週刊新潮に、以下の書評を寄稿しました。
貴志謙介
『戦後ゼロ年 東京ブラックホール』
NHK出版 1836円
戦後ゼロ年とは敗戦直後の1年間を指す。東京租界、地下政府、隠匿物資、そして占領軍。民主改革の大義名分に隠れて、「世界最大の親米国家」への日本改造計画が進められていた。近年、米国で機密資料が公開され、深い闇に光が当たり始めた。本書はその第一歩だ。
マイケル・コリンズ他 :著、
樺山紘一:監修
『世界を変えた本』
エクスナレッジ 4104円
30センチ×25センチの大型本。美しいビジュアルと共に紹介されるのは『死者の書』、『源氏物語』、『グーテンベルク聖書』、『種の起源』など80冊以上の歴史的名著だ。著者、内容、さらに後世への影響についても詳述。世界を変えただけでなく、世界を形づくった本たちだ。
石井光太
『原爆~広島を復興させた人びと』
集英社 1728円
原爆の影響で「75年間は草木も生えない」と言われた廃墟の町は、いかにして国際平和文化都市「ヒロシマ」となっていったのか。建築家・丹下健三や原爆資料館初代館長など4人の男たちの取り組みを探るノンフィクションだ。広島の風景が違って見えてくる。
(週刊新潮 2018年9月6日号)
岡野誠 『田原俊彦論』
青弓社 2160円
今年6月、田原俊彦は74枚目のニューシングルをリリースした。本書は57歳の現役アイドルの全体像に迫る、初の本格評論である。歌番組『ザ・ベストテン』との共栄。ドラマ『教師びんびん物語』の衝撃。独立と「ビッグ発言」等々。40年にわたる芸能界戦記だ。
(週刊新潮 2018年8月30日号)