石田ゆり子はアラフィフ女性に人気
輝く“2番手”の生き方
なぜ今、石田ゆり子(48)なのか。1月末に発売されたフォトエッセー『Lily─日々のカケラ─』(文藝春秋)は発売2週間で20万部を突破。47歳の誕生日に始めたインスタグラムのフォロワー数は、140万人を超える。取材を通じて見えてくるのは、“2番手”という存在価値だ。放送作家の山田美保子さんは言う。
「若いころの石田さんというと“石田ひかりのお姉さん”。妹さんと違って主演でバリバリやってきた人じゃないから、2番手、3番手でもこだわらない。そんなスタンスが、いい意味で仕事の幅を広げているのではないでしょうか」
支持するのは、書籍の購買層の中心であるアラフィフ女性。彼女たちの肩の荷を下ろしたのが石田の存在、と指摘するのは、目白大学名誉教授で社会心理学者の渋谷昌三さんだ。
「これまでは競争社会でバリバリ働き、自己主張する女性がかっこよく、それを目指す女性が多かった。それが、石田さんのように控えめで自分からは主張しないけれど、芯がある女性の魅力に気付いた。そういう生き方でもいいんだと思うようになったのでしょう」
石田に引かれるのは男性も同じ。上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)は、“逃げ恥”以前の出演作で、親友の夫との不倫を描く「さよなら私」や、夫を死なせた男性との恋を描く「コントレール~罪と恋~」にも注目する。
「石田さんは“清純さとエロスを併せ持つ稀有な存在”。男性は完敗です。彼女は自分の魅力をわかりながら、それを強調することなく自然に醸し出す。そこがまたいいんです」
メディアコンサルタントの境治さんも言う。
「アラフォー世代の男性は、競争社会の中で疲弊している。そんなときに近くにいてほしいのは、そばにいるだけで安らげる“わが家”のような存在です。それが石田さんです」
「競うことや誰かと比べることがとても苦手」(著書から)な石田。一番になることに疲れた時代が彼女を求めている──。(本誌・山内リカ)
(週刊朝日 2018年3月9日号)