日経MJ(日経流通新聞)に連載しているコラム「CM裏表」。
今回は、高橋一生さんが出演している、カップアイスMOW(モウ)のCMについて書きました。
森永乳業MOW「高橋店長の品出し」編
シャイで誠実 新たな魅力発見
旬の役者を起用することは、CMの成功パターンの一つだ。その意味でドラマ『カルテット』(TBS系)の印象が鮮烈で、NHK大河ドラマ『おんな城主直虎』にも出演中の高橋一生さんを登場させた効果は大きい。
『カルテット』で高橋さんが演じていた家森諭高は、クールでちょっと得体が知れず、しかも色っぽい。
また大河の小野政次は、直虎をめぐる“三角関係”の中で、相手の幸せのためなら悪にもなれる男。どちらも危うさがあるからこそ、女性が魅かれてしまうタイプだ。
メガネにエプロン姿でスーパーの売り場に立つ高橋さんが、買い物に来た母子を見守る。より良い品を選択して欲しい。バニラアイスならMOWだ、と心の中で語りかける。
実はこの「心の中で」が効いていて、シャイで誠実な店長さんから目が離せない。家森とも政次とも違う、高橋さんの新たな魅力を発見したような気になるからだ。ズルいぞ、一生。
(日経MJ 2017.04.03)