フジテレビ「ホウドウキョク」に、電話で生出演しました。
テーマは、
「文学部は役に立つ? 阪大文学部長が卒業生に語った思い」。
MCは、社会学者の古市憲寿(ふるいちのりとし)さんと鈴木理香子さんです。
△最近、「文学部って何の役に立つの?」と題された記事がネットで話題になっている。
△この記事では、大阪大学文学部長で、大学院文学研究科長も務める金水敏さんが、今年3月、文学部・文学研究科の卒業・修了セレモニーの式辞で話したことがツイッターで広まったというもの。
△ツイッターによると金水さんは「みなさま、本日はご卒業・修了まことにおめでとうございます」から始まり、「ここ数年間の文学部・文学研究科をめぐる社会の動向を振り返ってみると、人文学への風当たりが一段と厳しさを増した時期であったとみることが出来るでしょう」と、大学の文学部の現状を卒業生たちに述べている。
△また、文学部は何の役に立つのか?という世間からの目に対し、「しかし、文学部の学問が本領を発揮するのは、人生の岐路に立ったときではないか、と私は考えます」と、文学部の意義を伝えている。
△金水さん自身のブログで公開された式辞が、ツイッターユーザーによって広まり、「文学部出身者として心に響く」などコメントが寄せられた。
会の動向について、「人文学への風当たりが一段と厳しさを増した時期であったとみることが出来るでしょう」とふり返ります。
<論点へのざっくりした回答>
①阪大学部長の式辞、伝えたかったことは?
文学部とか人文学の危機というより、その先にある(奥にある)大学の危機について語っていたのだと思います。
その危機をひとことで言うなら、「怒涛のように大学に押し寄せている、ビジネスの論理」ではないでしょうか。大学のビジネススクール化、就職予備校化、です。
今や企業も文科省も大学経営陣も、経済の論理や企業の論理をストレートに大学へと持ち込み、大学を「すぐにお金になる識や技術」を身につける場にしようとしているかのようです。
また逆に「すぐにお金になる知識や技術」に直接つながらいように見える文学部や、その文学部で学べることを、とことん軽視する風潮があります。それに対する抵抗であり、抗議であると思うのです。目の前の実用性や実利性にばかり目を奪われていてはいけない、と。
②“文学部”で学ぶ意義は?
本来の意味での「教養」を身につけること。もしくは身につけ方を知ること。それをベースにした、いわゆる「実学」では得られない、柔軟な「発想力」。多角的で、広がりと奥行をもった「視野」などの獲得だと思います。
③「人文学は人生の岐路に立ったときに真価を発揮する」のか?
そう思います。金水先生がおっしゃったように、人文学に触れたことが「問いを見出し、それを考える手がかりを与えてくれる」はずだから。
④大学の人文系学部の存在意義は?
人間と社会と自然をトータルで理解するための「人文学的想像力」の獲得。
この日の放送は、以下の番組サイトで動画が見られます。
「ホウドウキョク」番組アーカイブ:
https://www.houdoukyoku.jp/archives/0009/chapters/28980