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今年のテレビ報道から

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今年のテレビ報道から

 

2019年もあと一週間ほどだ。この一年のテレビ報道の中で、特に気になった二つの事案について総括しておきたい。

一つ目は「韓国報道」だ。今年8月、韓国は日本との「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」の破棄を表明した。そこに文在寅(ムン・ジェイン)大統領の側近である、曺国(チョ・グク)氏の不正疑惑などが加わり、韓国を扱うワイドショーや情報番組などが急増した。しかも、その報道は「嫌韓」に近い内容が目立ったことが特色だ。

すでに7月19日の「ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)で、コメンテーターの黒鉄ヒロシ氏(漫画家)が「断韓」とフリップに書いて国交断絶を呼びかけていた。8月22日の「ひるおび!」(TBS系)では、元駐韓国日本大使で外交評論家の武藤正敏氏が「韓国は裁判官でも相当左がかった人が多い」などと暴言を放った。

こうした偏った報道の背景に、番組で韓国を非難すると視聴率が高くなるという現実がある。同時に、放送局が安倍政権の対韓強硬政策に便乗、もしくは忖度(そんたく)する、安易な姿勢も垣間見えた。

次が「かんぽ不正問題報道」である。かんぽ生命保険の「不正販売問題」を追及した、「クローズアップ現代+(プラス)」の「郵便局が保険を“押し売り”!?郵便局員たちの告白」(18年4月放送)に対して、日本郵政グループから猛烈な抗議があり、NHKは同年夏に予定していた続編の放送を延期。またNHK経営委員会が、上田良一会長を「ガバナンス(企業統治)強化」の趣旨で厳重注意したのだ。

当時、日本郵政グループは十分な社内調査を行わないまま抗議していた。後に不正販売が事実と判明したこともあり、日本郵政の長門正貢社長は9月30日の記者会見で抗議について謝罪する。

しかし、日本郵政とNHK経営委員会の行いは明らかに番組介入であり、報道の自由を侵害するものだ。そして経営委による会長への厳重注意は、「今後はこういうことをしてはならない」という意味で、放送法が禁じる「干渉」にあたる。また監督機関の経営委と執行機関の会長に上下関係はない。会長は毅然(きぜん)として注意処分の根拠を問いただすべきだったのだ。

(しんぶん赤旗「波動」2019.12.23)


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