歳になる和菓子屋店主だ。職人としての腕はいいが、かなりの女好き、というかホレっぽい性格。離婚歴ありで、しかもバツ3。これを“平成一のモテ中年”である吉田剛太郎が演じているところが絶妙だ。

基本的には、毎回いろんなタイプの美女にホレて、結局はフラれる。だから、つい「男はつらいよ」の寅さんを思い浮かべる人もいるだろうが、ちょっと違う。寅さんが無意識のうちに恋をしてしまう“恋愛の天才”だとすれば、卓三は自意識過剰な“恋愛の凡人”。いや、だからこそ世の男たちも共感できるのだ。

これまでの中で、最高傑作は「新井薬師の恋」である。昔、修業をしていた老舗の和菓子屋から閉店の知らせが届く。現在の店主は先代の娘で、かつて隠れて交際していたこともある、みずほ(床嶋佳子)だ。卓三は、彼女から父親の味を再現して欲しいと頼まれる。

卓三への思いを持ちながら、直接伝えることのできないみずほ。それを感じながらも、応えることができない卓三。互いに大人だからこそ、一度失った恋を取り戻すのは難しいんだよなあ。

和服姿の床嶋佳子が、せつなくも美しかった。また別の回では、イタリアから一時帰国したヴァイオリニスト役の奥貫薫もよかった。旬の女優ばかりが女優ではない。

(日刊ゲンダイ 2016.03.02付)

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