日経MJ(日経流通新聞)に連載しているコラム「CM裏表」。
今回は、キリン午後の紅茶「あいたいって、あたためたいだ。17冬」篇について書きました。
キリンビバレッジ「午後の紅茶」
遠く離れた2人 切ない歌印象的
冬の夕暮れ、都会にいる人のことが気になる。街を吹きわたる風の冷たさは格別だから。本当は一緒にいたいけど、それは出来ない。遠くにいる人を「あたためたてあげたい」と思うばかりだ。見上げれば満天の星。その人もまた星の見えない夜空を見つめているかもしれない。
上白石萌歌さんと井之脇海さんが若い恋人同士を演じているシリーズCMだ。新作では井之脇さんが都会へと旅立ち、萌歌さんは地元に残っている。松本隆さんが作詞し、太田裕美さんが歌った「木綿のハンカチーフ」を思わせるシチュエーション。徐々に都会の色に染まっていく彼と、別れを予感している彼女の対比が切なくて忘れられない。
物語の舞台は熊本県南阿蘇村で、南阿蘇鉄道の見晴台駅もおなじみの場所だ。萌歌さんが歩きながら歌うのはスピッツの「楓」。この娘に悲しい別れが訪れないようにと祈りたくなる。温かい紅茶が2人を繋いでくれるといいね。
(日経MJ 2018.01.08)