日刊ゲンダイに連載中のコラム「TV見るべきものは!」。
今週は、ドラマ「下北沢ダイハード」について書きました。
テレビ東京系「下北沢ダイハード」
演劇の街で「ここだけの話」を聞いているような快感
「下北沢ダイハード」は、今期ドラマにおける“企画大賞”である。テーマは、演劇の街・下北沢を舞台にした「人生最悪の一日」。脚本は小劇場の人気劇作家11人による書き下ろし。「真夏の演劇フェスティバル」みたいなお祭り感だ。
第1話「裸で誘拐された男」の脚本は、演劇チーム「TAIYO MAGIC FILM」の西条みつとし。SM趣味の国会議員・渡部(神保悟志)が、女王様(柳ゆり菜)の命令で全裸のままトランクに詰め込まれる。ところが、そのトランクが紛れ込んだのは誘拐事件の現場だった。
第2話「違法風俗店の男」の脚本・演出は、ユニット「男子はだまってなさいよ!」の細川徹だ。ドラマ「バイプレイヤーズ」と同様、光石研が俳優・光石研を演じるという仕掛け。たまたま行った風俗店で、光石は警察の手入れに遭遇する。
第3話「夫が女装する女」を書いたのは、劇団「サンプル」を主宰する松井周。主人公は、女装癖の夫(野間口徹)をもった妻(麻生久美子=写真)だ。ママ友たちと歓談中の喫茶店に女装した夫が入ってきたから、さあ大変。“コメディエンヌ・麻生久美子”を堪能できた。
各回をつなぐのは、スナックのカウンターをはさんで会話する、常連客の古田新太とママの小池栄子。下北沢で芝居を見た後に立ち寄った店で、「ここだけの話」を聞いているような快感がある。
(日刊ゲンダイ 2017.08.09)