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読売新聞で、テレ朝「人生の楽園」について解説

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土曜午後6時のドキュメンタリー 

「人生の楽園」が人気


  ◆セカンドライフの幸せ探る

「人生100年時代」と言われる中、充実した第二の人生の歩み方を提案するドキュメンタリー番組「人生の楽園」(テレビ朝日系、土曜後6・00)が、中高年者を中心に支持を集めている。ドラマチックなことが起こるわけではない、ごく普通の人々の人生を紹介する番組が、なぜ視聴者の心をつかんでいるのだろうか。(佐伯美保)

 ◆来年20周年 視聴率10%超え

番組は2000年10月に始まり、これまでの放送は900回を超え、来年には20周年を迎える。故郷にUターンした人や田舎に移住した人、50歳を過ぎてから新しい挑戦を始めた人などの様々なセカンドライフの過ごし方を紹介している。

スタートした当時は団塊の世代が50歳を超え、今後増えていく高齢者に関心が集まっていた頃だった。07年には団塊の世代の大量定年退職が始まり、現在は約4人に1人が65歳以上の高齢者だ。一方、日本人の平均寿命は延び続け、退職後の長い人生をどのように過ごすかが多くの人の関心事になっている。

そんな社会の動きに呼応するように、視聴率も伸びた。テレビ朝日によると、ビデオリサーチの視聴率(関東地区)は開始当初は4~5%程度だったが、この5年ほどは年間の平均視聴率が10%を超えている。近年は連続ドラマでも10%の視聴率を獲得する作品が少ない中、土曜日の午後6時台という時間帯では非常に高い視聴率だ。

 ▼人柄に焦点 地域情報も

碓井広義・上智大教授(メディア文化論)は「番組の魅力は登場する人の人柄」と指摘する。故郷や田舎などの移住先で、夫婦や親子で農業に取り組んだり、カフェや民宿を営んだり……。決して形式にとらわれたり、格好つけたりしていない。碓井教授は「やりたいことに無理せず挑戦している。身の丈にあった幸せが描かれているからこそ、人生に悩む人の背中を押す役割を果たしているのでは」と話す。

舞台となる地域の特性が紹介されている点も人気の秘密だろう。地域の美しい風景やおいしい食べものの紹介も織り交ぜ、番組最後のコーナー「楽園通信」では、登場する人たちが営む店の営業時間や連絡先などの情報をまとめている。国が地方創生を掲げて「田舎暮らし」に注目が集まる中、視聴者が足を運んでみたくなる仕掛けが満載だ。

 ▼頑張るシングルも紹介

番組で取り上げるのは、夫婦や親子ばかりではない。昨年12月には、離婚を経験し、移住した神奈川県二宮町で農業を始めた50代の男性を紹介した。岡本基晃プロデューサー(50)は企画を検討した時、男性の一人暮らしがさみしく映らないかと心配したというが、男性は農業セミナーで出会った30代男性ら仲間と生き生きと農作業に取り組み、汗を流していた。

岡本プロデューサーは、「今はいろいろな生き方があっていい時代。夫婦の仲が良く、子供や孫がいる幸せだけでなく、一人でも楽しく生きられることを示せたのではないか」と話す。今後も田舎に住む人や都会に住む人、子供がいない夫婦やシングルライフを送っている人など、いろいろな人たちの幸せを紹介するつもりだ。

 ◆中高年の生き方 他局の番組も

中高年の生き方をテーマにした番組は、他局でも放送されている。

BSテレ東は今年4月から、「カンニング竹山の新しい人生、始めます!」を放送している。移住や転職をしてセカンドライフを楽しむ人々を紹介し、年金や資産運用に関する情報も伝える。50歳が近づき、人生の後半を考えるようになったというカンニング竹山(48)が、司会を務めている。

Eテレの情報番組「あしたも晴れ!人生レシピ」は、配偶者と死別するなどして一人で暮らすようになった人の生活など、健康や住まいといった多彩なテーマを通じて50代以降の人生を豊かにするヒントを伝えている。

高齢者の人口が増加する中、今後こうした番組は増えそうだ。

(読売新聞夕刊 2019.09.02)


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