「恋する母たち」
恋愛の痛みや苦みを味わってきた
吉田羊が演じる“優子”が気になる
今週末に最終回を迎える「恋する母たち」(TBS系)。同じ名門私立高校に息子を通わせていた、3人の「母たち」の恋愛ドラマだ。
杏(木村佳乃)の相手は、自分の夫と駆け落ちした人妻の元夫、斉木(小泉孝太郎)。優子(吉田羊)は、同じ部署で働いていた赤坂(磯村勇斗)。まり(仲里依紗)は人気落語家の丸太郎(阿部サダヲ)である。
彼女たちは確かに妻であり母だが、一人の女性として恋をした。当初は楽しい瞬間やうれしい時間もあったが、現在、かなりヘビーな状況だ。杏は斉木と再婚し妊娠したが流産。優子は夫と離婚し、赤坂とも離れた。まりは妊娠するが、相手が夫か丸太郎かは不明。夫との離婚も簡単には進まない。
脚本の大石静は、柴門ふみの原作漫画にアレンジを加えながら物語を展開してきた。注目するのは3つの恋愛に対する肯定と否定の併存であり、自分の行動に自ら「落とし前」をつけるよう仕向けていることだ。
それは柴門と大石、女性としての「先達」2人が発するメッセージかもしれない。どんなことが起きても逃げずに対応し、自分の選択が「正解」だったと思えるようにする。その覚悟をもって、恋をするならすればいいと。
最終回では彼女たちにどんな決着が訪れるのか。安易なハッピーエンドは不要だが、最も恋愛の「痛み」や「苦み」を味わってきた優子が気になる。
(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2020.12.16)