テレ東「女子グルメバーガー部」
食べっぷりが神々しくて既成概念が崩壊
深夜ドラマに「万人向け」は似合わない。その点、ドラマ25は「面白いと思える人が見ておくれ」の潔さが気持ちいい。
これまで、古くて汚い宿だけの「日本ボロ宿紀行」、サウナだけの「サ道」、地方食堂だけの「絶メシロード」など一点突破全面展開を続けてきた。そして今度はハンバーガーである。
「女子グルメバーガー部」には毎回、材料から調理法まで、それぞれのこだわりを持つ「実在の店」が実名で登場する。その店を12人の「架空の女子」が訪れる。女子大生(大原優乃)と妹(宮崎優)。妹がバイトしている会社の受付嬢(松本妃代)と幼なじみ(北村優衣)などだ。
池袋の「キャラメルベーコンチーズバーガー」、歌舞伎町の「てりやきフォアグラバーガー」、そして恵比寿の店名を冠した「ブラッカウズバーガー」。どれも実にうまそうだが、高層ビルのようなハンバーガーに挑む女子たちこそが見ものだ。誰の目も気にせず、思いっきり大口を開けて味わっている姿は、「かぶりつき芸」とでも呼びたくなる。いっそ神々しい。
ハンバーガーは焼いた肉を丸パンではさむだけの料理だが、このドラマを見ると既成概念が崩れる。大切にするのは素材の個性、全体のバランス、美しい仕上げ。そして作る人と食べる人の両方が幸せになること。なんとグルメバーガー作りはドラマ作りと同じなのだ。
(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2020.08.05)