長澤まさみら怪演
ドラマを支える脚本と“仕掛け”の面白さ
コンフィデンスマン、もしくはコンマン。その意味は詐欺師とかペテン師で、相手を信用させて詐欺を働くことを指すのが「コンゲーム」だ。
コンゲーム映画なら、懐かしいところではポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの「スティング」(73年)。最近ならジョージ・クルーニー主演「オーシャンズ11」シリーズがある。フジ月9「コンフィデンスマンJP」は、まさにコンゲームドラマだ。
チームはボスのダー子(長澤まさみ)、人のいい青年詐欺師ボクちゃん(東出昌大)、そして変装名人リチャード(小日向文世)の3人である。
これまでにターゲットとなったのは裏の顔を持つ公益財団会長(江口洋介)、ホテルチェーンの強欲経営者(吉瀬美智子)など。先週は食品偽装で儲けている社長(佐野史郎)だったが、彼の映画好きを利用した「映画製作詐欺」ともいうべき仕掛けが見ものだった。
そう、コンゲームドラマの醍醐味は一にも二にも「仕掛け」の面白さにある。脚本は「鈴木先生」(テレビ東京系)や「リーガル・ハイ」(フジテレビ系)を手掛けてきた古沢良太のオリジナル。ハリウッド並みのスケールは無理だが、3人のキャラクターを生かした「だまし技」の連打が痛快だ。加えて長澤の異様なテンションと、吹っ切れたようなコスプレショーも一見の価値がある。
今期ドラマの怪演大賞だ。
(日刊ゲンダイ 2018.05.09)