日刊ゲンダイで、フジテレビの新番組「フルタチさん」について解説しました。
新番組「フルタチさん」で露呈
古舘伊知郎の“限界”
「報道ステーション」降板後、古舘伊知郎(61)にとって初のレギュラー番組「フルタチさん」(フジテレビ系、日曜19時)が6日にスタートした。
注目を集めた初陣の視聴率は8.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区=以下同)。横並びで民放2位だなんてヨイショする記事もあったが、王者・日本テレビ系の「ザ!鉄腕!DASH!!」(19.4%)と「世界の果てまでイッテQ!」(22.0%)を見れば、比べるのも無残な結果である。そして数字以上に内容もひどかった。
古舘は、「ストレートに(すごい映像を)見たい人は日テレ見りゃいい」と自虐的に言い放っていたが、いやはや。
上智大教授の碓井広義氏(メディア論)は「期待して見たのに肩透かしを食わされた」と、こう続ける。
「冒頭数十分間を過ぎても肝心の番組趣旨がいまいち伝わらず、徐々にどうやら身近な疑問を検証VTRを交えて、トークする番組らしいことが分かってきた。ありきたりな話題でも古舘さんがしゃべれば、新たな面白さが生まれると思ったのかもしれませんが、日曜夜にテレビらしいライブ感の乏しい、暇ネタの羅列に2時間も付き合わされるのはつらい。次回以降の継続視聴は断念するかもしれません。企画会議から携わっていたであろう古舘さんのやりたかった番組がこの程度なのかと思うと残念です」
フジは6時間前の日曜13時台に「さまぁ~ずの神ギ問」という世の中の疑問を検証していくトーク番組を放送している。「フルタチさん」との大きな違いはキャスティングぐらい。両番組とも同一人物がチーフプロデューサーとなれば、同じ味付けでも仕方ないだろうと開き直られたらそれまでだが、底の浅さと手抜き感は否めない。
初回の目玉企画は、古舘自ら足を運んだヤフー本社訪問だろうが、「6年前に『ヤフー・トピックスの作り方』(光文社新書)が出版された際、おおかたの舞台裏が解説され、その後もテレビカメラが何度か入り、取材してきたネタ。目新しさや驚きはほぼなく、2回目の肩透かしを食わされた気分になりました」(前出の碓井氏)。
久米宏(72)は「ニュースステーション」後、一発目のレギュラー番組「A」(日テレ系)が3カ月で打ち切りに。このままでは、先人が歩んだ道をトレースしそうな気がしてならない。
(日刊ゲンダイ 2016.11.09)