塩尻市出身で元テレビプロデューサーの上智大学教授・碓井広義さん(64)の著書刊行を記念したトーク&サイン会が20日、同市広丘高出の中島書店で開かれた。近著『ドラマへの遺言』の共著者である脚本家・倉本聰さんとのエピソードを中心に、番組制作の裏話などを語った。
「脚本家・倉本聰のドラマ世界」と題し、碓井さんと旧知の間柄である東座代表・合木こずえさんが聞き手を務めた。碓井さんはテレビ界に入ったきっかけや倉本さんとの出会い、倉本さんの脚本作りにかける思いなどについて語った。
執筆前の取材を綿密に行う倉本さんの姿勢や、自身の経験を踏まえた現実的な内容の脚本であることなどが紹介された。碓井さんは「倉本ドラマの醍醐味は人間ドラマ。せりふ一つに込められたものが多いので、細かいところまで見て味わってもらいたい」と呼び掛けた。
上智大学文学部新聞学科でのテレビ制作の授業についても触れた。「若い人は新聞も読まずテレビも見ない人が多い。スマートフォンで見られるインターネットのトピックス以外が彼らにとって『起こっていないこと』になってしまうのが怖い」と若者のマスコミ離れを懸念し、警鐘を鳴らしていた。
会場には50人余りが詰め掛け、立ち見が出るほどの盛況ぶりで、講演後のサイン会にも多くの人が列をつくっていた。
(市民タイムス 2019.04.21)
ドラマへの遺言 (新潮新書) 倉本聰、碓井広義 新潮社