篠原涼子のドラマ「民衆の敵」低迷中
小池都知事のせい?
フジテレビ系のドラマ「民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~」(月曜午後9時〜)が低迷中だ。
視聴率は第1話9%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)で、その後は6~7%台。12月4日の第7話は5.8%で、月9枠ワースト2位に。月9といえば、「東京ラブストーリー」「HERO」など高視聴率のトレンディードラマの象徴だった。
「民衆の敵」は、篠原涼子演じる子育て中の女性がヒロイン。市議会議員の高額報酬を知り、生活費のために立候補を決断する。とんとん拍子に成功を重ね、今や市長へとのぼりつめた。
ドラマ評論家の吉田潮さんは「漢字も資料も読めなくて大丈夫?と思っていたら、あっという間に市長。篠原さんはいい女優ですが、いつもがさつな役。がさつなヒロインはもう古い。中途半端に母親層を取り込もうという薄っぺらさも透け、共感の要素が感じられません」と話す。
女性と政治をからめた設定は、小池百合子・東京都知事の活躍を当て込んでいたとうかがえる。10月の衆院選で小池氏率いる希望の党は惨敗、小池氏への関心も急低下した。
上智大の碓井広義教授(メディア文化論)は「小池さんあやかり商法、見事に読み違えました」と指摘し、こう続ける。
「企画段階では小池さんの勢いがあったはず。衆院選での『排除』発言がなければ、小池さんも出馬して国会議員となり、やがて小池首相という雰囲気で放送できたかもしれません。何とも空虚な状況になりました」
吉田さんもこう語る。
「小池さんを思わせる女性の登場など、意図はわかります。ただ、政治をちゃかしたり、揶揄(やゆ)したりするならば、ガンガンやらないと。うっすらとなぞるだけでは視聴率は取れません」
小池人気低落でも、魅力的なドラマならば視聴者もついてくる。碓井教授はこの点の安直さも指摘する。
「一主婦が市議、市長になる展開は、女性視聴者に対して、代わりに夢を叶えましょう、こんな世界好きでしょう、というちょっと上から目線が透けて見えます」
ドラマは残り数話。最終回に向け、視聴率急上昇は見込みにくい。「森友・加計問題など、現実政治のほうが登場人物も動向もはるかにおもしろい」とテレビ関係者。確かにそうかも。【本誌・松岡かすみ】
(週刊朝日 2017年12月22日号)