仕事であり、同時に仕事だけでもないのですが(笑)、今期もまた、新たに始まったドラマはすべて見ています。
そして、すべてを見ながら、ふとやってみたくなったのが、歴代テレビドラマ「私のベストテン」を選ぶという、ささやかな“一人遊び”です。
あくまでも、どこまでも“極私的”なベストテンであります。
とはいえ、この連休中にレンタル屋さんでDVDなど探して、ご覧になってみるのも一興かもしれません。
歴代テレビドラマ「私のベストテン」
1位 「北の国から」 1981年、フジテレビ
ドラマの成否は脚本にかかっていることを、あらためて実感します。倉本聰さんの脚本は、20年にわたって「ドラマの登場人物たちと同時代を生きる」という稀有な体験をさせてくれました。
2位 「岸辺のアルバム」 77年、TBS
企業人としての父。女としての母。家族は皆、家の中とは違った顔を隠し持っています。それは切なく、また愛すべき顔でした。洪水の多摩川を流れていく家々の映像と、ジャニス・イアンが歌う「ウィルユー・ダンス」が忘れられません。脚本、山田太一。
3位 「それぞれの秋」 73年、TBS
最も身近な存在でありながら、家族の素顔や本心をどれだけ知っているのか。それまでのホームドラマでは見ることのできなかった家族の実像をクールに、そして優しく描ききっていました。脚本、山田太一。
4位 「俺たちの旅」 75年、日本テレビ
フリーターという言葉もなかったこの時代、組織になじめない若者たちの彷徨を描いて秀逸でした。カースケ(中村雅俊)、オメダ(田中健)、グズ六(津坂まさあき )の三人が当時の年齢のまま、今もこの国のどこかで生きているような気がします。脚本、鎌田敏夫ほか。
5位 「金曜日の妻たちへ」 83年、TBS
日常の中にあるエロスを再発見し、日本人の恋愛観を変えたシリーズの1本目。特に、女性の不倫に対するハードルを下げた功績(?)は大きいのではないでしょうか。ちなみに、大ヒット曲となった小林明子「恋におちてーFall in loveー」が主題歌だったのは、85年の「金曜日の妻たちへIII 恋におちて」です。脚本、鎌田敏夫。
6位 「ふぞろいの林檎たち」 83年、TBS
やがて自分が大学のセンセイになることなど思ってもいなかった頃、“フツーの大学生”の実態を、残酷かつユーモラスに見せてくれました。サザンが歌った「いとしのエリー」も、ドラマのテーマ曲ベスト10に入ります。脚本、山田太一。
7位 「バラ色の人生」 74年、TBS
自分は何がしたいのか。何ができるのか。モラトリアムの時間を生きる若者たち(主演、寺尾聰)の姿が、ジョルジュ・ムスタキ「私の孤独」の歌声と共に記憶に残ります。松方弘樹さんにさらわれる前の(笑)仁科明子さんが可憐でした。脚本、高橋玄洋ほか。
8位 「時間ですよ」 70年、TBS
“ドラマの黄金時代”ともいうべき70年代の幕開けを告げた1本。「松の湯」の脱衣所にドキドキし、堺正章と悠木千帆(現・樹木希林)の掛け合いに笑いました。天地真理が登場したのは翌年の第2シリーズでしたが、当時、確かに可愛かったです。脚本、向田邦子ほか。
9位 「傷だらけの天使」 74年、日本テレビ
オープニング映像のカッコよさにぶっ飛びました。ショーケン(萩原健一)、水谷豊、岸田今日子、そして怪優・岸田森などの出演者。また市川森一や鎌田敏夫といった脚本家たち。深作欣二や工藤栄一などの監督陣。カメラは木村大作ほか。これで面白くないはずがありません。
10位 「七人の孫」 64年、TBS
少子化社会とは無縁の元祖“大家族ドラマ”です。高橋幸治、いしだあゆみ、島かおり、勝呂誉などの孫たちもよかったのですが、一家の象徴ともいうべき森繁久彌のジイサマが最高でした。脚本、向田邦子ほか。
<追記>
5月7日(日)
午前5時30分~6時
「TBSレビュー」に出演して、
ドラマ「カルテット」について話をさせていただきます。