“西郷どん”義妹で脱皮
女優・柏木由紀の魅力
小栗旬演じる龍馬の動向も急で、いよいよ佳境を迎えるNHK大河ドラマ「西郷どん」。9月2日の放送では、寺田屋事件の難を逃れた龍馬が妻お龍(りょう)(水川あさみ)を伴い、吉之助(鈴木亮平)の薩摩の家を訪れる様子が描かれていた。
舞台が京へと移り、出番が少なくなった“薩摩パート”であるが、吉之助の妻・糸役の黒木華や妹・琴役の桜庭ななみらが、物語を支える。
そんな“薩摩パート”の女優陣に8月5日より新たに華を添えたのがこの人、AKB48の柏木由紀(27)だ。吉之助の弟・吉二郎(渡部豪太)の妻・園を演じる。鹿児島出身で県のPR役“薩摩大使”も務める柏木に白羽の矢が立ったようだ。
上智大学教授(メディア文化論)の碓井広義氏はいう。
「初めての登場シーンから、インパクトがありましたよ。貧乏な西郷家の嫁ということでスッピン顔のボロ着姿。しかも妊婦で産気づき出産の場面まで。とてもアイドルとは思えない役回り。セリフは棒読みで演技が上手いとはいえませんが、一所懸命さは伝わってきました。これまでも彼女、ドラマに何本か出ていますが、今回はAKBの柏木としてでなく一人の女優として挑戦しているのを感じましたね」
大根は大根でも桜島大根は一味も二味も違う、といったところでしょうか。2日の放送でも、黒木や水川などの女優たちに伍して、赤子を抱いた母親を地味ながら熱演していた。
「NHKとしては、AKBでも人気の柏木さんで視聴率を、との下心があったはず」とは、作家の麻生千晶氏。
「でも人気だけじゃなく、彼女は大勢の集団の中で抜きん出た存在、潜在的な才能を秘めた方なんでしょう。AKBの先輩、前田敦子さんなど最初のドラマの時は酷かったですが、今では第一線で活躍されてます。柏木さんも一皮ずつ剥けて成長していくのを期待しての、抜擢だったんでしょうね」
史実では西南戦争後も健在だった園。歌い踊らなくても、カシワギユキの出番は続く。
(週刊新潮 2018年9月13日号)