蜷川幸雄さんの新刊『演劇の力』(日本経済新聞出版社)が面白い。
特に、収録されている「私の履歴書」。
たくさんの人たちが日経新聞に「私の履歴書」を連載してきたが、その中でもベスト5に入る面白さだ。(現在進行中の小澤征爾さんの回想も素晴らしい)
以下の言葉は、蜷川さんの「履歴書」から。
「ぼくの演出する舞台は開幕からの三分を大切にする」
「制約をばねにして新しい表現を生む。それがぼくの行き方だった」
「演出家の仕事は八〇パーセントが俳優やスタッフとのコミュニケーションに費やされる。売れない俳優が現場で感じたあれこれが、演出家の勉強になったと思っている」
・・・・蜷川演劇の核心に迫る一冊、というのはオーバーかもしれないが、創造の秘密の一端を垣間見ることができるのは確かです。
今週の「読んで、書評を書いた本」は、次の通りです。
堺屋太一 『団塊の秋』 祥伝社
土屋達彦 『叛乱の時代』 トランスビュー
森 功 『平成経済事件の怪物たち』 文春新書
秋山 駿 『私の文学遍歴〜独白的回想』 作品社
神足裕司 『一度、死んでみましたが』 扶桑社
安野光雅 『会えてよかった』 朝日新聞出版
* これらの書評は、
発売中の『週刊新潮』(1月30日号)
読書欄に掲載されています。