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週刊ポストで、視聴率「新指標」とドラマについてコメント

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民放テレビで
やけにドラマが増えている理由とは
テレビ局にとって視聴率はスポンサーを説得するための絶対の営業ツールであり、テレビマンが胸を張って誇るための「物差し」だった。

だが、その“目盛り”は時代とともに変わり、10%を超えれば大ヒットとなり、一桁も当たり前。冬の時代を迎えたテレビ界はいま、現状打開のために導入した「新指標」、タイムシフト視聴率で“目盛りの読み方”まで変えようとしている。

従来の視聴率は、ビデオリサーチ社が調査対象世帯に専用の受像器をセットし、その世帯が「いま見ている番組」を集計して算出。その数字を元にテレビ局は各企業に営業をかけていた。

リアルタイム視聴率の低下により、新たに導入されたのは、録画再生の視聴割合を指す「タイムシフト視聴率」だ。従来の視聴率だけでなく、1週間のタイムシフト視聴率を合算した数字をもとに、スポンサーと広告代理店、テレビ局が取引することになった。この2つを足すことにより「視聴率は高いですよ」とアピールできるよう動いているのである。

だが、肝心の番組制作サイドは、新指標に振り回されている。フジテレビのドラマ制作スタッフが嘆息する。

「確かにタイムシフト視聴率でいえばウチのドラマは好調です。1~3月期の『海月姫』や『FINAL CUT』はリアルタイムよりタイムシフトのほうが数字がよかったし、7~10月期のドラマでも『グッド・ドクター』と『絶対零度』はタイムシフト視聴率で毎週8%以上稼いでいた。

それでも広告収入が増えたという話は聞かないし、制作費はこの数年削られる一方です。最近は上から『録画でも数字を取れるコンテンツを意識しろ』と言われ、現場は混乱するばかりです」

新指標を元にした上層部からの“無茶ぶり”は、他局でも起きている。別のキー局社員が語る。

「最近、幹部が『報道やスポーツを録画して見る視聴者はいない。録画視聴者の多いドラマの枠を増やそう』なんて言い出したんです。それを伝え聞いた報道スタッフは激怒していましたよ。『俺たちの仕事をなんだと思ってるんだ!』って。リアルタイムの視聴率を諦めるような発言は、現場のモチベーションを下げるだけです」

その言葉を裏付けるかのように、各局は“ドラマ重視”の姿勢を鮮明にする。

テレビ朝日は4月から日曜午後9時にドラマ枠として「日曜プライム」を新設し、テレ東も月曜午後10時に「ドラマBiz」を開設。フジも昨年10月から、月曜深夜0時25分を「ブレイクマンデー24」として深夜ドラマ枠を新設している。元NHKの番組ディレクターで次世代メディア研究所の鈴木祐司氏が語る。

「制作費もキャストのギャラもかかり、コストパフォーマンスの悪いドラマ枠は一時各局で縮小傾向が見られましたが、タイムシフト視聴率を意識して、この1年で復活しました。最近はドラマだけではなく、映画、アニメといった『録画でじっくり見たい番組』を各局の編成担当は増やそうとしています」

最近、テレビを付けると妙にドラマばかりやっている──そんな気分になるのは、気のせいではなかったわけだ。

「スポンサーもテレビ局のドラマ偏重を理解しており、その作品に登場する俳優を使ったCMを意図的に流すなど、“録画でも飛ばされにくい”作りを意識しています。昨今、ドラマの続きかと思うようなCMが多いのも、このためです」(元テレビプロデューサーで上智大学文学部教授の碓井広義氏)

(週刊ポスト2018年11月9日号)

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