日テレ「未満警察」 不自由と自由の 巧みな組み合わせが生み出す独自性
警察学校を舞台にしたドラマ「未満警察 ミッドナイトランナー」が、後半に入って面白くなってきた。2週連続で描かれた、「スコップ男」事件で勢いがついたのだ。
9年前、撲殺した被害者を地中に埋め、凶器のスコップを墓標のように立てておく連続殺人鬼「スコップ男」が現れた。逮捕されたのは2人目の被害者の夫、天満(佐戸井けん太)だ。ところが同じ手口の事件が新たに発生する。天満は真犯人ではなかったのか。それとも模倣犯の仕業か。
一方、警察学校にやってきた男とその姉(長谷川京子)が立てこもり事件を起こす。2人は天満の子供たちで、父親の「冤罪」を晴らそうとする捨て身の行動だった。
人質となったのは本間快(中島健人)と一ノ瀬次郎(平野紫耀)、そして及川蘭子(吉瀬美智子)だ。警視正の国枝(木下ほうか)が強硬策に出ることを知った3人は、片野坂(伊勢谷友介)と連携して姉弟を救う手だてを探っていく。「表に見えているものだけが真実じゃない」という片野坂の言葉が効いている。
頭脳の本間と体力の一ノ瀬。いいコンビだが、警察学校の生徒だ。正式な捜査や逮捕はできない。だが、その「不自由さ」と、逆に警察官未満だからこその「自由さ」を組み合わせて独自の物語を生みだしている。同じバディー物「MIU404」(TBS系)と比べながら見るのも一興だ。
(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2020.08.12)