発売中の「週刊新潮」最新号で、「明日、ママがいない」をめぐるスポンサー問題についてコメントしました。
「芦田愛菜」の「明日ママ」スポンサーが
日テレに「明日、金返せ」
芦田愛菜(9)主演の日本テレビ系「明日、ママがいない」は、児童養護施設が舞台のドラマ。だが、ストーリーとは別の“騒動”の方が話題になっている。
赤ちゃんポストに入れられていた主人公のあだ名は「ポスト」。この設定に対し、日本で唯一の赤ちゃんポストを設置している熊本・慈恵病院が初回放送直後の1月16日、「精神的な虐待、人権侵害にあたる」と放送中止を求める記者会見を開いた。他にも、施設長が「お前たちはペットショップの犬と同じだ」と罵倒するなどのシーンが問題視され、22日には放送倫理・番組向上機構への申立も行われた。
これに敏感に反応したのが、番組を提供する8社のスポンサーだった。第2回放送では提供クレジットの表示がなくなり、うち3社はCMも放送しなかった。さらに第3回では、全社がCMを放送せず、代わりにACジャパンのCMが延々と流された。
「過去に同じ日テレのドラマ『女王の教室』で提供クレジットの表示を止めたことがありましたが、全社CM自粛は前代未聞です」とは、上智大学の碓井広義教授。
そんなさなか、視聴率は初回14.0%とまずますの滑り出しを見せ、第2回13.5%と微減したものの、第3回は15.0%に再浮上。平均視聴率は冬ドラマ16番組中、『S−最後の警官―』(TBS系)に次ぐ堂々2位に躍り出た(2月4日現在)。
さてこの顛末、日テレにとってウハウハなのか、ガッカリなのか。
別のスポットCMで補填
広告代理店社員が明かす。
「自社CMをACに切り替えるのは、あくまでスポンサー側の判断。ですから、たとえCMが流れなくても、スポンサー料は契約通り支払われることになります」
つまり、日テレは損するどころか、騒ぎで視聴率が上がった分、“焼け太り”なのである。しかし、そうは問屋が卸さない。
「東日本大震災の時も当時のご時勢でCMを“AC対応”に切り替えたし、弊社の不祥事でCM自粛することだってありえます。でも、今回は日テレさんの不祥事とはいえないまでも、あちらが原因なのは明白です」と、某スポンサー幹部は憤懣やるかたないご様子。
「既に支払った分もありますが、今後の支払いに関しては日テレさんと交渉中です。だって、テレビ局側に責任がないなんて馬鹿げてるじゃないですか」(同)
スポンサー陣営から、“金返せ”コールが巻き起こり始めているのだ。
もっとも、「ドラマのスポンサー枠は通常、2クール以上の単位で契約します。今回のスポンサー8社も、『明日ママ』だけを買ったわけではないので、契約解除すると次クール分が丸損になってしまいます」(先の広告代理店関係者)
「企業は『明日ママ』ではなく“水曜22時枠”を買っています。この“座席”を手放してしまうのはもったいないので、おそらく降板はしない。ただ、局側もある程度の減額に応じざるを得ないでしょう」(碓井氏)
“払戻金”はいかほどか。
「この枠は1クール1社1億円で計8社。そこから代理店が抜いて、局に約6億円入ります。第3回から最終回まで7回分全額の“返金”となると、局は5億円弱の痛手になりますが、不祥事ではないのでさすがにそれはない。実際は、代理店のとりなしで5割引、あとは別番組のスポットCMで補填、といったあたりが落としどころになるのでは」(広告代理店社員)
子役ドラマ騒動の結末は“大人の事情”で決まり。
(週刊新潮 2014.2.13号)