週刊新潮に、以下の書評を寄稿しました。
長谷川郁夫
『編集者 漱石』
新潮社 3,780円
小沢書店を創立し、多くの作品を編んできた著者が着目したのは、編集者の先達としての漱石である。親友の正岡子規に鍛えられた漱石は、寺田寅彦、鈴木三重吉、長塚節、志賀直哉などの背中を押していった。編集という仕事の意味や価値を再認識させる文芸評伝。
遠藤 徹
『バットマンの死~
ポスト9・11のアメリカ社会と
スーパーヒーロー』
新評論 2,592円
昨年上梓された『スーパーマンの誕生』に続く、ユニークなヒーロー文化論だ。クリストファー・ノーラン監督の映画バットマン三部作を通じて、現代アメリカ社会を解読していく。描かれる「善悪の境目の曖昧さ」やヒーローの自信喪失が表象するものとは?
山川 徹
『カルピスをつくった男 三島海雲』
小学館 1,728円
大阪箕面市にある寺の子だった三島海雲。本来なら住職になっていた男が生みだしたのが1919年発売のカルピスだ。なんとモンゴルの草原で知った乳製品がヒントだという。キャッチコピー「初恋の味」も海雲が決めた。魅力的な日本人に光を当てた力作評伝だ。
(週刊新潮 2018年8月30日秋初月増大号)