週刊朝日の特集記事「2016 お騒がせな人々」で解説しています。
年忘れワイド
2016 お騒がせな人々
LINEで自滅したベッキー、川谷、乙武、文枝
・・・それぞれの後始末
ゲス不倫の衝撃で幕を開けた2016年。“お騒がせな人々”を総ざらいする。まずはその不倫問題の主役から……。
「このタイミングで私に?と、ただただ驚きました」
12月15日、都内で開かれた会見に今年のお騒がせ女王、ベッキーが笑顔で登場した。不倫騒動後、初となるテレビCMがLINE(年末年始に声の出演)に決まったのだ。
そもそもベッキーと「ゲスの極み乙女。」の川谷絵音の不倫騒動は、1月6日の謝罪会見後に週刊文春に掲載されたLINEのやりとりが決定的証拠となった。ベッキーが書いた〈センテンス スプリング!〉は2016年の流行語大賞にノミネートされた。
「まさに因縁のツールを宣伝するのだから、並々ならぬ意志の強さを感じます」
と舌を巻く上智大学の碓井広義教授(メディア論)は、こんな前向きなベッキーを、“十分たたかれたよね”と世の中も迎え入れる雰囲気になったと話す。
「9月に川谷君が交際相手の未成年女性と飲酒した問題が発覚して、シーソーで言えば川谷君の価値が下がった分、ベッキーが浮上した感じがある」
川谷は、ベッキーが犠牲を払う間にも「なんで俺が謝るんだ」とバンド活動を続けたが、飲酒問題で自粛に入った。ファンによれば、自粛前の最後のライブで「28歳はいい年にしたい」と言ったとか。マスコミへは、何かあればまた俺が悪者になる、と漏らしたとも。
こんな川谷を「ガキやな」と失笑するのはテレビウォッチャーの吉田潮さん。
「素直すぎにもほどがある。取り繕うこともできず、恋愛哲学をそのまま言って、おこちゃまだ」
一方、復活するベッキーにはこんなエールを送る。
「皆が“優等生キャラ”から引きずりおろしたがっていたけど、そのキャラを卒業できたのはめでたい」
ベッキーがクリーンなイメージだったからこそ世間の驚きも大きかったわけだが、男性でイメージを覆した人物といえば5股不倫を告白した乙武洋匡氏だろう。今春、参院選立候補のうわさがあった中で“まさか”の発覚だった。
碓井教授は言う。
「あと一歩で国会議員だったのに、ハシゴから滑り落ちた感じ。最もがっかりしたのは、発覚後に奥さんに謝罪コメントを書かせたこと。あれで世間は乙武君のあざとさを見抜きました」
不倫の後始末を妻にさせて、結局離婚したが、こんな意見もある。
「離婚が悪い結末とも言えない。世間はどこかで障がい者の性についてきれいにとらえたいという思い込みがあるし、それに(何人もの子育てが大変な)奥さんのために外で……もわからないでもない」(吉田さん)
この秋から乙武氏は振り切ったキャラで動き出す。11月、「ワイドナショー」(フジテレビ系)に9カ月ぶりに出演。〈復帰させて頂けるときはゲスの極み乙武!としてぜひ〉と話し、その後ツイッターも再開し、話題を呼んでいる。
「才能があるし、新ビジネスでも展開するのでは」(同)
一方、伝統芸能の世界では、大物が次々と不倫を暴かれた。まずは73歳の桂文枝。2月に35歳年下で演歌歌手の紫艶との20年交際が発覚し「嫁さんを裏切るようなことになって」と謝りつつも、不倫は「事実と違う」と否定。すると紫艶がフェイスブックに師匠とおぼしき人物の全裸写真を掲載した。しかもその手元には「新婚さんいらっしゃい!」のロゴ入りクッションが──。
碓井教授は「対応も相手選びもまずかった。師匠、その人にいっちゃったかー」と苦笑い。
「文枝師匠は相手を支える足長おじさん風だったと言い訳したため、彼女の感情が悪化した。師匠が出る番組を見て視聴者が心から笑えない。話が落ちず、自分が落ちちゃった」
文枝は離婚せず、6月に8期目となる上方落語協会の会長に決まったが、「体力的な面も考えてこれで最後にしたい」と今期限りでの勇退を発表した。
「この騒ぎで根こそぎ体力を奪われたと思う。ネットに下半身ぺろ~んなんて書かれ、男の沽券が大変」(吉田さん)
(週刊朝日 2016年12月30日号)