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週刊朝日デジタルで、「資生堂CM」中止について解説

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デジタルタトゥーの影響?

資生堂「筋肉体操CM」が2日で終了した理由

資生堂が5月16日に公開した日焼け止めのウェブCMが、翌17日に終了した。出演していたのは人気を得たNHKの5分番組「みんなの筋肉体操」でおなじみの俳優、庭師、弁護士の3人のメンバーだ。

「マッチョに学ぶアクアブースター技術の凄み篇」とタイトルが付けられたこのCM動画。青い空と海、砂浜に生えるヤシの木を背景に、青い水着にサスペンダー姿の3人が、汗や水に触れると逆に、紫外線をブロックする膜が強化する日焼け止めブランド「ANESSA(アネッサ)」の新技術について、ムキムキの肉体を誇示しながらアピールするもの。

アネッサのCMで男性モデルがメインで起用されたのは初めてだけに、世間の注目も集まった。にもかかわらず、わずか2日で終了とは、どういうことなのか。資生堂のグローバル広報部の担当者は、「プロモーション期間が終了したため」と説明。本来、どのくらいの期間公開予定だったのか、という質問には「答えられない」とした。

指摘されるのが、出演した弁護士がツイッター上で、過去にツイートした内容が不適切だったためでは、という理由だ。既に削除された弁護士の4月11日付のツイート画面には、「法教育以前に、正義感振りかざして」と、対象を揶揄(やゆ)したような文章が書かれていた。性的表現を含み、お世辞にも品の良い内容ではなかったため、SNSで瞬く間に拡散し、批判の声があがったようだ。

この弁護士の芸能活動などを支える事務所の担当者は、削除された先のツイートは本人のものと認めた。ただし、「何に対してツイートした文章なのかを含めて、取材にはお答えしない。CMの公開期間はもともと聞いておらず、期間が終了したということです」と、話すにとどまった。

資生堂の先の担当者は、「SNS上の発言について当社はお答えする立場にないが、さまざまな意見があることは、承知している」と含みを持たせつつも、言葉少なな対応に終始した。

しかし、元テレビプロデューサーの碓井広義・上智大教授(メディア文化論)は、「ツイッターの書き込みが、CM終了の直接的原因なのかは分からない」と前置きしつつも、「『デジタルタトゥー』のリスクを、改めて認識させられる騒動だった」と感想を漏らす。

「インターネット上の記録は、いったん投稿されたら入れ墨のように残り続け、完全削除が困難であることを表す造語。それが、デジタルタトゥーです。このSNS社会においてネット上にあげた発言は永久に監視されつづけます。もはや有名人であろうと一般人であろうと同じです。SNSで発言をする場合には、『一億総検索社会』ということをふまえて、デジタルタトゥーのリスクを十分に認識した行動が必要であるといえます」

くしくも、NHKでは5月から「デジタル・タトゥー」というタイトルのテレビドラマが始まったばかり。

「筋肉は裏切らない」と信じていた資生堂も、まさに想像だにしなかった一件であっただろう。(本誌・永井貴子)

(週刊朝日デジタル 2019.05.27)

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