日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。
今週は、テレビ東京の新ドラマ「なぞの転校生」を取り上げました。
「懐かしいタイトルだなあ」と思った人は、十分に大人です(笑)。
往年の「少年ドラマ」ファンはニヤリ
1月クールの新ドラマが続々と開店している。ただし刑事物と医療物の乱立で、視聴者もまだ的を絞りきれてはいない。そんな中で異彩を放っているのがテレビ東京「なぞの転校生」(金曜深夜0時12分)だ。
タイトルだけでニヤリとするのは、1975年にNHKで放送された少年ドラマシリーズを思い浮べた中高年層だろう。成績優秀でスポーツ万能という謎の転校生。彼の抱える秘密が物語の軸になっていた。当時の舞台は眉村卓の原作通り中学校だったが、今回は年齢を上げて高校である。
特筆すべきは、企画プロデュースと脚本を岩井俊二監督が務めていることだ。直接の監督作ではないが、第1回を見る限り、映像、登場人物のキャラクター設定、会話の間などに岩井テイストはしっかり刻印されている。
またヒロインの桜井美南がいい。「キットカット」受験生応援キャラクターに選ばれた16歳の新人だ。子どもと大人の中間に位置する年代を自然に演じる姿は、大物の期待感あり。一見地味な「美少女すぎない美少女」だが、その“初陣”に立ち会う価値は十分にある。
NHK版で主人公・岩田広一を演じた高野浩幸が、今度は広一(中村蒼)の父親役で出演しているのも、往年の「少年ドラマ」ファンには嬉しい。
“なぞの転校生”山川典夫(本郷奏多)が動き出すのは今週分からだ。
(日刊ゲンダイ 2014.01.14)