週刊新潮に、以下の書評を寄稿しました。
林 忠彦 『時代を語る 林忠彦の仕事』
光村推古書院 4104円
戦時中の前線兵士と銃後の護り。敗戦後の上野に生きる戦災孤児たち。銀座のバーでの太宰治。岸信介が臨席する自衛隊観閲式。さらに長崎や熊本の深部に迫る風景写真。まるで生誕100年を記念する展覧会を見るように、その歩みと仕事の全貌が目の前に広がる。
富岡幸一郎:編著 『西部邁 自死について』
アーツアンドクラフツ 2137円
今年1月に衝撃的な自死を遂げた西部邁。死をめぐる深い省察は数十年に及ぶ。論壇誌『表現者』の編集長が、主宰者の遺した死に関する主な論稿を集めたのが本書だ。衝動的ではなく、「意図的な自死」だった西部。妻の死と自らの死の関係についても語っている。
池田喬ほか
『いま、哲学が始まる。
~明大文学部からの挑戦』
明治大学出版会 2592円
この春、明治大学に初めて哲学専攻が新設された。それも文学部心理社会学科の中に。これまで哲学専攻がなかったのはなぜか。いま、なぜ哲学なのか。大学での哲学教育は何を目指しているのか。そもそも人間にとって哲学とは。教員たちによる熱い哲学宣言だ。
(週刊新潮 2018年7月5日号)