発売中の「女性セブン」最新号。
名物連載「新われらの時代に」で、テレビ特集が組まれています。
タイトルは、
『「バラエティー」から「ドラマ」へ!志向はなぜ変わった?』
巻頭には、「私たちが再びドラマに心動かされている理由とは――」という文章が。
記事は70年代から現在までのドラマの流れを、バラエティとの関係なども絡めながら構成されている。
日本テレビ「Woman」プロデューサーの次屋尚さん、テレビ朝日「DOCTORS2 最強の名医」プロデューサーの三輪祐見子さん、中大教授の宇佐美毅さん、日大教授の中町綾子さんなどと並んで、取材を受けました。
例によって、記事全体は本誌をご覧いただくとして、以下は私のコメント部分です。
・・・・まずは、最近のドラマということで、NHK「あまちゃん」について。
元テレビプロデューサーで、上智大学文学部新聞学科教授の碓井広義さんが言う。
「毎回リアルタイムで見たうえに、録画して繰り返し見るなんて、久しぶりです。『あまちゃん』が世代を問わずに楽しめる理由のひとつに“トリプルヒロイン”にあります。もちろん主役はアキですが、その母親・春子(小泉今日子、47才)も、祖母・夏(宮本信子、68才)もいわゆる脇役ではない。3人が3つの世代のヒロインなんです。だから、老若男女が登場新部つの誰かに感情移入できて、家族みんなで見られるんです」
そう、確かに家族そろってテレビの前で始まるのを待つ。この感覚が幼い頃の一家団らんをも思い起こさせるのだ。
・・・・次は、00年代に入ってから、ドラマが元気を失っていったのはなぜか、という話だ。
第一の理由に、ドラマの制作費削減が挙げられる。
前出・碓井さんは、内情をこう説明する。
「バブルがはじけても、しばらくはテレビ局はそのあおりを受けずに済んだのですが、03年をピークに制作費の削減が始まりました。そして決定的だったのが08年のリーマンショックです。これでさらに削減が進みました」
・・・・そして、最近の視聴者のドラマ志向について。
前出・碓井さんは、ドラマ志向のきっかけは『あまちゃん』だと分析する。
「『あまちゃん』って、軽快なドラマに見えますが、きっちりアキの成長を描いているし、時には涙ホロリとさせる。脇役に至るまでしっかりとキャラクターが練られている。視聴者は、このドラマをきっかけに物語の面白さを再認識したのでしょう。というのも『あまちゃん』はかつての大ヒットッドラマが持っていた笑いと涙、主人公の成長・・・・すべてを兼ね備えていますから。物語の面白さとは、ワハハと笑うことではありません。人の気持ちの周波数が一致することです。『あまちゃん』でその心地よさと感動を覚えた。人々は、ドラマにより素直な自分の感情を重ね合わせたいと願い、7月クールのドラマを見始めたのではないでしょうか」
それはかつて、私たちがドラマに夢中になっていた頃に、確かにドラマが持っていたものだった。
(女性セブン 2013.08.15号)