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Channel: 碓井広義ブログ
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植草さんとコーシン先生

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本のサイト「シミルボン」に、以下のレビューを寄稿しました。

https://shimirubon.jp/reviews/1677649


植草さんとコーシン先生
書庫のどこかにあるはずなのに、見つからなくて困っていた本を、古本屋さんで入手しました。

『植草甚一 ぼくたちの大好きなおじさん―J・J100th Anniversary Book』(晶文社)です。

嬉しかったのは、「植草さんの声が聞けるCD」という涙モノの付録も、ちゃんと付いていたこと。このCDには、75年~76年に行われたインタビュー3本が収録されていて、その中の一つが鍵谷幸信さんによるものでした。

当時、鍵谷さんはジャズファンの間ではよく知られたジャズ評論家でしたが、あの西脇順三郎の弟子であり、現代詩人でした。

また現代英米詩が専門の慶大教授でもあり、私たちが学生の頃は、日吉の教養課程で英語の授業も担当されていました。

幸信という名前は、本当は「ゆきのぶ」だと思うのですが、みんな「コーシン」と呼んでいました。「カギヤ・コーシン・センセー」と。

そして、鍵谷先生が英語の授業をやっている教室からは、大音量のジャズが聴こえてくるという伝説があり・・・・いや、実際そうでした。

それだけで、鍵谷先生の授業を受けたかった。

でも、必修科目だった英語は担当が決められていて、学生は選べなかったのだ。

一度、教室をのぞきに行ったら、本当にジャズのレコード(CDじゃない)をかけたりしていて、鍵谷先生は教壇の上でタバコをふかしながら授業をしていました。

いい時代だよねえ。

そのコーシン先生も、89年に亡くなっています。まだ58歳の若さでした。

植草さんと鍵谷先生には、2人で出した、植草甚一・鍵谷幸信:編『コルトレーンの世界』(白水社)という本もあります。

ちなみに、私の日吉時代には、まだ、この『コルトレーンの世界』は出版されていません。

日吉から三田に移って、今度は、ようやく植草甚一さんを知ることになります。

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